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2001年3月号

大阪メディアポート:大土井貞夫 代表取締役社長
電力系10社の全国一貫体制テコに
企業向けIPサービスの競争力を強化
ワンストップ型総合営業で飛躍する

地域通信事業者の大阪メディアポート(OMP)がデータ通信市場で競争力を強化しつつある。OMPを含む電力系地域通信10社は、共同出資会社PNJコミュニケーションズの機能を強化する方向で事業を統合し、国内第4位の全国一貫体制の通信会社が誕生する。その連携をテコに、今後の成長分野である企業向けIPサービスやデータセンター事業でどう市場競争に立ち向かうのか、大土井貞夫社長に戦略を聞いた。

Profile

大土井貞夫(おおどい・さだお)
1958年東京大学法学部卒業、関西電力入社。同社TQC推進事務局長、副支配人庶務部長、同人事部長、支配人京都支店長などを経て、91年常任監査役。92年現職に。岡山県出身。32年9月8日生まれ。

――まず、貴社経営を取り巻く市場環境の変化、とりわけ関西地域における通信ビジネスの現状についてお聞かせ下さい。

大土井 OMPでは専用線で約7000回線を提供させていただいておりますが、このうち5割強が府県内に終始する回線、残りが府県をまたぐ県間回線となっているのが現状です。府県別に回線をみてみますと、県内・県間回線ともに、少なくとも片端が大阪、京都、神戸の3都市に終端している回線が9割を占めています。中でも大阪府の絡む回線は6割を超えており、やはり大阪、京都、神戸の三都市が需要の中心となっています。
 近畿圏から外へ出て行く回線は約2300回線ですが、行き先はやはり首都圏が最も多く25%程度、中部圏が10%程度となり、両地域向けで4割近くを占めています。

――関西地域におけるIT需要の立ち上がりはいかがですか。

大土井 お使いいただいている回線サービスの伸びからみますと、ここ5年間の累計回線数の平均伸び率は、2桁の伸びとなっており、近畿圏でも情報化投資は依然旺盛であると考えられます。特にインターネット接続のWCNに関しては、1997年のサービス開始以来高いご支持を頂戴しており、現在はサービス開始時の回線数の8倍以上の数字となっています。
 ただし、データセンター需要などをみますと、先行した東京に比べ1〜2年のタイムラグがあり、市場規模も東京の10分の1以下程度というのが現状です。

――IP(インターネットプロトコル)市場の東西格差が広がる傾向がありますね。

大土井 たしかに、国内のIX分散が必ずしも進んでいないのが実態です。現在、日本国内にあるインターネット相互接続点(IX)は、東京にJPIX(日本インターネットエクスチェンジ)とWIDEプロジェクトが運営するNSPIXP-2などがあり、大阪にはNSPIXP-3がありますが、OMPでは、エリア内と東京周辺との間の通信量が増え続けている現状に対応するのが課題となっていました。そこで高品質なサービスを維持するため、OMPでは昨年2月に、東京の2大IXに直接乗り入れることにしました。これによって、ユーザーが多い大手在京プロバイダーと直結する形態になり、最大限スループットが高められるメリットが出てきます。

企業向け専用IP1.5Mで20万円切る

――具体的な法人向け活動の現状や最近好調なサービス、これからの目玉商品などをお聞かせ下さい。

大土井 現状の市場の売れ筋商品は、やはり企業向け常時IP接続サービスの「WCNビジネス」、専用線ではATM(非同期転送モード)と従来の高速デジタル専用線のエコノミークラスである「DE1500」が販売のほとんどを占める形となっています。
 ただ、ATMやDE1500は、従来のサービスに比べますと相当割安なサービスとなっており、回線数は伸びているのですが、回線の単価がどんどん下がっておりますから、従来の収入の伸びを確保するために営業スタッフが奔走しているような状況です。
 現在、当社のインターネット接続サービスは6Mbpsまでの帯域しかないのですが、これ以上の帯域を求めるお客さまが増えてきていることから、さらに広帯域のWCNメニューを春までに打ち出したいと考えています。
 また、最近の専用線でのインターネット接続は1.5Mbps帯が中心となってきましたが、当社でも昨年8月にアクセス料金込みで19万8000円の「WCNビジネスU」をリリースしました。これは、企業や学校など、昼間の使用が主なお客さま向けの商品で、夜は帯域を絞らせていただくというもので、従来の昼夜同帯域の商品の場合、1.5Mbpsの価格相場は30万円以上ですから破格の料金設定で、今後これを目玉商品として打ち出していきます。
 このほか、インターネットを通じてコンテンツを流すASP事業者にお使いいただきたいサービスが「WCNアップストリーム」です。通常のユーザーはインターネットを通じてコンテンツをダウンロードするため、下り方向のトラフィックが混雑します。このトラフィック特性を利用して、空いている上り回線を主にお使いになるASP向けに格安で帯域を提供するのがこのサービスです。料金も10Mbpsで15万円と、かなり割安な価格です。
 こういった商品は、情報の流れであるトラフィックの流れの隙間を利用して、値段を安く設定するという、当社なりに工夫をさせていただいた商品であり、今後も積極的に売り込んで行きたいと考えています。

