• トップページ
  • テレコミュニケーションとは
  • バックナンバー
  • 定期購読申込
  • 広告出稿の案内
  • 取り扱い書店
  • お問い合わせ

Interviewインタビュー

2017年2月号

オープンIoTで社会全体を効率化
課題は日本の「意識改革」だ

坂村 健 氏

坂村 健 氏
(さかむら・けん)
1951年東京生まれ。工学博士。東京大学大学院情報学環教授、ユビキタス情報社会基盤研究センター長。1984年からオープンなコンピュータアーキテクチャ「TRON」を構築。2002年よりYRPユビキタス・ネットワーキング研究所所長を兼任。2003年に紫綬褒章。2006年に日本学士院賞、2015年にITU(国際電気通信連合)150Awardsを受賞。2017年3月末に東京大学を定年退官し、同4月に東洋大学が新設する情報連携学部(INIAD)の学部長に就任予定。『IoTとは何か 技術革新から社会革新へ』(角川新書)など著書多数

東京大学教授 トロンフォーラム会長
YRPユビキタス・ネットワーキング研究所所長
坂村 健 氏

「ユビキタス」というコンセプトで30年前からIoT時代の到来を予見し、その実現に尽力してきた坂村健教授は今、「オープンIoT」に注力している。あらゆるモノをオープンにつなげ、社会全体を変革しようというビジョンだ。IoTがこれから進むべき針路について、坂村教授に聞いた。

オープンな組込みシステム開発環境「TRON」の確立、そして世界で最初にIoTのコンセプトを世に打ち出したことが評価され、坂村教授はITUの150周年記念賞も受賞していますが、その坂村教授の目にIoTの現状はどう映っていますか。

坂村 あらゆるモノの中にコンピュータが入り、ネットワークでつながり、生活や社会を変える──。私は30年前からそう提唱してきましたが、ネットワークインフラが整備され、省電力で小さなコンピュータが出てこないと実現できません。
 それが今、例えばネットワーク環境について言えば、インターネットが全世界的に整備されました。さらにLPWAと呼ばれる、通信速度は遅いが非常に省電力で遠くまで電波が飛ぶIoT向けの無線技術も登場しています。
 私が30年前から言ってきた概念を実現するための準備がいよいよ整ってきたと思っています。
 そこで昨年12月に開催したTRONSHOWのテーマは、「IoT動く」としました。IoTはもはや研究レベルではなく、現実世界にフィードバックしていく段階に入った──。そんな意味を込めて「IoT動く」としたのです。

IoTは今後どのような方向へ動いていくとお考えですか。

坂村 IoTにも順番があって、最初はやはり自分のモノをクローズにつなげるところから始まります。
 製造業なら、自社の生産設備だけをつなげて生産効率を向上させるクローズなIoTです。
 このクローズIoTに似ているのが、トヨタのカンバン方式です。カンバン方式によって無駄な在庫を持たないジャスト・イン・タイムの生産体制を実現したトヨタは、大きな成功を収めました。ただ、あくまでトヨタグループ内に閉じたクローズな仕組みであり、社会全体が効率化したわけではありません。
 今、IoTの世界で起きているのは、オープンIoTの動きです。オープンIoTとは、分かりやすく言うと、「カンバン方式を社会全体でやろう」という考え方です。
 例えば、これまでのホームオートメーションは家の中だけに閉じていました。しかし、オープンIoTでは“外”ともつながります。従来、「朝7時に起きる」としかセットできなかった目覚まし時計が、鉄道会社の運行情報サーバーなどともつながり、「電車が遅れているから」と早めに起こしてくれるようになるのです。

オープンIoTは世界的潮流

米国の「Industrial Internet Consortium(IIC)」やドイツの「Industry 4.0」など、IoTをめぐる標準化やアライアンスが活発化していますが、これらもオープンIoTの動きの一種ですか。

坂村 そうです。オープンIoTを実現するには、まさにインターネットのようなガバナンスの仕組みを、もっと上位レベルで実現する必要があります。
 例えば、IoTで社会全体の物流を効率化するには、様々な運送会社や倉庫会社などがオープンにつながる必要があります。ライバル企業ともつながる必要がありますから、そのルール作りのためのコミュニティやエコシステムが重要になるのです。
 IoT関連の標準化やアライアンスの組織が数多く出てきているのは、多くの人がオープンIoTの重要性に気付いているからでしょう。オープンIoTの実現に向けて、非常にいい流れになっていると思います。

坂村教授がリードするトロンフォーラムも、「アグリゲート・コンピューティング・モデル」というオープンIoTのモデルを打ち出しています。

坂村 アグリゲートとは「総体」という意味。クラウドとエッジノードの総体でないとIoTは実現できないというのが我々の考えです。
 アグリゲート・コンピューティング・モデルでは、組込み機器を各メーカーのクラウドに直結させ、そのクラウド同士がオープンAPIを介して連携します。ガバナンス管理を含む高度な機能はクラウドに持たせることで、エッジノードを非常に軽くできます。また、エッジノードはクラウドにトンネリングで直結──つまり特定のクラウドとしか通信できなくするので、単純で強固なセキュリティを実現できます。
 TRONでは、様々なモノをIoT化するための開発プラットフォーム「IoT-Engine」の標準化を行っています。IoT-Engineは切手大の1チップマイコンで、IEEE802.15.4の無線機能も搭載しています。また、我々はクラウド同士の連携の要となるクラウドプラットフォームも提供します。

IICやIndustry 4.0などとの違いは何ですか。

(聞き手・太田智晴)
続きは本誌をご覧下さい

定期購読申込ページへ

単部買いページへ

テレコミュニケーション定期購読のご案内

次世代ネットワーク&サービスコンファレンス「講演抄録」

TOPICS注目の記事

インタビュー

妹尾雅之 氏
富士通
執行役員
ネットワークビジネスグループ
ネットワークプロダクト
事業本部長

光伝送も基地局もオープン化時代
このチャンスを逃して、いつやる