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2002年3月号(B-brainコーナー)

メディア・クルーズ・ソリューション:五郎丸聡司 代表取締役社長
大容量コンテンツ配信のSIに特化
TV配信も視野に世界から技術を集結

ブロードバンドに特化したソリューション構築・運営のプロ集団、メディア・クルーズ・ソリューション(MCS)が2001年11月に設立された。コンピューター画像技術と超高速情報処理技術のパイオニアである日本SGIのノウハウを結集し、動画コンテンツ配信ビジネスに乗り出したMCSの五郎丸聡司氏に、今後の事業戦略を聞いた。

Profile

五郎丸聡司(ごろうまる・そうじ)
1979年東京外語大学ドイツ語学科卒業、富士通入社(運輸業界を担当)。87年日本タンデムコンピューターズ入社(流通・製造・運輸・通信業界を担当)。94年営業部長。98年コンパックとの合併に伴いテレコ担当営業部長。98年テレコ担当営業本部長。2001年日本SGI入社。55年生まれ。福岡県出身。

ブロードバンドの総合SI業

――ブロードバンドというと、これまではアクセスインフラに関心が集まっていましたが、まず最初に、御社のブロードバンドビジネスにおけるポジショニングについてお聞かせ下さい。

五郎丸 今ブロードバンドをめぐって、ADSLとかFTTHなどのアクセスネットワークインフラが話題になっています。確かにナローバンドよりブロードバンド、1.5Mbpsより100Mbpsのほうが事業機会の可能性は大きいわけですが、当社のミッションとしては、アクセスインフラにはこだわっていません。いずれのネットワークでも、重要なのはストレスなくコンテンツを配信できるかという仕組みをいかに提供するかという立場だからです。提供するものは、システムインテグレーション(SI)であったり、ソリューションサービスであったり多様なサービスがあって、結果的にブロードバンド市場の発展に寄与しようというのが会社としての使命です。

――もう少し具体的に事業展開のポイントを教えて下さい。

五郎丸 一言でいうとブロードバンドに特化したコンテンツの制作から管理、配信、課金・決済、顧客管理、著作権管理、受信機器にいたるまで、幅広くブロードバンドに対応したSI事業です。
 顧客ターゲットとしては、大手通信キャリアやISP、放送局、CATV事業者、コンテンツ提供者などをあげることができます。すなわち、ブロードバンドシステムの中核となるサーバーシステムから、端末側のSTB(セット・トップ・ボックス)の開発まで、ブロードバンドに関する総合的なシステム構築とSIサービスを提供していくということです。

顧客本位にベンダー各社と連携

――親会社の日本SGIとはビジネス上どう棲み分けていかれるのですか。

五郎丸 そもそも日本SGIでは、コンピューターグラフィック(CG)技術や動画のデータ伝送という点で、他社に先行してブロードバンドに取り組んできました。他社に先駆けフロリダ州オーランドや日本の浦安市でビデオオンデマンド実験を行った米SGIの日本法人として、大容量コンテンツの高速配信・管理システムの領域においては世界的にトップクラスの実績を持っています。また、国内においても、有線ブロードネットワークスや東京電力、東京通信ネットワーク(TTNet)のFTTH実証実験でもすでに実績を上げています。
 しかし、日本SGIとしてブロードバンドソリューションを手がける場合、ハードベンダーとしての色が出ます。例えば、IPベースでブロードバンドコンテンツをテレビ受信する際には、STBやミドルウェアが必要になります。ブロードバンドビジネスでベンダー各社と連携するには、SGIブランドにこだわらずに顧客のニーズに焦点を当てるところから出発することが鍵になるのです。つまりより大きくビジネスを広げるために、日本SGIの技術者が独立し、パートナー各社と協業する形で設立したのが当社です。
 もちろん、SGIもそのパートナーの1社だと思っております。

――その場合の顧客のニーズを具体的に教えて下さい。

五郎丸 顧客は今やベンダーありきではなく、何が出来るかを求めています。SGIでは従来からCG技術で市場を作り上げてきましたが、そのノウハウがブロードバンドインターネットで欠かせないものとなってきました。例えば、ネットでの旅行予約やショッピングを擬似体験してもらうバーチャルリアリティ(仮想現実)の技術が必要になってきます。こうしたコンテンツを制作し、配信するニーズが今後相当広がってきますが、それには高度なCG技術と高速・大容量のデータ通信回線が欠かせないのです。また今後ストリーミング単価もどんどん下がってきますので、顧客のニーズにあったパッケージソリューションを提案しております。

総合ビジョンの提案が強み

――御社の新たなコアコンピタンスを聞かせて下さい。

五郎丸 まず、ブロードバンドのSIというのは、ブロードバンドビジネスの全体的イメージやビジョンをつかんでいなければならないと考えています。
 汎用コンピューターベンダーが大規模な課金システムを構築したりストリーミングを提供できたとしても、コンテンツをどう配信し、その対象がパソコン向けかSTB付きテレビ受信機なのか、さらには著作権管理および課金・決済といった多岐にわたる仕組みまでを一気通貫で企業顧客に提供する態勢は十分整っていません。もちろん、当社だけでもすべてができるものではなく、出資会社等とのパートナーシップが前提になります。