――他社との競争も一段と厳しくなっていますね。

大土井 最大のライバルであるNTTさんが昨年12月に学校向けの新商品を出されるなど、矢継ぎ早に廉価の新サービスを打ち出しておられますので、当社がこれまで強みとしてきた価格差での優位性が薄れつつあります。もちろんサービス品質を損なうような安値競争に突入する気はないのですが、こうした新サービスに対しても、お客さまのニーズに合わせた対抗サービスを打ち出していきたいと考えています。

――外資参入の動きおよび国内事業者の競争環境は、首都圏と比べてどうですか。

大土井 競争の厳しさは同じだと思います。とりわけ外資系キャリアは、東京と大阪に同時並行して進出してきているといえます。世界第2位の市場規模をもつ日本の通信市場は、外国資本にとっては魅力ある市場であり、この1年間に多くの外資が単独あるいは合弁という形で市場に参入してきました。また昨年10月には、KDDIという国内第2位の通信事業者が誕生しました。NTTの再編も含め、ようやく通信業界再編の概要がみえてきたといえます。
 また通信事業を取り巻く環境は、各種の規制緩和が進められたことなどで新規事業者の参入が加速され、事業者相互間の競争はますます熾烈になってきています。
 OMPでは、こういった内外の事情を背景に、ITサービスの強化や意思決定の迅速化、営業体制の強化を実現するために、従来の経営戦略を変更しなけばならない状況となりました。そこで昨年から2002年度までの3年間の「中期経営戦略」を策定し、これに基づき昨年夏に大規模な組織変更を行いました。

業種別・顧客層別営業体制に再編

――具体的にはどんな点が中期経営戦略のポイントになるのですか。

大土井 中期経営戦略の狙いは、グローバルかつ、スピーディに行動するトータルソリューションプロバイダーを目指し、電力系NCCグループで設立したPNJコミュニケーションズ(PNJ-C)を核に全国、グローバル展開を図るとともに、インターネット接続サービス「WCN」を軸とするIPサービスの強化を図るということです。
 一方で、今回の組織改正によって、ITサービスを強力に推進する体制の実現と、高度化・多様化する市場ニーズに迅速・柔軟に対応する営業体制の実現を目指します。
 特に営業強化面では、お客さまニーズにワンストップで応える営業体制の確立と、営業スタッフが営業活動に専念できるサポート体制の整備を柱に、組織固めを行いました。具体的なポイントは、第1に、従来の専用線、WCN、ISDNといったサービス別営業体制を改めて、業種別・顧客層別の営業体制に再編し、全ての商品を全ての営業スタッフが販売する「総合営業」体制を確立したこと。第2に、従来、企画部門で実施していた新サービス開発業務の機能の一部を営業部門にシフトし、お客さまのニーズを素早く柔軟に取り入れられるように新サービス開発体制を強化したこと。そして、第3に、各種権限を現場営業に委譲し意思決定を早めるとともに、社内事務処理支援や設備部門との調整を支援するサポートチームを新設したことです。

――地域通信事業者にとって、全国規模でネットワークサービスを展開するうえでワンストップサービスが課題ですが、この点はPNJ-Cに対してどう連携をとっていかれるのですか。

大土井 おっしゃる通り、エンド・エンドのサービス提供は電力系NCCの最重要課題ですが、これまでも全国10社では「最適営業」や「窓口一元化」というスローガンのもとで、サービス申し込み書式の統一など連携の工夫を重ねてきました。現在までの連携の実施状況ですが、まず、PNJ-Cとしては、グループ各社がWDM技術によって新たに構築した大容量バックボーンを活用し、高速・低価格のデータ通信サービスである「Powered-IPサービス」の提供を2000年夏から開始しています。

――1社体制についてはどのようにお考えですか?

