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2006年4月号

日本AT&T
AT&Tグローバル・サービス
湊 方彦氏
AT&Tブランドで再統合へ
顧客に選ばれるオンリーワンに

買収された方のブランドと戦略を継承し一層パワーアップした新生AT&T。日本法人の湊方彦社長は、「事業領域は変わらないが資本力が強化されたことで打って出ることが可能になった」と意欲的だ。

Profile

湊 方彦(みなと・のりひこ)氏
1960年兵庫県生まれ。85年3月東京大学大学院工学系研究科修士課程終了。同年4月日本アイ・ビー・エム入社。94年1月ネットワーク・サービス企画・開発担当マネジャー。95年1月IBM米国本社グローバル・ネットワーク事業部勤務、ネットワーク・サービス分野のビジネス開発(M&A、提携)を担当。97年1月日本IBMアジア太平洋地域、ネットワークサービス・マーケティング・マネジャー、98年1月ネットワーク・オペレーション担当ディレクター。99年12月AT&Tグローバル・サービス常務取締役 アジア・パシフィック・オペレーション本部長、2001年6月社代表取締役副社長を経て、02年1月にAT&Tグローバル・サービス代表取締役社長に就任。03年8月日本AT&T代表取締役社長を兼務。現在に至る

  昨年、米国の地域電話会社SBCコミュニケーションズが旧AT&Tを買収したことは、NTTを始め日本にも大きな衝撃を及ぼしました。しかし、日本にいるとその後の展開が今一つ見えてきません。新生AT&Tの現状を教えて下さい。

 買収のポイントには、新会社がブランド名のAT&Tを踏襲した点と、企業向けのビジネスの戦略を旧AT&Tからそのまま引き継いだという2点があります。
 ブランド名については、特に旧SBCのテリトリーでのブランド・キャンペーンが活発になっています。例えば、テキサス州のダラスです。現在ダラスの国際空港から市内に向かって車で移動すると、かなりの数のAT&Tの看板を目にします。今回の買収は、買った方が社名とブランド名を変えるという珍しい例ですが、「これでもか」というくらいの数の看板を見ると、旧SBCの経営陣の「AT&T」という名前に対する思いを改めて感じます。
 話は少しそれますが、今年2月10日にサッカーの日本代表と米国代表のゲームが行われました。野球のサンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地でサッカーをするということで日本でも大きく取り上げられましたが、その時の球場名は「SBCパーク」。実はその直後に「AT&Tパーク」に名称が変わりました。もう少し早ければ、日本の方々にもブランド戦略が順調に進行しているという印象を与えられたのではないかと思います。

  2つめのポイントである企業向けのビジネス戦略はいかがですか。

 戦略の踏襲も上手く流れ始めています。特に大きいのは、投資面です。昨年11月から投資の優先順位の検討に入り、今年の2月に確定し、成長セグメントに対するグローバル規模での投資が始まりました。旧AT&T単体のキャッシュフローだけだと、とてもそこまで大規模な投資はできなかったでしょう。両社のキャッシュフローを足すことで大きな投資が可能になり、成長セグメントをより伸ばしていけるようになったのです。
 つまり、順調すぎるのでニュースにならず、結果として現状が見えにくくなっているのでしょう。

再統合は自明の流れ

  昨日(3月5日)、地域電話会社大手のベルサウスとの買収合意の発表という大きなニュースがありました。

 この買収に関しては、大方の人が「そうだよね」と納得する既定路線のものだと思います。
 ベルサウスは、携帯電話キャリアの「シンギュラー・ワイヤレス」を所有しています。シンギュラーは、2000年4月にSBCワイヤレスとベルサウス・モビリティーが合弁して生まれた会社です。同社は04年2月にAT&Tワイヤレスを買収し、現在では加入者数で米国トップの携帯電話キャリアに成長しています。
 新生AT&Tにとっては、成長セグメントをきちんと手中に収めることが最重要課題です。このため、シンギュラーを100%手中に収め、既存のいろいろなポートフォリオと組み合わせて統一化していくことが不可欠だったのです。

  今のお話を聞くと、AT&Tの分割時に遡って、それが是だったのか非だったのかという議論も出て来そうですが、米国の実際の流れとしては、もう一度「統合」に向かっているということでしょうか。

 その点は、通信市場における「競争の枠組み」というなかで話をしないと、たぶん判断を誤ると思います。というのも、分割当時と現在とでは、競争の枠組みはまったく変わっているからです。
 例えば、当時の競争の枠組みのなかで、AT&Tを強大なまま残していて、果たしてここまで通信料金が下がって、通信業界はもとより、他の業界にもすごくプラスになっていたかというと、きっとなってはいないでしょう。
 だから、現在の競争の枠組みのなかで当時の判断をどうこう言うのは、おそらく間違っていると思います。逆に今、もう一度再統合みたいな動きになっているのは、現状の競争環境から考えると、自明の流れかもしれないと思います。

