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2003年9月号

日本アバイア 代表取締役社長
鵜野正康氏
IP対応で一般オフィスへ進出
国内PBXメーカーと伍して戦う

コールセンター分野で高い実績を誇る日本アバイアが、
IPテレフォニー製品の拡充を機に一般オフィス、
中小事業所向けのビジネスにも乗り出した。
鵜野正康社長は、本格攻勢に向けて販売チャネルの整備を急ぐ。

Profile

鵜野正康(うの・まさやす)氏
1954年生まれ
公認会計士、インテグラン専務、USロボティクス社長、スリーコムジャパン副社長を経て、1998年日本ルーセント・テクノロジーに入社。2000年8月日本アバイア設立に伴い代表取締役社長に就任、現在にいたる

  御社は2002年6月から、「ECLIPS」(Enterprise Class Internet Protocol Solution、エクリプス)の名称でIPテレフォニー製品の拡充を進めていますが、実際のビジネスではどのような変化が表れていますか。

鵜野 われわれ日本アバイアは、これまでPBX製品「DEFINITY」を核にしたビジネスを展開してきましたが、その販売実績は約8割がコールセンター/CRM向けでした。しかし、“音声のIP化”という技術革新を捉えて、一般オフィス市場へとターゲットを大きく広げようとしています。実際、ECLIPSの投入によって一般オフィス向けの商談は着実に増えており、導入が決まった案件も出てきています。一方で、コールセンター向けの案件でも、既存システムの更新においてECLIPSが選ばれるケースが出てきていますから、既存領域、新規領域の両面でIPテレフォニー製品が動き始めています。
 ただ、その導入形態を見ると、過去の設備を撤廃しフルIPのシステムにするというお客様は決して多くはなくて、既存のシステムとIPテレフォニーを混在させる「ハイブリッド型」が大半です。われわれは、ECLIPSシリーズでのハイブリッド型対応だけでなく、DEFINITYにおいても内外線のIP化を可能にしています。この両方を合わせたテレフォニー製品全体で見ると、本体部分のIP対応は出荷実績の9割を占めるまでになっていますが、端末部分は従来からの多機能電話機もまだまだ相当数残っています。これは、お客様側で、IPのメリットは理解しながらも昨今の経済環境から「IP対応のベースは作っておくけれど端末は当面既存のものを使おう」という意識が強いことも1つの要因といえます。

  今後の市場の推移をどのように見通していますか。

鵜野 マーケティングでよく使われるペネトレーションのモデル―(1)イノベーター、(2)アーリーアダプター、(3)アーリーマジョリティ、(4)レイトマジョリティ、(5)レイトアダプター―に当てはめると、IPテレフォニーは(2)から(3)への移行段階にあると思います。また、アバイア全体の統計を見ると、IPテレフォニー製品の売り上げが四半期ごとに数十%という勢いで伸びていますし、米国本社では、2005年第1四半期にIPテレフォニー製品の売り上げがレガシーPBXを逆転すると予測しています。

  フルIPシステムとハイブリッド型のウエートはどうなっていきますか。

鵜野 当分はハイブリッド型の比率が高い傾向が続くでしょうが、SIPや無線LANによる端末側の多様化、さまざまなアプリケーションとの連携といった付加価値化の進展が急速に進めば、フルIPシステムの需要にもドライブがかかっていくと思います。

オールインワンだからこそ売りやすい

  この7月に販売を開始したSMB(Small Medium Business、小中規模事業所)向けのオールインワンシステム「IP Office」は、御社のターゲット領域を大きく広げるものとなりますね。

鵜野 ええ。IP Officeは、最大256内線までをカバーし、従来からのPBX機能に加えH.323ゲートウェイ/ゲートキーパー、WANインターフェース、ルーター、ハブ、リモートアクセスサーバー、DHCPサーバー、ファイアウォール等、音声・データ統合ネットワークの構築に必要な機能をオールインワンで提供します。また、IP端末と従来からの電話機のハイブリッド型システムも構築できます。こうした特徴が受けて、すでに海外で1万2000システムを超える出荷実績をあげています。

 日本市場でも、リリースしたばかりですが非常によい感触を得ています。お客様からの問い合わせや引き合いだけでなく、販売チャネルの方々から「手頃な価格でセットアップも簡単。こんな製品を待っていた」という声をいただいています。
 われわれは、従業員数で250名程度までの企業と、大手企業のブランチオフィスをターゲットにしていきます。後者については、IP Officeのオールインワン型というメリットを訴えるだけでなく、ECLIPSシリーズの上位機種となるテレフォニーソフト「Multi Vantage」および「Media Server」、「Media Gateway」と組み合わせたネットワーク提案も行っていきます。

  相当なマーケット規模になりますが、どのようにアプローチしていくのですか。

鵜野 最初からすべてをカバーするというのにはあまりに層が厚すぎますから、当面は100〜150人程度以上の事業所を中心にアプローチしていくことになると思います。また、事業所規模が小さくなると、IPテレフォニー提案の以前にIPインフラが導入されているかどうかという問題もあります。従業員30人以下の事業所ではIP化率20%程度といわれています。願わくば、IP OfficeがIPインフラ導入の切り口になってほしいのですが、そううまくはいかないだろうというのが正直なところです。

