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Interviewインタビュー

2016年3月号

世界最先端のICT国家へアクセル
地方創生と産業のイノベーションを

桜井俊氏

桜井俊氏
(さくらい・しゅん)
1977年郵政省入省。2001年1月総務省情報通信政策局総合政策課長。04年4月同省大臣官房審議官(情報通信政策局担当)。同年6月経済産業省大臣官房審議官(IT戦略担当)。05年8月総務省総合通信基盤局電波部長。06年7月同省総合通信基盤局電気通信事業部長。07年7月同省大臣官房総括審議官(政策評価・広報担当)。08年7月同省総合通信基盤局長。12年9月同省情報通信国際戦略局長。13年6月同省総務審議官(郵政・通信担当)。15年7月総務事務次官(現職)

総務省 事務次官
桜井 俊 氏

マイナンバー、携帯電話料金など国民生活に直結したテーマから、地方創生、IoT、ビッグデータ、サイバーセキュリティなど国家戦略課題まで総務行政は多岐にわたる。桜井俊事務次官に世界最先端のICT国家に向けた取り組みについて、今年の重点政策を聞いた。

総務省は、行政運営の改善、地方行財政、情報通信、郵政行政など所管が多岐にわたります。2016年度は何が重点施策となりますか。

桜井 安倍内閣では「地方創生」を重要課題と位置づけ、地方経済の振興に注力しています。総務省でも地方行財政の所管であることから、地域の活性化に向けて努力していきたいと考えています。
 具体的な取り組みとして、高市総務大臣のリーダーシップの下、「地域経済好循環推進プロジェクト」を進めています。各地でビジネスを立ち上げ、所得と雇用を生み出すことで、地方からGDPの押し上げを図ろうというのが趣旨です。
 その中の「ローカル10000プロジェクト」は、市町村の創業支援事業計画に基づく地域密着型企業の立ち上げを交付金などで支援するもので、すでに280以上のプロジェクトが動き出しています。こうした取り組みを通じて、地域経済の好循環の拡大を図ろうとしています。
 もう1つの重点施策が、マイナンバーです。
 昨年10月の施行後、全国約5700万世帯にマイナンバー通知カードが配布され、1月からは個人番号(マイナンバー)カードの交付が始まりました。来年1月には、情報提供等記録開示システム「マイナポータル」がスタートします。
 これにより、マイナンバーに紐付けられた個人情報である「特定個人情報」の提供履歴や、個人に合った行政サービスなどを自宅のPCから確認できるようになります。
 マイナポータルには、マイナンバーカードに搭載される公的個人認証を用いたログイン方法を採用する予定です。マイナンバー導入の目的の1つである国民の利便性向上のためにも、より多くの方にマイナンバーカードを持っていただけるような施策を検討していきたいと考えています。

ICTで社会的課題を解決

情報通信行政における重点施策は何ですか。

桜井 政府は2013年6月の「日本再興戦略」の中で、世界最高水準のIT社会の実現を掲げています。それを受けた、「世界最先端レベルのICT基盤の実現とその利活用による経済活性化と国民生活の向上」が政策の基本的方向性です。

ここ数年、「2020-ICT基盤政策特別部会」「電波政策ビジョン懇談会」「ICTサービス安心・安全研究会」などにおいて、2020年代に向けた情報通信政策の方向性の確立、携帯電話新周波数の割当、MVNOの育成をはじめ公正競争促進や消費者保護ルールの見直しによる安心な利用環境の実現などを進めてきました。

桜井 我が国のICT環境における最近の大きな変化が、スマートフォンの普及です。それに伴うトラフィックの爆発的な増加に十分対応するために、周波数を確保しインフラを整備することが求められており、4G向けの3.4〜3.6GHz帯をNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社に割り当てました。
 他方、携帯電話料金については低廉化に向けた取り組みの必要性に加えて、昨年末の「タスクフォース」を通じて、透明性や公平性という新たな課題が明らかになりました。携帯電話市場の活性化のためにも、事業者を頻繁に乗り換える利用者が多額のキャッシュバックを受け取ったり高額の端末購入補助を受けるといった不公平な仕組みを改善するとともに、MVNOサービスの低廉化・多様化を通じた競争促進を図ることが必要です。
 今年は、タスクフォースで出された取りまとめ案の内容に沿って、しっかりと対応していくことが重要だと考えています。

昨年は、光回線でもNTTが従来のビジネスモデルを大きく転換し、卸売サービス「光コラボレーションモデル」の提供を開始しました。

(聞き手・土谷宜弘)
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