これからの競争相手はSI

  新生AT&Tの事業の方向性はどうなるのでしょうか。

 コンシューマー市場に関しては、当社では「トリプルスクリーン」と呼んでいますが、いわゆるトリプルプレイサービスをケーブルテレビ会社も始めていますので、彼らを競争相手とし、どのような形で各家庭に高品質なサービスを提供していくかがポイントになります。
 企業向け市場では現在、コミュニケーションサービスが単体では成り立たなくなっています。
 企業向けのキーワードは「セキュリティ」「コンプライアンス」「ワークスタイルのイノベーション」などがあげられますが、これらはすべてシステムインテグレーションのキーワードです。最近、アナリストが公表する資料を見ると、われわれAT&Tの競争相手はキャリアではなく、IBMやヒューレット・パッカードなどの有力メーカーやコンサルタント会社になっており、ここでもまったく違う競争の枠組みが作られています。
 つまり、大手SI会社をライバルと位置付け、ネットワークという切り口でどのようにアドバンテージを出していけるかが重要になります。
 システムインテグレーションの領域でお客様が複数社を選択することはまずありません。そういう意味では今後、本当にパートナーになれる会社が選別される時代になると思います。
 この2つの戦略が、新生AT&Tにとって非常に重要なものになっていくだろうと思います。

企業向けネットワークに特化

  国内の話に移りたいと思います。まず日本のAT&Tグループですが、湊さんご自身も日本AT&TとAT&Tグローバル・サービスの社長を兼ねていらっしゃいますが、その関係を説明していただけますか。

 現在、日本のオペレーションは4法人で運用しています。まず、「日本AT&T」です。これはAT&Tの国内事業の統括会社で、経理・人事・広報といった、いわゆる本社機能を担う会社です。
 もう1つは「AT&Tコミュニケーションサービス」で、昔でいう第一種通信事業者です。以前、「コンサートジャパン」として運営していましたが、コンサートとの提携を発展的に解消した後、通信設備等を引き受けた会社です。
 あとの2つは、「AT&Tグローバル・ネットワーク・サービス・ジャパンLLC」と「AT&Tグローバル・サービス」です。これらはAT&TとIBMの戦略的提携がきっかけで生まれた会社です。
 まず、1999年4月のIBMからAT&Tへのグローバル・ネットワークの事業移管に伴って、米国法人としてAT&Tグローバル・ネットワーク・サービス・ジャパンLLCを設立しました。その後99年12月に日本における事業主体としてAT&Tグローバル・サービスを作りました。
 このように4つの会社が存在するわけですが、実際に国内市場でビジネスを展開しているのは日本AT&TとAT&Tグローバル・サービスですので、実態的にはこの2社があると覚えていただければよいと思います。
 あとは、資本の関係で、日本AT&Tは100%AT&Tの株式ですが、AT&Tグローバル・サービスは、NTTコミュニケーションズの資本が15%入っています。
 現在の日本AT&Tグループのオペレーションは、企業向けネットワークの設計・開発・構築・運用に特化したものになっています。

  新生AT&Tになって、日本AT&Tへの影響はあったのでしょうか。

 先ほどお話したように、企業向けのビジネスは旧AT&Tの戦略を完全に踏襲していますので、組織体制も戦略も変わっていません。
 ただ、連続した流れのなかで、今後日本でのオペレーションは変わっていかなければならないと思っています。従来は、「ある程度切り詰められる部分は切り詰め、そのなかでどれくらいの儲けを出せるか」ということを考えていました。しかし資本力を強化できたことで、今後は「どの事業に投資すれば、どのようなことができて、どれくらい売り上げを伸ばせるか」を考えることができます。

トラブル対応の鍵は“人”

  具体的にはどこに注力しますか。

 4つあります。まず、グローバルな視点でのビジネスです。現在は、日本の企業も積極的に海外に進出しており、海外拠点も含めた対応が求められています。それに応えなくてはなりません。主戦場は中国と米国だと思っています。
 次にセキュリティです。方法はいろいろと考えていますが、一例をあげれば、お客様のシステムに鎧を着せて守るのではなく、事前にネットワーク側でウィルスなどを浄化するサービスが必要だと思います。

  そうすれば、顧客もシステム武装する煩わしさから開放されますね。御社は以前から「ネットワークは構築して終わりではない。運用まで手掛けることが重要」とアピールしています。ここの強化もポイントのような気がします。

 その通りです。ネットワークは複雑化しており、しかも、トラブルが発生した際のビジネスインパクトも飛躍的に高くなっています。
 対応策としては、システムのクオリティを高めることはもちろんですが、最も重要なのは、トラブルに対応する人間の判断です。そこに優秀な人間を充てているかいないかで、ネットワークの停止時間が3分で済むところが3時間になったりします。それは当社の過去の膨大な事例から明らかです。私はその部分を「アート」と呼んでいますが、そこに優秀なアーチストを配置していきます。
 最後はインテグレーションです。お客様が満足するネットワークを構築する「プロジェクトマネジメント」の思想がコアになってくると思います。

  今後の目標はどこに置いていますか。

 当社は99年以来、売り上げベースでずっと2ケタ成長を続けています。ですから、06年もそれを継続することが目標です。
 しかし、毎年分母は大きくなっているので、目標達成は容易ではありません。また、回線単価は毎年のように下落していますので、同じ数の契約を獲得してもマイナス成長になります。
 そうしたなかで、いかにして今後2ケタ成長を維持していくか。そこが腕の見せどころだと思っています。
(聞き手・土谷宜弘) 

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