――ブロードバンドビジネスを技術的側面からトータルに目利きできる点が強みということですね。

五郎丸 ええ、そうです。ただ、全く新たに手がけようというのではなく、これまでの実績に基づいて、顧客から提案を要請された場合に全体のイメージを描けるということです。実績というのは、日本SGIから引き継いだノウハウだけでなく、当社を設立する際、とりわけ課金システムや顧客情報管理技術に秀でた人材を採用して組織を固めた経緯があります。
 日本SGIから参集した社員は、プロダクトサポートよりもSI志向のスタッフがメインで、STBは今回新たに技術者も採用して強化しております。

――日本SGI以外の主な出資企業と各社の役割を教えて下さい。

五郎丸 設立時に出資したのは日本SGIのほかに、NEC、凸版印刷、NTTソフトウェア、BSI、英サードスペース・リビング社、米On2(オンツー)テクノロジー社などです。このうち、NECは、ブロードバンドを支える高速光通信の分野でグローバルな取り組みを展開するとともに、ブロードバンド&モバイルにフォーカスしたソリューション製品やサービスの提供で数多くの実績を持っています。
 凸版印刷は、マルチメディアをすべての事業分野を横断する事業の柱と位置付け、CD-ROM、DVDなどのパッケージメディアに関しては、コンテンツ制作からその生産までを行っています。
 NTTソフトウェアは、ブロードバンドのプラットホームシステム開発を行っています。特に課金・決済、認証システムなどをコアとして、ビジネスモデルの企画提案からシステム構築まで、ブロードバンドのソリューションを展開しています。
 BSIは通信・放送事業者をメインカスタマーとしてハイレベルのソリューションを提供する会社です。特に顧客・課金管理、請求、メール、モバイルインターネットゲートウエーを中心にSIとして高度なシステム構築を手がけてきました。
 それぞれ各社は、当社と競合と協業の両面あるわけですが、もちろん軸足は協業にあります。

独自の画像圧縮技術も確立

――ブロードバンドの技術トレンドでポイントになる点を教えて下さい。

五郎丸 やはり動画を配信するストリーミング技術が中核になります。パソコン配信から今後はテレビ受信機向けにインターネット接続で配信する技術が登場してきます。この分野では米オラクルと仏アルカテルが出資したビデオサーバー「OVS」やインタラクティブTV向けのビデオポータル製品「Vortel」を持っている英サード・スペースが強力なソリューションパートナーとして当社に出資しています。
 また、1Mbps程度のビットレートでDVD並みの画質を実現できる独自の映像圧縮技術を持った米On2も資本参加し、日本のマーケットへの導入を進めております。課金データや顧客情報管理を処理するミドルウエアとSTBが連動する機能を一般家庭に普及されるような低価格で提供できるかどうかがポイントになります。

――御社のブロードバンドソリューションの対象がテレビ配信を中心に展開されるということですか?

五郎丸 配信先がパソコンかテレビベースかは今後の市場の趨勢によりますが、現段階ではテレビ配信のほうが技術的に難しいというのが現状です。ここは今後の有望市場として期待されていますので、当社としても力を入れているエリアです。
 今後IPネットワークを介して、街のカフェやレストランに50インチのテレビを設置してコンテンツを配信するシーンも増えてくるでしょう。

――具体的な反響をお聞かせ下さい。

五郎丸 FTTHやADSLサービスを含めたISP加入者のブロードバンドコンテンツ動向をみると、本格実用化に向け非常にいい感触を得ています。
 当社のビジネスモデルは、ブロードバンドソリューションの仕組みを構築したことによって、こうした通信キャリアやISPの加入者数が拡大し、仕組みを介して配信されたコンテンツが長期的に継続されることで安定した収益が得られる点にあります。
 かつて私がキャリア営業を担当していた90年代には、日本SGIと通信キャリアとのパートナーシップはさほど密接ではなかったのですが、最近通信キャリアにとってメディアソリューションが欠かせないビジネスチャンスになってきています。

――今後の中長期的な事業プランをどう描いているのですか。

五郎丸 中長期的にはブロードバンドが企業内や企業間ネットワークにも広がっていくと思います。企業の情報システムやCRM、SCMも大きく形を変えていくだろうと思います。そして当社の技術力はそのエリアにも十分活かせるだろうとも思っております。また、当社では社員持ち株制を導入しているのですが、やはり株式上場を3年後をめどに実現したいと考えています。

(聞き手・小野憲男)

用語解説

●CG
Computer Graphics:コンピューターを使って画像を処理/生成する技術。また、これを用いて作成された画像。2次元の表現と3次元の表現があり、前者はタブレットなどを使ったペインティングや、写真を取り込んでのイメージ処理などがある。後者はゲームなどでの仮想世界の表現や、現実世界の現象/建築物/景観のシミュレーション、CADを利用した工業デザインなどに応用されている

●有線ブロードネットワークスの家庭向け大容量コンテンツの配信実験
2000年9月からFTTHの常時接続実験「GATE01」を東京・世田谷区で開始。約500世帯に10Mbps/100Mbpsの光ファイバー回線を直接引き込む。同年10月に東京23区、今年4月には全国展開を行う予定

●東京電力/TTNetのブロードバンドコンテンツ配信プラットホーム実証実験
実証実験は両社がFTTHなど高速回線の利用状況に関するデータ収集に加え、インフラ構築からコンテンツ配信までを総合的に検証することが狙い。実験では、コンテンツ提供者からブロードバンド映像の提供を受け、TTNetのプラットホーム上で都内2地域のモニターに発信。2001年7月オンデマンドの本試験を開始。8月にスポーツイベントのマルチキャスト配信を追加し、10月から放送型・双方向型の配信実験も行っている。今年3月まで課金決済システムを含めた実験を行う
 

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