• トップページ
  • テレコミュニケーションとは
  • バックナンバー
  • 定期購読申込
  • 広告出稿の案内
  • 取り扱い書店
  • お問い合わせ

Interviewインタビュー

2014年6月号

「世界最先端のワイヤレス立国」へ
新たな電波政策ビジョンを確立

三田聖二氏

富永昌彦氏
(とみなが・まさひこ)
1982年東京大学大学院修了後、郵政省(現総務省)入省。電波政策、電気通信事業政策、放送政策、情報通信技術政策を担当する部局を経て、2002年より移動通信課長、電波環境課長、電波政策課長。2008年情報通信研究機構理事、2012年東北総合通信局長を経て、2013年6月より現職

総務省総合通信基盤局
電波部長
富永 昌彦 氏

5G(第5世代移動通信システム)の実用化が見込まれる2020年、さらにその先の電波利用を見通した議論が総務省の「電波政策ビジョン懇談会」で進められている。富永昌彦電波部長に「世界最先端のワイヤレス立国」に向けた新たな時代の電波政策の取り組みを尋ねた。

今年1月に発足した電波政策ビジョン懇談会で「電波ひっ迫解消のための政策の抜本的な見直し」と、「世界最先端のワイヤレス立国の実現・維持」をテーマに、新しい電波利用の姿が議論されています。狙いはどこにあるのですか。

富永 電波利用へのニーズは近年とみに高まってきていまして、特に移動通信分野ではデータトラフィックが年1.7倍という非常に高い伸びを示しています。これが5年、10年続けばトラフィックは現在の数百倍から1000倍になる可能性があります。
 利用形態から見ると、人と人とを結び付けるツールとして使われてきた携帯電話が、M2M──モノとモノとを結び付けるツールに発展しようとしています。少し先を見通すとあらゆるモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)の時代を迎えます。そのモノとの接続では電波が不可欠ですから電波利用は間違いなく爆発的に増えることになります。
 そこで、こうした新時代の電波利用の姿を展望し、それを実現していくための方策、例えば周波数がどれだけ必要なのか、行政としてどういう政策をとればいいのか、この新たな時代の電波利用を支える産業・社会はどういうものになるかなどを検討していただいているのです。

2020年を1つのターゲットとして議論が進められています。

富永 2020年というタイミングには大きく2つの意味があります。
 1つは、今年周波数を割り当てることとなる第4世代移動通信システム(4G、LTE-Advanced)の次の移動通信システムとなる5Gの実用化が2020年頃に見込まれています。そこで2020年以降を見据えて移動通信システムがどのようなものになるかを検討していただいています。
 もう1つ、2020年には東京オリンピック/パラリンピックという大きなイベントが日本で開催され、ここで電波利用が極めて重要な役割を果たすことになります。
 このタイミングで5Gなどが実用化できれば、「日本ではこんなに素晴らしい電波利用が行われている」と世界に向けてアピールできるはずです。それも視野に入れた形で議論をお願いしているのです。

新たな帯域目標を年内に

5月にも中間取りまとめが行われるようです。

富永 まず5月から6月にかけて中間取りまとめを行い、一定の方向性を出していただきたいと考えています。ここで出された論点についてさらに議論を深めて12月までに最終取りまとめを行っていただく予定です。

2010年の「周波数再編アクションプラン」では2015年までに新たに300MHz幅、2020年までに新たに1500MHz幅の周波数を確保するという意欲的な目標が掲げられ、注目を集めました。「電波政策ビジョン」では新たな目標が策定されることになるのですか。

富永 目標については、懇談会の後半で議論していただくことになるでしょう。これから電波がどのように利用され、どの程度の帯域が必要かを大胆に議論していただきたいと思っています。

懇談会での議論はかなり多岐にわたっているようですね。

(聞き手・土谷宜弘)
続きは本誌をご覧下さい

定期購読申込ページへ

単部買いページへ

テレコミュニケーション定期購読のご案内

TOPICS注目の記事

インタビュー

丹康雄 氏
北陸先端科学技術
大学院大学
副学長 教授

スマートホームを「公共財」に
震災きっかけに新しい地方の形