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Interviewインタビュー

2014年2月号

15年4G実用化へ年内に電波割当
2020年に世界に先駆け5Gを開始

布施田英生氏

布施田英生氏
(ふせだ・ひでお)
1990年3月電気通信大学卒業。90年4月郵政省(現総務省)入省。95年5月外務省在セネガル日本国大使館二等書記官。2000年9月ITU(国際電気通信連合)事務総局長秘書官。06年7月総務省情報流通行政局放送技術課企画官。2010年7月同総合通信基盤局電気通信事業部番号企画室長。2011年7月同情報通信国際戦略局通信規格課長。2013年6月より現職

総務省
電波部 移動通信課長
布施田 英生 氏

総務省が4G(第4世代移動通信システム)を対象とした大胆な周波数開放に着手した。第一弾として2015年からの利用が見込まれている3.4-3.6GHz帯の最大200MHz 幅の割当を14年中に実施。さらに最大1.1GHz幅の追加割当も準備中だ。移動通信課長としてその舵取りを担う布施田氏に、4Gとその先の5G(第5世代移動通信システム)への取り組みをたずねた。

スマートフォンの普及で携帯電話トラフィックが爆発的に伸びてきています。総務省ではどのような対策を考えているのですか。

布施田 旺盛なデータ通信需要に応えられる電波周波数を確保していくことが、我々の大きな課題だと考えています。
 ここ数年、総務省は移動通信向けに意欲的に周波数帯を割り当ててきておりまして、昨年のいわゆるプラチナバンド(700MHz/900MHz帯)の割当により全国津々浦々でLTEサービスを提供できる状況がほぼ整備できたのではないかと考えています。まだ山間部を中心に、6万人程度の方が携帯電話の使えないエリアに住んでいらっしゃるので、こうした地域での基地局整備をどう進めていくかを研究会でご検討いただいているところです。
 それ以上に大きな課題として、対策を強く求められているのが、東京だと池袋、渋谷、新宿などの人が集まる場所で依然、通信速度が低下したり、つながりにくいといった状況が続いていることです。そこで、移動通信ではまだ使われていない3GHz以上の周波数を、現行のLTEより格段に高速な通信が可能で、周波数を有効に活用できる4G(第4世代移動通信システム、IMT-Advanced)用として割り当てたいと考えています。

14年中には割当を行う

3.4-3.6GHz帯の割当ですね。

布施田 2020年までに3GHz-5GHzの帯域のうち最大1300MHz (1.3GHz)幅を携帯電話に開放したいと考えています。3.4-3.6GHz帯の最大200MHz幅はその第一弾になります。
 政府は日本成長戦略(日本再興戦略)の中で2015年に3.4-3.6GHzを利用できるようにする方針を打ち出しておりまして、これを踏まえて2014年中には割当を行いたいと考えています。

現在は、携帯電話とBWA(広帯域移動無線アクセス)に割り当てられている周波数を全部合わせても500MHz幅程度です。その3分の1を超える周波数が追加されるわけですから、成長戦略としてもかなり大きな意味を持つことになりますね。

布施田 そうですね。3.4-3.6GHz帯で4Gを本格的に実用化することで通信業界のみならず、さまざまな産業分野に良い影響が出てくるのではないかと期待しています。
 3.4-3.6GHz帯は07年のITUの世界無線通信会議(WRC-07)で3Gや4G用に複数の国が共通で確保することで合意した「IMTバンド」になっています。欧州や韓国、中国や米国などもIMT-Advancedでこの帯域を使おうとしているのですが、実用化はおそらく日本の方が早いのではないかと思います。

割当に向けた作業はもう始まっていますか。

布施田 まさにこれからスタートするところです。最初にやらなければいけないのが、基地局の開設に関する指針の策定です。この周波数帯域はどのように使って下さい、複数の申請があった時の審査はこういう基準で行いますといった指針を告示で定めるわけです。技術的条件は、2013年7月に情報通信審議会で3.4-3.6GHz帯を利用するにあたって必要となるものが答申されていますので、あわせて省令の改正を行うことになります。
 その後申請を受け付け、指針の審査基準に沿って順位付けをし、それが正しいかどうかを電波監理審議会に審査していただいて、問題がなければ総務大臣が開設計画を認定する──これが一連のプロセスになります。
 もちろんこうしたプロセスを総務省が勝手に進めるわけにはいきませんから、まずこの帯域を使いたいと考えておられる事業者に集まっていただいて、公開ヒアリングを行うことを検討しています。

総務省では3.4-3.6GHz帯の電波割当から周波数オークションを導入する方針を出していたと思います。

布施田 2012年の国会にオークションを含む法案を提出しましたが、廃案になっています。今回の割当は従来通り比較審査で行うことになります。

欧州ではTDD方式が主流に

4Gの主力規格であるLTE-Advancedは、スペック上は最大3Gbpsの超高速データ通信が実現できる能力を持っています。3.4-3.6GHz帯ではどのようなサービスが提供されることになるのでしょうか。

(聞き手・土谷宜弘)
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