  御社にとってSMB市場は新規領域だけに、販売チャネルをどう整備・拡充していくかも大きなポイントになると思います。

鵜野 そうですね。SMB市場への展開というだけでなく一般オフィスへのアプローチ強化ということからも、新しいパートナーを開拓していく必要があると思っています。
 その候補としては、PBXやビジネスホンを販売しているディーラーの方々がまずは対象になるでしょうが、ネットワーク構築やサーバー販売に携わっているSIの方々も有力な候補になります。さらに、今後SIP対応が進むことで機器の設定・設置がより簡単になりますから、これまでに電話、IPのビジネスを経験していない企業からも「パートナーになりたい」という声が出てくるのではないかと思っています。

  オールインワン製品の販売には電話とIP両方のスキルが求められます。これがチャネル整備の障害にはなりませんか。

鵜野 そういう心配は無用でしょう。まず、今後のビジネスとして、電話とIPが一緒になっていく市場に対応していく必要があります。その努力をしないディーラーは“市場からの退出”を余儀なくされるでしょう。
 そういう前提で、オールインワン製品の果たす役割を考えると、分かりやすく売りやすい形態として、ディーラー側が不得手な分野の技術を吸収し、ノウハウのない領域にも足を踏み入れるトリガーになると思っています。音声系とIP系が別々の製品だったらディーラー側で揃えなければなりませんが、オールインワンならそういう手間はかからないわけですからね。

  既存のパートナー経由での販売はいかがですか。

鵜野 もちろん期待はしていますが、これまでコールセンター向けのビジネスを主軸にお付き合いいただいてきたので、難しい面もあると思っています。コールセンター向けと一般オフィス向けでは提案のポイントも違ってきますし、新しい領域に踏み込むことへのリスクも少なからず感じていることでしょう。こうした点に関して、われわれとしてはスキルアップや商談におけるサポートを強化する必要があると考えていますし、それ以前に、「日本アバイアは、コールセンターだけでなく一般オフィス市場でも、国内メーカーと伍して戦っていく」という前向きな姿勢を明確にしていくことが重要だと思っています。
 実は、IP Officeの販売戦略に関して、もう1つの策を練っています。自社ブランドでの展開だけでなく、他のメーカー/ベンダーに対するOEM供給、ライセンス供与という形での流通です。今後IPテレフォニー向けにさまざまなアプリケーションが登場してくるでしょうから、それらのプラットホームとして当社の製品を使ってもらうというビジネスも成り立つのではないかと考えています。

コールセンターの新市場にも期待

  従来からのコールセンター分野では、今後どのような戦略を立てていますか。

鵜野 われわれは、これまで50席以上のコールセンター向けシステムで高いシェアを獲得し、500席以上になると競合相手も非常に少ないというポジションを築いてきました。この領域に関しては先述のように、既存システムの更新に伴うIP化提案を推し進めます。加えて、IP Officeのコールセンター機能を強化し、より小規模なコールセンターにも積極的にアプローチしていく考えです。
 さらに私は、この市場で「ホスティング」という新しい潮流と、それに伴うわれわれのビジネスが生み出されることになると見ています。これは、ECLIPSで採用した「モジュール構成」によって実現されるものといえます。ECLIPSは、従来PBXで提供してきた機能について、呼処理の部分を「Media Server」、内外線のインターフェース部分を「Media Gateway」というふうに分けてモジュール化したことにより、1台のMedia Serverで各拠点に分散設置したMedia Gatewayをネットワーク経由で制御するというシステム構成も可能になっています。この仕組みを使えば、コールセンター機能をセンター側から複数の企業に小分けするホスティングサービスを容易に提供できるようになります。こうした新しいビジネス形態が広がることにより、われわれとしては、最も強みを発揮している500席以上のシステムの販売先が増えるとともに、ホスティングサービスを受けるための企業側のシステムも提供していくことができます。

  IPテレフォニー事業の展開においては、通信事業者が提供するIP電話サービスとの接続も不可欠な要素になってきています。この点についてはどのように対応していきますか。

鵜野 事業者各社のSIPサーバーと当社製品の接続検証は始めていて、SIP対応の正式リリースに合わせて、事業者と連携してお客様へ提案していきます。

  一方で、通信事業者各社がIPセントレックスサービスを投入してきたことで、PBXのIP化に影響が出るという見方もあります。

鵜野 確かに、「通信事業者に全部任せる」というお客様も出てくると思いますが、それがすべてではなく、機能面に価値を求めるお客様も間違いなくいますから、われわれのビジネスチャンスも決して小さくないと思っています。
 むしろ、通信事業者との連携が深まることは、われわれのビジネス領域がさらに広がることになると思っています。
 そもそもアバイアは、ルーセント・テクノロジーから企業ネットワーク向け事業が分離独立してできた会社ですが、IP化の進展に伴って、通信事業者市場も意識する必要が出てきています。すなわち、企業ユーザーを開拓するために、通信事業者に向けたビジネスを展開するということです。
 実は、米国本社ではすでに通信事業者を担当する事業部が新設されています。われわれも10月以降、通信事業者に向けたビジネス戦略を明確にしていきたいと考えています。
(聞き手・大谷聖治)
 

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