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Interviewインタビュー

2014年7月号

ワークスタイル変革でリード役
UCはSMBでこそ効果発揮

平井康文氏

平井康文氏
(ひらい・やすふみ)
1983年3月九州大学理学部数学科を卒業後、同年4月日本IBMに入社。米IBM出向、日本IBM社長補佐、理事・ソフトウェア事業部長、米IBMソフトウェア・グループバイスプレジデントなどを経て、2003年3月マイクロソフトに入社し執行役専務として大手法人事業部門を指揮。08年システムズに入社。副社長エンタープライズ&コマーシャルおよびパブリック・セクター事業担当を経て、2010年8月代表執行役員社長に就任。新経済連盟理事、経済同友会幹事、経営品質協議会幹事としても活動

シスコシステムズ
代表執行役員社長
平井 康文 氏

シスコシステムズは2014年度、IoE、クラウド、ワークスタイル変革を事業の柱に据えている。モノだけでなく人やプロセス、データも融合するIoEは、スマートシティをはじめさまざまな業種に応用が期待できるという。ワークスタイル変革については他社に先駆けて社内で実践しており、「さらに先を目指したい」と平井康文社長は語る。

家電や自動車といったモノに通信機能を持たせ、インターネットに接続することで新たな価値を生み出す「Internet of Things(IoT)」が注目を集めています。シスコでは「Internet of Everythings(IoE)」を提唱していますが、両者はどう違うのですか。

平井 IoTはM2Mやセンサ技術など、モノとモノがつながり情報を収集する段階にとどまっています。これに対し、IoEはモノだけでなく、すでにインターネットに接続している人やプロセス、データを融合させることで新たな価値を生み出すという考え方で、両者は次元が異なります。

IoEはIoTも包含し、よりトータルな概念になりますね。

平井 そうです。IoEは世の中に存在するあらゆるものを融合していくという考え方になります。そのIoEを実現していく過程で注目すべきキーワードの1つが、ACI(Application Centric Infrastructure)です。これは物理および仮想のネットワーク上のITリソースを可視化し、アプリケーションからそれらを統合管理できるようにする技術で、SDN(Software-Defined Networking)も含めソフトウェアやハードウェアなどを統合的に管理しようというものです。
 もう1つのキーワードが「Intercloud(インタークラウド)」です。IoEをビジネスとして実現するには、パブリッククラウドやプライベートクラウドなど多様なクラウド同士をつなぐことで企業のアプリケーションのポータビリティを高めることが必要になります。また、運用やセキュリティに関する共通のポリシーを提供すると、人やデータ、モノなどがネットワークとつながってビジネスモデルやサービスを作るときに柔軟性や可用性が確保されます。
 IoEを実現するためにインタークラウドが重要であり、それを支えるアーキテクチャとしてACIがあるというように、これら3つは階層的に相互連携しています。

IoEを支える概念として、シスコでは「フォグコンピューティング」も提唱しています。

平井 フォグ(霧)とは、クラウド(雲)よりも地上(現場)に近いことから、膨大な量のデータをデータセンターで集中的に管理するのではなく、エッジの部分である程度処理するという発想です。必要なときだけ機能する仕組みで、IoEを推進する上で重要な考え方になります。

西武ドームの事例を五輪に応用

IoEのビジネスとして具体的な事例にはどのようなものがありますか。

平井 1つは、当社の「スタジアムWi-Fiソリューション」を活用し、NTTブロードバンドプラットフォーム(NTT BP)との協業により、西武ドームでWi-Fi環境を構築しています。Wi-FiをスタジアムのICT基盤とすることで無料のインターネット接続サービスや動画、試合観戦中のリアルタイムの対戦データなどを提供し、観客のユーザビリティを高めることができます。
 西武ドームの事例は、そのまま2020年の東京オリンピック・パラリンピックに応用できると考えています。というのも、日本には無料Wi-Fiスポットが少なく、来日する外国人観光客の大きな不満となっているからです。
 2020年に向けて注目されるのが東京における広域パブリックWi-Fiの構築であり、西武ドームの事例はスモールスタートにすぎないかもしれませんが、1つの実験成果になりうると思います。
 オリンピックではさまざまな国から観光客を受け入れるために街中の標識を多言語に対応することが必要となりますが、標識にウェアラブル端末をかざすと多言語に翻訳されるといった技術が開発されるかもしれません。これはIoEのよい事例になるでしょう。まだ6年あるだけに、新たな価値連鎖の可能性を秘めていると思います。

海外ではすでにIoEを活用した事例がいくつもあるようですね。

(聞き手・土谷宜弘)
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