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Interviewインタビュー

2016年8月号

企業ネット市場の潮目が変わった
「2つのSDN」に間違いない手応え

川北潤氏

川北 潤氏
(かわきた・じゅん)
1959年、東京生まれ。84年、中央大学を卒業後、85年に米国のLANメーカーUngermann-Bassの日本法人であるアンガマン・バスに入社。89年、Ungermann-Bassと三菱商事の合弁会社として発足したネットワンシステムズに移籍。営業マネージャとして、東証一部上場に向けた基盤づくりに貢献。94年にはMVP(現・セイムクリック)を設立し、代表取締役に就任(現任)。2014年にアライドテレシスの取締役に就任し、同社のSDN事業をリードする。著書に『ネットデフレ 〜IT社会が生み出した負のスパイラル〜』(マイコミ新書)

アライドテレシス
専務取締役
川北 潤 氏

クラウド化の加速を背景に、好調が続くデータセンター向けネットワーク市場。その陰で苦境を余儀なくされているのが、オフィスなど一般企業向けのネットワーク市場だ。しかし、アライドテレシスの川北専務は、「潮目は変わり始めた」と話す。IoT時代に向かって変化する企業ネットワーク市場と「2つのSDN」を軸とした同社の戦略について語ってもらった。

クラウドの普及が、企業ネットワーク市場にも多大な影響を与えています。

川北 ある業界最大手のネットワーク機器ベンダーの決算報告書を読むと、データセンター向けの売上は14%も伸びているのに、全体の売上は横ばいでした。
 当社ではデータセンター市場を「NorthSIDE」、エンタープライズ市場を「SouthSIDE」と呼んでいますが、両者の市場規模を比べると6:4、下手すると7:3の割合でNorthSIDEのほうが大きいと思います。その規模の大きいNorthSIDEが14%伸びているのですから、SouthSIDEの売上がよほど足を引っ張らないと、全体が横ばいにはなりません。

クラウド化が進展するなか、エンタープライズ市場は非常に苦しい状況にあるということですね。まさにその苦しいSouthSIDEを軸に事業を展開しているのがアライドテレシスですが、最近の業績は2期連続で経常利益が赤字でした。やはりクラウドの影響は甚大でしたか。

川北 サーバーがデータセンターへ移行してしまえば、当然、SouthSIDEのネットワーク機器の需要は減ります。我々がどれほどの苦労を強いられてきたか。
 また、無線化の影響も大きかったです。当社も無線LANソリューションは提供していますが、無線LANアクセスポイントは安価なので、全体の売上は下がります。

この逆風をどう乗り越えますか。

川北 クラウドのビジネスで誰が最終的に勝つかというと、最も資本力があるプレイヤーです。スケールメリットを出せないプレイヤーは勝てません。データセンター向けビジネスには乗り遅れましたが、そもそも我々くらいの規模の会社が勝てたかというと少し疑問です。
 では、どうするか。アライドテレシスはSouthSIDEで勝負していくしかありません。ただし、他社と変わらないものを売るのでは、お客様はより安いほうに流れるだけ。NorthSIDEと同様、規模の勝負になるため差別化できません。個々のお客様の要望を聞き、その目的に応じたネットワークを提案・設計する “ネットワークのプロフェッショナル”の部分で勝負していくほかありません。

価格勝負はせず、付加価値で勝負していくと。

川北 その通りです。ソリューションのストーリーをしっかり作り、SouthSIDEに売り込んでいくことが必要です。そこで生まれた発想が「SouthSIDE SDN」でした。エンタープライズネットワークに最適な2つのSDNソリューションを提供しています。

IoTとSDNの関係性

しかし、なぜエンタープライズ向けのSDNが打開策となるのですか。

川北 IT業界には私もかれこれ30年以上いますが、よく言われるように、ITの歴史は「集中」と「分散」の繰り返しです。最近はクラウド一辺倒でしたが、IoTの本格普及にともない、「フォグコンピューティング」という新たな分散処理の時代が始まろうとしています。

端末に近いエッジ側でもクラウドと連携して処理を行うコンピューティングアーキテクチャのことですね。「エッジコンピューティング」とも呼びますが、SDNとどう関係しますか。

(聞き手・太田智晴)
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