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2004年10月号

日立コミュニケーションテクノロジー
取締役社長
青木榮司氏
VoIP提案の土台は整った
販売店とともに激戦を勝ち抜く

VoIP市場で注目される“アプリケーション連携”の提案に、
日立コミュニケーションテクノロジーが本腰を入れた。
青木榮司社長は、「販売店のIPビジネスを強く後押しする商品」と、
大きな期待を込める。

Profile

青木榮司(あおき・えいじ)氏
1943年3月生まれ。66年3月福井大学工学部電気工学科卒業、同年4月日立製作所入社。89年8月戸塚工場交換機設計部長、92年9月情報通信事業部(旧戸塚工場)企業通信本部長、94年2月情報通信事業部公衆通信本部長、95年6月情報通信事業部副事業部長兼戸塚事業所長。99年6月理事就任。2000年1月通信事業部長兼戸塚事業所長。02年10月日立コミュニケーションテクノロジー専務取締役を経て、03年4月取締役社長就任

  まず、御社の組織体制を教えていただけますか。

青木 当社は日立グループの通信機器事業強化策の一環として、2002年10月1日に誕生しました。日立製作所で主にキャリア向け通信機器の開発・製造を担当してきた通信事業部と企業向け通信機器の営業・サポート部門を分社化し、福島県郡山市に生産拠点を持つ企業向け通信機器の製造・販売子会社、日立テレコムテクノロジーと統合する形で発足したのです。
 そうした背景から、事業部門としては、日立製作所ブランドのキャリア向けインフラ機器製造を手がける「キャリアネットワーク事業部」、企業向け機器の製造を担当する「企業ネットワーク事業部」、主に企業向けの営業活動を展開する「営業本部」の3つを設けています。

  キャリア向け機器の営業部隊は日立製作所本体に残しましたが、その理由は。

青木 1つは、キャリア向け営業(現在のネットワークソリューション事業部)が、ネットワークインフラだけでなく情報系まで含めたトータルシステムを提案していることです。それと、日立製作所ブランドのほうが提案時に有利な場合があるという、営業現場の実情を考慮しました。
 ただ、機器の供給はもとより、実際のネットワーク設計・構築にも当社のスタッフが携わっています。事業主体が分かれていても、グループ内での連携は非常にスムーズに行われています。

数値目標は早くもクリア

  設立から2年近くを経て、事業体制再編の効果はどのように出ていますか。

青木 一番は「スピード」です。経営面でも業務遂行の面でも、大企業にない軽快さが出ました。これには2つの施策も大きく貢献しています。まず、各事業部の運営に関して、それぞれの事業部長に権限を委譲したこと。もう1つは、従来の体制にあった「本部長制」をやめて、司令系統を社長−事業部長−部長というシンプルな構造にしたことです。
 加えて、出身の異なる各事業部間のつながりを深めるために、マトリックス組織の設置も進めています。03年4月にマーケティング業務や事業戦略策定を担当する経営企画本部を設置しました。同年9月には戸塚と郡山の製造部門を「生産統括本部」として一本化し、本部長を私の直属としました。また04年1月には、ブランド戦略やコンプライアンス(法令遵守)を強化する狙いで「コーポレートサポート室」を設けています。さらに、営業強化に向けた構造改革として、04年6月にSEを営業本部に移籍させ、営業とSEを一体化しました。

  収益面でも予想以上の成果が上がっているようですね。

青木 ええ。売上高600億円、営業利益で黒字化を図るというのが当初の目標でしたが、初年度(02年度)の決算でぎりぎりですが営業黒字を出すことができました。そして03年度は、売上高で1000億円を超え、営業利益も100億円超を達成しました。

  好成績の要因は何ですか。

青木 やはり、苦しくてもこつこつとコア技術の開発を続けてきた努力が実ったということだと思います。
 例えば、企業ネットワーク事業部はこの間、IP対応製品の拡充に力を注いできました。「Zプロジェクト」と銘打って、旧来製品で多少利益が出ていても、思い切ってIP対応に切り替えていくという施策を展開しました。その結果、同事業部は02年度の厳しい状況から一転して、03年度に黒字化を果たすことができたのです。
 キャリアネットワーク事業部では、モバイル分野が大きく貢献しました。これまでキャリアへの納入製品は交換機と光伝送装置にとどまり、モバイル系には入れませんでした。しかし、次世代を睨んでかねてから取り組んできたEV-DO技術で参入を果たせました。加えて、この技術のシナジー効果として、企業向けのモバイルIPシステムも開発できました。

  キャリア向け事業と企業向け事業の比率はどのようになっているのですか。

青木 当初は2対1程度だったのですが、現在は3対1にまでキャリア向け事業が伸びています。企業向けも好調なのですが、それ以上にキャリア向けの光アクセスとモバイル機器が大きく伸びているためです。
 しかし、企業経営からすると、もう少しバランスのとれた事業規模が望ましいですから、せめて3対2くらいにはしたいと考えています。そのためには、企業向け製品・販売の構造改革をもっと進めていかなければなりません。

VoxiPの特徴は“売りやすさ”

