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Interviewインタビュー

2013年9月号

「スマートライフ戦略」は順調に進捗
海外事業はプラットフォームに軸足

坪内和人氏

坪内和人氏
(つぼうち・かずと)
1976年3月東京大学法学部卒業、同年4月日本電信電話公社入社。85年2月同東京電気通信局経理部主計課長。同年4月日本電信電話株式会社東京総支社経理部主計課長。99年1月同持株会社移行本部第五部門担当部長。同年7月同第四部門担当部長、2004年6月エヌ・ティ・ティ・ドコモ関西取締役財務部長。09年3月同Tata Teleservices Limited(インド)取締役(現職)、2012年6月同代表取締役副社長、現在に至る

NTTドコモ
代表取締役副社長
坪内和人氏

ドコモは、夏商戦で特定の機種を販促する「ツートップ戦略」を採用したが、純増数やMNPでは苦戦が続いている。一方、サービスでは2015年度に売上1兆円を目指す新領域を強化しており、この7月には関連部署を集約する「スマートライフビジネス本部」を立ち上げた。坪内副社長にドコモの基本戦略の進展と海外事業の展望を聞いた。

第1四半期決算は、通信キャリア3社の中で2社が増収増益、ドコモは増収減益でした。「ひとり負け」といった表現も使われていますが、どのように分析していますか。

坪内 純増数やMNPでは苦戦が続いており、販促費を積み増したことで営業利益が前年比でマイナスになりました。こうした面がクローズアップされていますが、スマートフォンの年間出荷台数のうちドコモは45〜50%のシェアを取っており、決して他社に売り負けているわけではありません。
 また、あまり目立たないかもしれませんが、今年度の事業運営方針として掲げる「スマートライフのパートナーへ」の実現に向けて着実に進んでいると評価しています。

スマートライフのパートナーとは、具体的にどのような取り組みですか。

坪内 我々としては、ネットワークを構築し、端末を販売するという通信キャリアとしての責務をきちんと果たした上で、スマートフォン時代の構造変化に合わせてサービスを新たな収益源として強化しようとしています。それを実現するためには、高速なネットワーク、その上で動く高機能端末、そして多様なサービスが必要です。
 LTEサービス「Xi」は最大112.5Mbpsと100Mbpsを超えるとともに、加入者全体の4分の1にあたる約1500万件が契約しています。またスマートフォンは2000万契約を超え、契約者全体の3分の1が利用している計算です。このまま順調に行けば、約6000万いるお客様のかなりの部分がXi対応のスマートフォンを使うようになります。
 その上で提供するサービスについては動画や音楽などデジタルコンテンツが先行していますが、スマートフォンから注文してコンテンツを受け取り、料金は月額利用料と一緒に引き落とされるというプラットフォームを今後は食品・日用品などリアルな物販や、学習や旅行など生活サービスにも展開していきます。
 さらにdocomo IDの導入でキャリアやネットワーク、デバイスに関係なくサービスを利用できる環境を作ることで、お客様の利用機会を拡大し、生活の質の向上を図る狙いがあります。そのための基盤は着実に広がっており、よい方向に向かっていると実感しています。

ツートップ戦略は冬商戦も継続

この夏商戦は「Xperia A」と「GALAXY S4」の2機種に販促費を集中させる「ツートップ戦略」を採用しました。その結果、両機種の販売は好調ですが、他のメーカーは販売不振に陥り、NECのようにスマートフォンからの撤退を決めるところも出ています。

坪内 ツートップ戦略の前に、春商戦では「Xperia Z」を「一押し」としたように、ここ半年ほどは端末を絞ってきました。
 もともとAndroidの採用を決めたのは、自由度が高く、国内外のメーカーが競い合って開発することで、一機種しかないiPhoneを凌駕するような機種がいずれ出てくるだろうと期待したからです。確かに、高精彩な画面の端末や防水端末など、それぞれの機能ではiPhoneに勝る端末が出てきました。しかし、全体のバランスではiPhoneは優れた端末です。
 そのような中で、幅広いラインナップを揃える従来の方針をあらため、「これなら売れる」と自信を持ってお薦めできる機種に絞ってご提案することにしました。夏商戦はそれがXperia AとGALAXY S4の2機種だったのであり、決してメーカーを絞ったわけではありません。

ツートップ戦略により、端末調達コストの低減や応対時間の短縮といった効果も生まれています。冬商戦では「ワン」「ツー」「スリー」のいずれになるのかわかりませんが、特定の機種を重点的に販売する戦略を続けるのですか。

坪内 そうですね。そもそもKDDIがiPhoneを取り扱うようになった時点で、3社のうち2社が1機種を数百万台ずつ販売することになり、残りの台数をドコモの中で複数のメーカーが分け合うことに無理があったのではないでしょうか。これまでのように、年間40〜50機種も投入するやり方に戻ることはできないと思います。

ツートップ戦略はドコモ内のフィーチャーフォンからスマートフォンへの移行に一定の成果はあったものの、MNPによる他社への流出が続いていることを考えると、やはりiPhoneを導入する必要があるのではありませんか。

(聞き手・土谷宜弘)
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