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Interviewインタビュー

2018年4月号

5Gだけが「次世代」ではない
法人市場への参入で拡大戦略

ジョン・ハリントン 氏

ジョン・ハリントン 氏
(John Harrington)
1969年イギリス生まれ。モトローラでGSM/CDMAの導入に携わるシステムエンジニアとして通信業界における経歴をスタートさせ、2001年〜2013年までイギリスと米国のアルカテル・ルーセントで経営および営業部門の要職を歴任。2013年〜2017年の4年間は、ノキア最大の顧客の1社であるAT&T Wireless担当バイスプレジデントを務めた。2018年1月にノキアソリューションズ&ネットワークス株式会社の代表取締役社長に就任し、日本の全ネットワーク事業を統括する

ノキアソリューションズ&ネットワークス
代表取締役社長
ジョン・ハリントン 氏

5Gの商用化に向けて盛り上がる通信業界。ノキア日本法人のジョン・ハリントン社長も「5Gは新しい産業であり、新しいマーケット」と期待を膨らませる。ただし、同社の目の前に広がるチャンスは、5Gだけではないようだ。通信事業者向け市場のみならず、運輸・エネルギー・公共を中心に、エンタープライズ市場にも攻勢をかけ、成長を目指す戦略だ。

今年1月に日本法人の社長に就任されましたが、来日前はノキアの米国法人でAT&T向けワイヤレス事業の責任者を務められていたそうですね。

ハリントン AT&Tは旧アルカテル・ルーセント時代からの大手顧客でして、ノキアとの統合前から私はAT&T担当の営業部門を率いていました。ですので、RAN(Radio Access Network)から固定系のIP/光サービスまで、非常に広いテクノロジーについて私は理解しています。
 日本と米国の通信事業者は似ています。5Gなどの先端テクノロジーに積極的ですし、ともに成熟したマーケットで、新しいバーティカル(業種特化市場)に向けてビジネスを拡大していこうと取り組んでいます。

5Gについては、5Gの無線方式である「5G NR」の策定も完了し、商用サービス開始に向けた動きがいよいよ本格化してきました。

ハリントン バルセロナで2月26日から3月1日まで開催された「Mobile World Congress 2018」(MWC)に参加しましたが、VRやロボットを組み合わせたユースケースなど、5Gに関する様々な展示が行われ、大変ワクワクするMWCでした。
 これまでの5Gの実証実験は、プレスタンダードで実施されていました。しかし、5G NRが策定されたことで、3GPP標準に則った5Gの姿が今年初めて見えてきます。ノキアも2018年、5G NRベースのソリューションをベライゾンやNTTドコモなどの顧客に対して提供します。
 MWCでは、AT&T、ベライゾン、スプリント、Tモバイルと米国の通信事業者が5Gの実装プランを出し始めたことに強い印象を受けました。日中韓の通信事業者も積極的であり、やはりこの4カ国が5Gをリードしていくと考えています。

5Gのキラーアプリは?

4G(LTE)のときよりも、今回のほうが通信事業者はアグレッシブに見えるのですが、どういった背景があると思いますか。

ハリントン 1つめの理由としては、5Gの周波数利用効率の高さが挙げられます。5Gは、同じ帯域幅でより多くのユーザーをサポートできます。
 2つめの理由は、5Gによって、新しい産業が登場するからです。今までのモバイルビジネスは、主にコンシューマー向けでした。しかし、5Gになると、ターゲットはマシンにも広がり、様々な産業からレベニューを得るチャンスが生まれます。
 ブロードバンドも当然さらに進化しますが、5Gで重要なことは、低遅延であることです。遅延時間は1ミリ秒であり、4Gでは不可能だった新しいユースケースを実現できます。
 5Gというのは、単なるコンシューマー向けのエボリューションではないのです。5Gは、新しい産業であり、新しいマーケットです。そこに大きなメリットがあると考えています。

そこで通信事業者は5Gに積極的なわけですね。

ハリントン 他方、5Gが社会に与える影響を考えますと、セキュリティや安全性がより高まっていくことになります。
 単にスピードが速いだけでは、社会にとって良いこととは言えません。
 B2Bに関して、特にどういった業界にチャンスがあるかですが、コネクテッドカー、港湾や鉄道などの運輸、電気・ガスなどのユーティリティ、公共等を挙げることができると思います。
 5Gによって、デジタルシティやデジタルライフ、デジタルヘルスといった世界が実現可能になっていきますが、これは5Gでは周波数を効率良く利用できるため、インフラ同士、マシン同士が会話できるようになるからです。

5G時代、具体的にはどんなアプリケーションが登場するのでしょうか。

ハリントン 「4Gのキラーアプリは何だったか」という質問があれば、その答えは「iPhone」になると思います。今のところ5Gに関して、そういったキラーアプリは存在していません。5Gを必要とするビジネスモデルやアプリケーションは、これから登場することになります。

現在はまだ、5Gのキラーアプリを生み出すための助走期間ということですね。

(聞き手・太田智晴)
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