大土井 これまでの経緯では、まず最初に電力系NCCは共通利害の課題解決や情報交換のための協議体を形作りました。次いで、他通信事業者との厳しい価格競争に対応してお客さまのご要望にお応えする必要性から、パワーネッツという企業回線の再販会社を設立し、さらにPNJ-Cの設立へと進んできました。
 これを1社体制にということですが、PNJグループ各社は、もともと地域に密着した電力会社を母体に営業展開してきただけに、各々の地域に根ざしたビジネス感覚を持っていますし、それだからこそ、地域固有の需要構造やお客さまニーズも十分に理解しています。例えば、持ち株会社方式にして形態だけ整えても実態がともなわなければ統合する意味はありませんから、われわれが持っている地域密着性の良さを残しつつ、一方でお客さま指向のサービスを提供できる形態は何かということを模索し続けてきたわけです。
 大事なことは、お客さまのご要望にお応えすることですから、そのための当面のベストの解決策として、今あるPNJ-Cで迅速な対応ができるように経営体質を強化することで実質的1社体制を固めることが最重要課題です。現在、今春のスタートを目指し最終調整を行っているところです。

――その次に出てくるのが海外展開の課題ですが、基本的スタンスをお聞かせ下さい。

大土井 アライアンスを含む海外展開は、PNJ-Cが中心となり、あらゆる観点から目下検討を重ねている段階です。肝心なのは、今後の通信市場を展望しIPを中心としたビジネス戦略に最も寄与することのできるパートナーと組むことです。 ――その点は国内におけるパートナーやアライアンスも同じことがいえますね。 大土井 われわれPNJグループは4月以降も電力系NCCの再編を急ピッチで進めていきますが、並行して他事業者とのさまざまな連携も積極的に模索しております。

回線ビジネスからサーバービジネスへ

――成長分野のデータセンター事業の取り組みと今後のビジネス展開をお聞かせください。

大土井 データセンター事業については、OMPでは約3年前から自社の局舎を利用して、ハウジングやWebホスティングなどのサービスを提供してきています。現在はこれをさらに発展させる形で、データセンタービジネスを積極的に展開しようとしております。
 このために、関西の主要都市に設置済のハウジングスペースの拡張に加え、今回大阪にスペースを増設し、合計約7000uのデータセンター用のスペースを新たに確保しました。企業ユーザーからの引き合いもますます増えつつあります。従来は関西におけるデータセンターの需要はハウジングが主でしたが、最近は保守運用サービスやWebサーバーの提供を併せて行なうケースが増えつつあります。しかも、従来のネットワーク事業者以外にも新たに異業種からデータセンタービジネスに参入してきました。今後は、各社が独自の付加価値サービスを核に差別化ポイントを訴える積極的な営業展開が鍵になると思われます。
 昨年から首都圏を中心にデータセンター事業が活発化していますが、その波が間もなく大阪に波及すると見込まれ、今年春から夏にかけて一つの転換期を迎えると考えられます。データセンターはビジネスエリアに集中した事業展開がポイントだとみており、安価で高品質なインターネットへのコネクティビティを提供できるというまさに当社の強みを生かせる事業といえます。当社はこれまで回線ビジネスの延長で位置付けてきたこの分野の事業について、今後、高い付加価値のサービスとして、サーバービジネスにも本腰を入れていく考えです。
 併せて、PNJグループ各社が各々の地域で展開しているデータセンターとの連携や、SI事業者などとの提携も進めていきたいと思います。

――最近の新規事業の取り組みをご紹介ください。

大土井 1つは、新たに設けた社内ベンチャー制度の第1号として、昨年9月に「ディーエスネットワークス」を設立しました。DSLや無線LANなどを利用し、コンシューマー向けにインターネット常時接続サービスを提供する会社です。これまですでに1000人以上の利用者を獲得するなど、順調な滑り出しをみせています。
 もう1つは、インターネット上で数字入力のみで簡単にホームページの検索ができるポータルサイト「104web」(http://104web.com/)をアイサイト社と共同で立ち上げました。すでに10万件を超えるユーザー登録をいただいており、2000年度末までにはさらにユーザー登録数を倍増の20万件としたいと考えています。

――今後の事業ビジョンと課題点をお聞かせください。

大土井 インターネットが登場した時から予定されていたことですが、いよいよ電話サービスに代表される回線交換サービスを事業収益の柱とする時代の終焉はもうそこにみえているようです。そのような状況から、当社としましてもIPに特化した事業方針を策定したわけです。従いまして、音声についてもIP網上で、つまりVoIPという形で、WCNの付加価値サービス戦略の一環としてビジネス展開していこうと考えており、できるだけ早い時期の商用化を目指し、現在準備を進めています。
 一方で、今後爆発的に拡大すると予想されるデータ通信市場で、お客さまのご要望にお応えし、競合他社に打ち勝ち事業を拡大していくためには、マネージドIPサービスやV-LAN、データセンターといった新規サービスを、全国一元的にスピーディに事業展開していくことが必須となると考えています。

(聞き手・小野憲男)
 

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