  企業向けビジネスの強化策としては、何がポイントになりますか。

青木 当社の強みである音声系の技術を生かしながら、IP化がもたらす新しい価値をお客様に提供していくことです。つまり、VoIP導入で通信コストを削減するというだけでなく、アプリケーションとの連携によって業務効率化、顧客満足度向上、企業の競争力アップに貢献するということです。
 その具体的な形として7月にリリースしたのが、情報系アプリケーションも組み込んだVoIPソリューションパッケージ「VoxiP」(ボクシップ)です。「IP電話化ソリューション」「業種/業務向けソリューション」「ユビキタスコミュニケーション」「オフィスコラボレーション」「マネジメントソリューション」の5分野に計17のパッケージを用意しました。

  これだけ充実したラインナップを揃えるのは、大変だったのではないですか。

青木 そうでもありません。個々のソリューションは、以前からお客様に提案してきたものです。ただ、体系化していませんでした。そうした状況に対して、販売店の方々から「もっと分かりやすく、簡単に売れる商品にしてほしい」という声をいただいていました。そこで1年以上前から、日立グループ全体で販売店の要望に応える策を議論しました。結果として、日立製作所が6月に通信と情報システムを融合するソリューション体系「CommuniMax」を発表し、そのコンセプトに沿ったIPテレフォニー関連のパッケージとして、当社がVoxiPを出したのです。

  するとVoxiPは、企業ユーザーが「導入しやすい」というだけでなく、販売店にとっての「売りやすさ」も十分考慮されているわけですね。

青木 そうです。ハード/ソフトをあらかじめセットにし、システムの設計・構築・運用・保守サービスまでトータルに提供できるようにしましたから、従来のように単品を組み合わせてシステムを組み上げるよりも、はるかに扱いやすくなっています。
 もちろん、製品だけでなく販売サポート体制も整備しました。それが「VoxiPサポートセンター」で、販売店に対する見積り支援や営業・技術者のスキルアップ教育、さらにアプリケーションパートナーの開拓などを担当します。当初30名でスタートしましたが、順次増強していきます。

  販売店側の反応はいかがですか。

青木 実は、パッケージの1つひとつは分かりやすいのですが、一気に17も揃えたためか「詳しく説明してくれ」という声が結構あります。ただ、それも「前向きに取り組もう」という意思の表れと感じています。

  IP化に対して積極姿勢で臨んでいるわけですね。

青木 逆にいえば、着実に進んでいるIP化に対応できなければ、生き残っていけませんからね。当社としては、まずはVoxiPを足がかりにIPビジネスでの実績を早く上げていただきたい。そのうえで、システム納入後も安定的な利益を得られる“IP時代のビジネスパターン”をいくつか確立し、販売店の方々に提供していきたいと考えています。

販売店の人材育成にも注力

  販売店側に求める要件はありますか。

青木 「人材を育てていただきたい」ということです。IPについてお客様と会話ができて、情報系の知識も多少備えた人材です。製品や販売支援でいくらうまい仕組みを考えても、一番重要なのはやはり“人”ですからね。そこで今、当社独自の認定資格制度を作り、スキルアップ研修に力を注いでいます。
 1つは、VoIPネットワークを提案・構築するための「VoIPスペシャリスト」です。研修・資格取得後も5カ月間、当社に席を置き、お客様のネットワーク設計やキャリアとのVoIP機器接続検証など、販売店の日頃のビジネスではなかなか経験できないことをOJTで学んでもらいます。
 最近スタートしたのが、「Dr.P」という資格制度です。これは、お客様が使っているPBXの“寿命”を診断するスキルで、VoIP提案を側面から支援しようという狙いがあります。

  成果はいかがですか。

青木 VoIPスペシャリストの資格取得者は、今のところ30名程度にとどまっています。販売店にとって、優秀な人材が半年近くも現場から離れるのは厳しいですから、「人を出せない」という話も聞きます。それでも、将来を見通している販売店は、多少無理をしても社員を参加させていますし、資格取得者を出したところからは、「明らかに成果があった」という声をいただいているのも事実です。
 一方のDr.Pは、当初から多くの参加者を集めています。今までの経験を生かせるので、取り組みやすいのでしょうね。

得意な技術領域で海外へ進出

  今後の事業戦略について教えてください。

青木 グローバルな事業展開を進めるべく、いろいろと策を練っているところです。すでにPHSに関して、キャリア向けの基地局と企業向けのIP-PHSシステムを、特に中国市場に対して積極的にアプローチし、実績をあげています。加えて、光アクセスやEV-DO関連でも海外進出を図っていく考えです。
 このように、国内で優位性のある分野に絞って、「グローバルニッチのナンバー1」を目指していきます。

  収益面ではどのような計画を立てていますか。

青木 04年度の上期は、前年と同等の伸び率を確保できたので、これを通年で維持できるようにがんばります。
 また、現在でも売り上げ100億円を達成している月はあるのですが、2〜3年後には「月100億円の売り上げを安定的に稼げるようになりたい」と考えています。そのためには、先にお話したキャリア向けと企業向けの事業比率改善とグローバル展開を、何としても成功させたいと思っています。
(聞き手・土谷宜弘)
 

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