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Interviewインタビュー

2016年7月号

SDN/NFVはさらに進化し
「考えるネットワーク」へ

中尾彰宏氏

中尾彰宏 氏
(なかお・あきひろ)
1991年、東京大学理学部卒業。1994年、同大学大学院工学系研究科修士課程を修了し、同年、日本IBMに入社。米IBMのテキサスオースチン研究所、日本IBM東京基礎研究所などを経て、米プリンストン大学大学院コンピュータサイエンス学科にて修士号および博士学位を取得。2005年、東京大学大学院情報学環 助教授に就任し、2007年に准教授、2014年から教授(現職)。第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF) ネットワーク委員会の委員長も務める

東京大学教授
東京大学大学院情報学環
中尾彰宏 氏

仮想ネットワークの第一人者で、日本の5G推進団体「5GMF」のネットワーク委員会委員長も務める中尾教授は、「SDN/NFVの次なる進化が始まっている」と語る。次の進化のキーワードは、SDNとNFVの合体、5G、エッジコンピューティング、そしてデータプレーンのプログラマビリティなど──。さらに広範囲にネットワークをソフトウェア化しながら、「考えるネットワーク」へ発展していくという。

SDNやNFVの導入が着実に進んでいますが、今後どう発展していくとお考えですか。

中尾 SDNとNFVの両方の技術を組み合わせて活用しようという話は、今どこでも議論されていますが、最近SDNとNFVを合体させ、もっと大きな変革を実現しようという動きが加速しています。
 例えば、近頃流行っているホワイトボックススイッチもその動きの1つです。

ホワイトボックススイッチとは、ネットワークOSを搭載しない汎用スイッチのことですね。従来のスイッチはソフトウェアとハードウェアが一体で販売されてきました。一方、ホワイトボックススイッチはx86サーバーと同じように、ソフトウェアとハードウェアが分離しています。

中尾 だから、自分で選択・開発したソフトウェアを入れられます。
 SDNを説明する際には、アプリケーション、コントロールプレーン、データプレーンの3層モデルの図がよく使われます。この3層のうち、どこがSoftware-Definedなのかというと、コントロールプレーンから上。パケットを転送するデータプレーンは、プログラマブルではありませんでした。しかし、ソフトウェアを自由に選択・開発できるホワイトボックススイッチなら、データプレーンにもプログラマブル性が出てきます。

汎用ハードウェア上のソフトウェアでスイッチ機能を実現するのですから、NFVとよく似ています。

中尾 「SDNとNFVはだんだん似通ってきている」というのは、多くの研究者の共通認識です。
 そこで標準化の世界では、「SDNとNFVを合体して制御しよう」という話も出ているのですが、そうしたなかSDNとNFVの次の進化の方向性を示すキーワードとして使われ始めたのが「ネットワークソフトウェアライゼーション」です。
 ITU-Tは、IEEEの学会「Network Softwarization」での議論を元にして、ネットワークソフトウェアライゼーションについて、「『ネットワークの機器や機能をソフトウェアプログラムによって具現化し、より柔軟かつ迅速にサービスを構築・運用していく』という通信ネットワークにおける大きな変革を意味し、全ての焦点技術に関連する重要技術」と説明しています。
 SDN、NFVと言うと、単なる個別のテクノロジーの話になってしまいます。これに対して、「ネットワークのソフトウェア化の動きをもっと大きく捉え、ソフトウェア化できるところは全部ソフトウェアで作っていこう」というのがネットワークソフトウェアライゼーションの理念です。

モバイルやWANもソフト化

これまでのSDN/NFVと比べると、具体的に何が進化するのですか。

中尾 方向性の1つは、適用領域の拡張です。ソフトウェア化される範囲がどんどん広がっていきます。
 特に注目しているのがモバイルです。まだSDNが入っていないモバイルの領域にSDNの考え方を持ち込むと一体どうなるのか。
 SDNによってネットワークを仮想的にスライス(分割)し、ユースケース毎に異なるニーズに対応しようという議論が、5Gに向けてITU-Tや3GPPなどの標準化組織で活発化しています。

いわゆる「ネットワークスライシング」ですね。

中尾 そうです。我々の研究室では10年以上、ネットワークスライシングの研究開発を行っていますが、モバイルの場合、エンド・トゥ・エンドでスライスを作らないと、ユーザーはその本当のメリットを享受できません。
 つまり、バックホール、基地局のベースバンドユニット(BBU)とリモートレディオヘッド(RRH)をつなぐフロントホール、端末までを全部スライスする必要があるのですが、今一番欠けているのがフロントホール/バックホールのスライス技術です。
 そこで日本の5G推進団体である5GMF(第5世代モバイル推進フォーラム)のネットワーク委員会でも、モバイルのフロントホール/バックホールをスライスするための技術が、大変ホットな話題になっています。

他にはどんな領域に広がりますか。

(聞き手・太田智晴)
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