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Interviewインタビュー

2014年10月号

目覚しい発展と構造変化の30年
サービスレイヤーでOTTと競争

吉澤和弘氏

吉澤和弘氏
(よしざわ・かずひろ)
1979年4月日本電信電話公社入社。2003年7月NTTドコモ経営企画部担当部長。07年6月執行役員第二法人営業部長。2011年6月取締役執行役員 人事部長。12年6月取締役常務執行役員経営企画部長モバイル社会研究所担当。13年2月NTTドコモ・ベンチャーズ代表取締役社長兼務。同年7月NTTドコモ取締役常務執行役員 経営企画部長、事業改革室長兼務モバイル社会研究所担当。14年6月代表取締役副社長 技術、デバイス、情報戦略担当(現在に至る)

NTTドコモ
代表取締役副社長
吉澤 和弘 氏

日本で初めての携帯電話機開発に携わった経験を持つドコモ吉澤和弘副社長は30年を振り返って、「モバイル産業における構造変化が連続して起きている」と語る。競争軸が上位レイヤーに移るなか、ドコモはキャリアとしてはユニークな「サービスプロバイダー」としてポジショニングを取っており、サービスの厚みと広がりで実力をつけていく考えだ。

この30年は日本の通信業界の大きな変化の時期でしたが、ある意味、固定通信から移動通信へのシフトの時期と重なるといってもよいかと思います。

吉澤 ちょうど30年前、私は電電公社の技術局で移動機「TZ-802」の開発に取り組んでいました。もちろん今とは比較になりませんが、手で持って話せる携帯電話機の最初のものです。電電公社に入社したのは、初の自動車電話サービスがスタートした1979年です。その後、民営化したNTTの移動体事業部に4年ぐらいいましたから、私自身は30年とちょっと移動通信に携わっていることになります。

移動通信は30年間で目覚しい発展を遂げました。

吉澤 自動車電話の時代から今日のスマートフォン時代まで大きく変遷したわけですが、その間、大きな変曲点がありました。通信方式の変化、端末の変化、サービスの変化で捉えるとわかりやすいでしょう。
 第1世代はアナログの時代で黎明期です。93年から始まった第2世代(2G)はmova端末が一世を風靡したPDC方式の時期になります。iモードもこの時代で、まさに成長期です。さらに高速化が必要ということで、2001年からの第3世代(3G)のWCDMA方式でFOMAが始まりました。そして、2010年から3.9G ということでLTE方式Xi(クロッシィ)を始めたわけです。
 2GのPDC方式は前半期になりますが大きな意味を持っていたと思います。特に96年頃からドコモが毎年500万台、市場全体としては1000万ずつ加入者が増えていき、それが01年ごろまで続いて今日の基礎を築きました。
 また、パケット通信を使ったiモード登場のインパクトも大きいと思います。音声だけでなくモバイルでのデータ通信が可能となりました。加えてW-CDMAでの高速化により、モバイルインターネットの実用化が進みました。PDCは「ガラパゴス」の源流のように言われていますが、PDCこそがドコモの基盤を作ったといえます。これがドコモのみならずNTT全体、通信業界全体に与えた影響は大きいと思います。

技術方式の進化と市場の発展が連動し、移動通信へのシフトを加速していますね。

吉澤 その通りです。方式の変遷は同時にサービスの進化でもありました。
 当初は「音声コミュニケーション」中心でしたが、それがモバイルインターネットで「情報アクセス」へ、そしてiモードを経てコンテンツ、情報検索、取引・決済ができるようになり「生活支援」に進化しています。当時、「話す携帯から、使うケータイ」へと言っていました。
 BlackBerryとAndroidスマートフォンの発売が09年ですから、ここからスマートフォンで「行動支援」するサービスの段階へ入ります。方式の変化、端末の進化、さらにはサービスの進化があいまって市場拡大を実現してきました。

それは同時に、ドコモのビジネスモデルにも変化をもたらしました。

吉澤 当初はネットワークが事業の中心で、音声通話が収益の柱でした。iモードからはモバイルインターネットに収益の源泉が移り、その基盤となる決済・認証の「基盤プラットフォーム」が重心となりました。さらに、スマートフォン時代には、「サービスプラットフォーム」とサービスそのものに重心が移行しています。
 収益の源泉がより上位レイヤに移っているなか、ドコモはキャリアとしては珍しいかもしれませんが、サービスに重きを置いています。「サービスプロバイダー」としてのポジショニングを持つことで、ここではOTT(Over The Top)との競争になっています。

新しいプレイヤーとの競争ですね。一時期、キャリアに「土管化の危機」がいわれました。

(聞き手・土谷宜弘)
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