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Interviewインタビュー

2015年5月号

「電力×ICT」で新たな価値を提供
全面自由化は通信業界にも好機

池辺裕昭氏

池辺裕昭氏
(いけべ・ひろあき)
1973年九州大学工学部電気工学科卒業、 日本電信電話公社に入社、デジタルネットワーク及び通信用電源システムの開発・運用業務に従事する。1985年NTTファシリティーズ設立とともに移籍、営業・事業開発・国際業務等を担当。2009年 代表取締役副社長、2011年 エネット代表取締役社長(現職)に就任

エネット
代表取締役社長
池辺 裕昭 氏

来年実施される「電力小売りの全面自由化」に向けて、NTTファシリティーズの子会社で、新電力の中でシェア50%を持つエネットが準備を進めている。池辺裕昭社長に電力自由化に向けた取り組みと 通信業界に期待される役割を聞いた。

エネットが設立されて15年になります。現在、事業はどういう状況ですか。

池辺 エネットは電力の小売が自由化された2000年にNTTファシリティーズが40%、東京ガスと大阪ガスが30%ずつ出資して設立されました。現在は高圧(6000V)、特別高圧(2万V以上)で受電される大口のお客様を対象に、他県と電力線がつながっていない沖縄を除く全国エリアでビジネスを展開しています。
 東日本大震災後の電力不足や値上げによって新電力への関心が高まり、現在では2万件以上のお客様に、私どもの電気を利用していただけるようになっています。
 2013年度の販売電力量は100億kWhで、電力会社の中では沖縄電力を抜いて全国10番目の規模になっています。売上高もこの年初めて2000億円を超えました。

安定的な電力確保に強み

エネットのサービスが企業顧客に受け入れられた理由はどこにあるのでしょうか。

池辺 いくつか要因はあると思いますが、電気を安く利用したいという強いニーズがあったということがまず挙げられます。
 また、既存の電力会社が各事業エリア内の小売であるのに対し、弊社は全国のお客様に、電力の小売サービスを提供していることが挙げられると思います。全国で事業を展開している企業にとっては、契約を1つにまとめることができるので都合が良いわけです。
 もう1つ大きな要因として、株主のガス会社の100万kWクラスの大型LNG火力発電所などから供給を受けることで、お客様の要望に応えられる電力を確保できていることもあると思います。
 エネット自身も千葉、茨城、舞鶴の3カ所に発電所を持っています。加えてNTTファシリティーズの大規模太陽光発電所や自治体のゴミ火力発電所や小規模水力発電所など150カ所に及ぶ多様な電源を組み合わせて、お客様に安定的に電気をお届けしています。これが弊社の大きな強みといえます。

企業にはどのような形で営業を行っているのですか。

池辺 会社の規模は決して大きくありませんから、直販と委託営業を組み合わせて効率的にビジネスを展開しています。
 委託先は、株主である東京ガス、大阪ガス、NTTファシリティーズが中心になっています。
 電気の供給先はオフィスビルから公共施設、学校、工場まで、広い分野に及びます。

NTTのビルへの電力供給の比率は高いのですか。

池辺 供給量でいえば、一般のビルの方が多いです。
 実は当社のビジネスモデルは、大口需要家の全てに電力を供給できるというものではありません。
 LNG火力発電は料金単価の高い昼間はペイしますが、料金単価が下がる夜間は逆ざやになってしまう。ベース電源と呼ばれる石炭火力や原子力発電、大規模水力発電でなければ、夜間に安価な電力を供給するのは難いのです。しかしこれらは電力会社しか持っていません。
 NTTの施設は24時間コンスタントに電気を必要するところが多いのですが、我々はこれに対応できる電源を多く入手できないのです。

デマンドレスポンスが鍵に

来春、すでに自由化されている高圧・特別高圧電力に加えて、低圧電力(100/200V)も自由化されます。これにはどう対応しますか。

池辺 我々は新電力のリーディングカンパニーとしてやってきましたから、当然低圧電力の分野にも参入していきたいと考えています。

低圧電力のターゲットは、家庭を含む小口ユーザーです。この分野ではどのような点がエネットの強みになるのですか。

池辺 既存の電力会社は電気を売ることを中心にビジネスを行っていますが、エネットは創業当初からITと電力を結び付けて、新たな付加価値を付けた電気をお届けすることを基本コンセプトに掲げて、サービスを展開してきました。
 エネットという社名もエネルギーとネットワークを組み合わせて新しい価値を生み出していきたいということで付けたのです。
 これも弊社の大きな強みになると考えています。

具体的にどういう事業プランを考えていますか。

(聞き手・土谷宜弘)
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