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Interviewインタビュー

2015年5月号

MVNOバネにISPトップグループに
社員一人ひとりの創意が成長の源

中川勝博氏

中川勝博氏
(なかがわ・かつひろ)
1971年3月同志社大学工学部電気工学科卒業。同年4月日本電気入社。97年7月同社交換移動通信事業本部移動通信国内システム本部長。2003年4月モバイルソリューション事業本部長。同年7月執行役員兼モバイルソリューション事業本部長。06年4月執行役員常務兼第二キャリアソリューション事業本部長。08年6月NECモバイリング代表取締役社長。13年6月ITX取締役会長。15年1月ビッグローブ代表取締役会長兼社長。同年2月同社代表取締役執行役員会長兼社長、現在に至る

ビッグローブ
代表取締役執行役員会長兼社長
中川 勝博 氏

携帯電話販売代理店NECモバイリングの独創的経営で成果を上げ、その後、ITX会長を務めていた中川勝博氏がISP大手ビッグローブの会長兼社長に就任した。「光コラボ」競争に勝ち抜き、MVNOでもトップグループを目指すという中川氏にビッグローブの新たな経営戦略をたずねた。

今年1月、携帯電話販売代理店のITXからビッグローブ会長兼社長に就任されました。

中川 NECを退任した後、4年ほど携帯電話販売代理店のNECモバイリングで社長を務めていました。そこを定年退任した2013年、ITXを買収した日本産業パートナーズから、私が携帯電話販売業界で業績を上げことを評価していただき「ITXの経営にあたって欲しい」と言われITXで会長を務めていました。
 昨年4月ビッグローブ買収になり「いずれビッグローブの経営もみて欲しい」という話をいただいていました。もっと先の話と思っていましたが、昨年11月にITXのノジマへの売却が決まったため、「すぐビッグローブに行ってくれないか」ということになりました。そこで12月にITX会長を辞め、1月からビッグローブに専念することになりました。

ビッグローブはNECの事業が母体でしたが、どういう印象ですか。

中川 NEC時代に私は通信系事業を担当していたので、IT系のビッグローブの人たちとは直接の関係はありませんでした。ビッグローブにいるのは全員がもともとNECの社員です。基本スキルは相当高い社員が揃っています。事業内容は決して目新しいものではないですが、磨けば非常に大きな可能性を持っていると改めて感じています。

SIMロック解除に期待

ビッグローブは大手ISPとして業界をリードしてきましたが、最近はMVNO事業にも注力しています。売上約800億円、社員約450人規模と認識しています。

中川 当社は300万人のブロードバンド会員を持っており、FTTH/ADSLなどの固定回線や高速モバイル回線でインターネットアクセスサービスを提供しています。シェアではOCN、Yahoo!BBに次ぐ第3位です。会員向け光ブロードバンドサービスの収益が事業の根幹を狙っています。

光コラボが始まりましたが、ISP事業者にとってサービスの基盤であるフレッツ回線の契約維持が課題ですね。

中川 今一番の戦いは光コラボです。当社でも、NTT東西の光卸を受けて「ビッグローブ光」を始めました。フレッツとISPのセットで戸建てが月額5180円、集合住宅が同4080円のサービスです。これにはMVNOサービス「うれスマ」(同2780円)とのセット割引メニューも用意しています。
 また、NTTドコモと連携し「ドコモ光 タイプA」でプロバイダーにビッグローブを選んでいただく方針です。ビッグローブ会員のフレッツ光回線を転用し、ドコモ光で引き続きビッグローブとの契約を続けてもらうことです。
 さまざまな販売チャネルを駆使し、コールセンターを活用して会員の維持・拡大を図っています。これが目下の第一課題です。

300万会員を守るための具体策は何ですか。

中川 ビッグローブ光にすると今までの通信料がお安くなります。ただ、これは他社もほぼ一緒ですから、「biglobe.ne.jp」というアドレスが変わらないというメリットを訴えています。

光コラボは固定と移動、ISPのセット販売になっているので、モバイルの商品力が大きな要素になります。ビッグローブはMVNO事業にもいち早く取り組んできました。

中川 今は「うれスマ」という名前のスマホやSIMカードを提供しており、およそ20万契約ぐらいです。調査会社の発表によると、NTTコミュニケーションズとIIJに次ぐポジションを獲得しています。
 MVNOはセット販売の商材にとどまらない、非常に大きな可能性があると考えています。将来的には、100万、200万加入に持っていき、1番か2番あたりになりたいと考えています。

そのための戦略はどういうものですか。

中川 これまでは、端末の準備がシャープとLGエレクトロニクスの2機種しかなく、ユーザーの選択肢が限られていました。ここは改善していかなければなりません。その点、SIMロック解除が5月から義務化されますが、これはとても大きな飛躍点になると考えています。

SIMロック解除義務化は、MVNOにとって追い風になると。

(聞き手・土谷宜弘)
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