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Interviewインタビュー

2018年3月号

デジタル変革でADCに新市場
全アプリがF5のターゲットに

権田裕一 氏

権田裕一 氏
(ごんだ・ゆういち)
1971年4月生まれ。94年5月、米セントエドワーズ大学で経営学士号を取得。ウェザーニューズ、ユーユーネットジャパン、ジュニパーネットワークス、スプリント・インターナショナル・ジャパンを経て、2003年11月にフォーステン・ネットワークス営業本部長、2009年1月に同社代表執行役社長。2010年12月からブロケード コミュニケーションズ システムズ 執行役員 営業本部本部長を務めた後、2017年10月にF5ネットワークスジャパン 代表執行役員社長に就任し現在に至る

F5ネットワークスジャパン
代表執行役員社長
権田裕一 氏

デジタルトランスフォーメーション時代の本格到来を前にして、ADC(アプリケーションデリバリーコントローラー)市場のリーダーであるF5ネットワークスが、大きな危機感と期待感の両方を胸に新戦略を打ち出した。権田裕一新社長は、マルチクラウドとDevOpsの2つをキーワードに、「ソフトウェア間」というブルーオーシャン市場の創出を目指すと意気込む。

昨年10月の社長就任から間もないですが、マルチクラウドとDevOpsの2つのキーワードを挙げて、デジタルトランスフォーメーションの時代にF5が進むべき方向性を示しました。

権田 UberやAirbnb、Netflixなど、ここ数年、デジタルのパワーを本当に強く感じます。では、デジタルトランスフォーメーションは、何によって実現されているのか。それはもちろんソフトウェアですが、我々が着目しているのは、そのソフトウェアがどこで動いているかです。
 これまでF5が主に対象としてきたのは、オンプレミスのミッションクリティカルなアプリケーションでした。しかし、デジタルトランスフォーメーションの波を考えると、今後は当然、マルチクラウド化がダイナミックに進んでいくでしょう。
 また、それを支えるのがDevOpsです。従来のウォーターフォールからアジャイルな形へと開発手法が変わり、デジタルトランスフォーメーションを実現していきます。そこで、マルチクラウドとDevOpsをこれからのF5のストラテジーの軸と捉えているのです。

そうした戦略の背景には、既存のハードウェア中心のビジネスに対する危機感もあるのですか。

権田 「ハードウェアビジネスがなくなる」とはよく言いますが、そう簡単にはなくならないでしょう。
 実際、ハードウェアビジネスはずっと右肩上がりで伸びており、F5は昨年度、過去最高の売上を記録できました。ただし、5年後、10年後も今と同じような成長率を確保できるかといえば、ここは守りの領域です。ハードウェアの機能強化はもちろん今後も粛々と進めますが、時代が変わってきているのだから、我々も変わらなければならない。新しいマーケットを作る必要があります。

12月に開催した事業戦略説明会では「大きな危機感」という言葉も使われましたが、そこでソフトウェアビジネスに注力するわけですね。

権田 過去を振り返れば、多くのリーダー企業が、次の時代にリーダーになることができませんでした。好調な既存ビジネスに甘んじて危機感を抱かなければ、気付いたときには「もう手遅れ」となります。

「ソフトウェア間」に新市場

「新しいマーケット」ということは、単にADCのソフトウェア化が進むのではなく、マルチクラウドやDevOpsの進展により、ADCの新たな役割・ニーズが出てくるということですか。

権田 F5は「Application without constraints」(制約なきアプリケーション)をミッションとして掲げてきました。アプリケーションがどこにあっても一定のSLAを確保し、かつセキュアに動くようにするというF5のミッションは今後も変わりませんし、我々のコア技術も大きくは変わりません。ただ、ソフトウェアが動く場所や作り方が変わることで、新しいマーケットが生まれると考えています。
 IDCは、2021年までに80%のアプリケーションがクラウド上で開発されると予測していますが、このとき必須の基礎技術となるのがマイクロサービスでありコンテナです。従来の大きなモノリシックなアーキテクチャから、今後はコンテナ化されたマイクロサービスが連携するアーキテクチャへと変わっていくでしょう。しかも、コンテナ化されたマイクロサービスのソフトウェアは、マルチクラウド間を移動します。
 このようにマイクロサービスとして分割され、マルチクラウドに点在するソフトウェア間のトラフィックやセキュリティをどう管理していくのか──。我々は「ソフトウェア間」という新しい大きなマーケットが出てくると考えているのです。

なるほど。ソフトウェア間に大きな成長領域があると。

権田 先ほど話した通り、F5のこれまでの対象アプリケーションはミッションクリティカルだけでした。しかし今後は、マイクロサービスのような小さなアプリケーションにも、どんどん訴求していきます。つまり、すべてのアプリケーションを対象にします。さらに、アプリケーションが動く場所に関しても、従来のオンプレミスだけではなく、マルチクラウドにも力を入れます。
 この「Every App, Anywhere」の施策によってビジネスをシフトさせることで、F5ジャパンは2020年に売上3割アップを目指します。

国内シェアを50%に

IDC Japanが昨年12月に発表した国内データセンター向けネットワーク機器市場動向によると、ADC市場の2016〜2021年の年間平均成長率は0.8%に過ぎません。2020年までに3割アップとは、簡単ではない目標にも思えますが、どう実現しますか。

(聞き手・太田智晴)
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