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Interviewインタビュー

2013年5月号

無線LANは「第3のアクセス」
プラットフォームで新市場開拓

小林忠男氏

小林忠男氏
(こばやし・ただお)
1973年3月早稲田大学理工学部電気通信学科卒業、同年4月日本電信電話公社入社。86年2月名古屋支社副支社長。88年8月技術企画本部担当部長グランドデザイン担当。90年〜98年6月PHSの開発、事業化に従事。98年7月NTTワイヤレスシステム研究所所長。2000年3月NTT東日本企画部Rサービスプロジェクト担当部長。02年7月NTTブロードバンドプラットフォーム代表取締役社長に就任(現職)

NTTブロードバンドプラットフォーム
代表取締役社長
小林忠男氏

NTTグループの無線LAN事業の中軸としてWi-Fiネットワークの構築を一手に担ってきたNTTブロードバンドプラットフォーム(NTTBP)は、固定でも携帯でもない「第3のアクセス」という位置づけで、戦略的役割を果たすことになった。創成期から礎を築いてきた小林忠男社長に事業戦略を聞いた。

無線LAN(Wi-Fi)は長年、通信業界では補助的な位置づけでしたが、スマートフォン時代を迎えて急速に存在感が高まっています。

小林 当社は設立から今年で11年になります。その間、無線LANは機器に組み込む通信チップが安価で、しかもライセンスが不要ということもあり、ゲーム機や音楽プレイヤー、デジカメなどさまざまな機器への搭載が進んできました。しかし、携帯電話とは異なり基地局から電波が届く距離が短く、特定の場所におけるデータ通信トラフィックの“バイパス”としての役割にとどまっていました。
 ところが、この数年間でスマートフォンの普及が急速に進んだことに伴い、通信キャリアのデータ通信ネットワークの容量が逼迫する事態が発生した結果、通信キャリアはスマートフォンに標準で搭載されているWi-Fi機能に着目し、無線LANによるデータ通信トラフィックのWi-Fi網へのオフロードを進めています。それに合わせて当社の無線LANアクセスポイント(AP)は昨年3月時点の約1万から、今年3月には約12万と、1年間で12倍に増えました。まさにスマートフォンブームのおかげです。

通信キャリア各社もAPの設置を進めており、KDDIは20万カ所、ソフトバンクモバイルグループは40万カ所になります。

小林 各社がマーケットに自社のWi-Fi提供能力を訴求する際にはAPの数を訴求する競争になりがちですが、お客様が使いたいところで使えることを重視すれば、本当に重要なのは、AP数と利用可能者数(1つのAPを1日当たり何人が利用するか)の掛け算で導き出される「無線LANスポットリーチ数」を指標とすることだと思います。この指標が最大となるようにAPを設置することは、お客様の生活動線上にWi-Fiエリアを拡大することになります。
 当社が無線LANでのネット接続事業を開始した当初、大手通信キャリアの間では「無線LANビジネスなんかやるものではない」との見方もありましたが、彼らが見向きもしなかったからこそ、我々は人が多く集まるところに最初にAPを設置することができました。今では、大規模施設としては都市圏の駅、全国の空港、大手ホテル、大規模オフィスビルをほぼ網羅しています。
 また、ピンポイントの施設として、カフェやコンビニエンスストア、ドコモショップなども幅広くカバーしています。それらを合わせると、無線LANスポットにリーチできる端末数は約1億端末超になる計算です。これは大きな価値があると思っています。

独自コンテンツ配信で来店促進

NTT(持株会社)の鵜浦博夫社長は昨年11月の決算会見の席上、「Wi-Fiは固定でも携帯でもない『第3のアクセス』であり、エンドユーザーに情報配信サービスを行うプラットフォームとして活用していきたい」との考えを示しました。これはどのような構想ですか。

小林 先ほどお話した、駅や空港などでお使いいただいているWi-Fiプラットフォームを活用し集客につながるようなコンテンツを提供することで、パートナー企業をご支援しようというものです。
 我々はWi-Fiクラウドサービスと呼んでいるのですが、Wi-Fiの特長であるアンライセンスや高速な通信速度、さらにはAPからの到達距離が狭いことによる顧客リーチのスポット性の高さを活かし、AP提供施設のオーナーが施設来訪者に向けて無料インターネット接続サービスやエリアポータルサイト、施設に密接に関連したコンテンツ配信などを可能にするクラウドサービスを提供します。また、災害時に災害用ポータルサイトを展開する機能や、提供場所でビジネスを行うパートナー企業の業務システムとの連携を図ることもできます。

具体的には、どのような企業がサービスを展開していますか。

(聞き手・土谷宜弘)
続きは本誌をご覧下さい

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