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Interviewインタビュー

2019年7月号

IoTセキュリティと情報銀行が
インターネット前提社会の基盤

砂原 秀樹 氏

砂原 秀樹 氏
(すなはら・ひでき)
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 教授、慶應義塾大学先導研究センター サイバーセキュリティ研究センター 所長、工学博士。1960年兵庫県生まれ。1983年慶應義塾大学工学部卒業。1988年同理工学研究科後期博士課程所定単位取得退学。2001年奈良先端科学技術大学院大学情報科学センター教授。2005年情報科学研究科教授。2008年より現職

慶應義塾大学大学院
メディアデザイン研究科 教授
砂原 秀樹 氏

インターネットの存在が、社会の前提条件となった現代──。 さらにIoT、5G、AIなどのテクノロジーが普及していく今後、 世の中はどこに向かっていくのだろうか。日本のインターネットを立ち上げた1人であり、 話題の「情報銀行」についても早くから推進してきた慶應義塾大学の砂原秀樹教授に、 今からやってくる未来と、これから重要性が増す取り組みについて聞いた。

日本のインターネットの起源である学術用ネットワーク「JUNET」を村井純氏とともに立ち上げるなど、砂原先生は日本のインターネットの誕生に直接携わった1人ですが、そのインターネットは現在では社会を支える重要な基盤となりました。今日のインターネットの状況について、どう御覧になっていますか。

砂原 インターネットは地球全体を包む網となりましたが、今やこの網を意識する人は、実はいなくなってきていると思っています。
 例えば学生たちと話をすると面白いんです。「インターネットを使ったことがある人」と質問すると、きょとんとした顔で、「そんな難しいものは使えません」と答えます。

そうなのですか。

砂原 ええ。それで「ちょっと待て。スマホやLINEは使うよな」と聞くと、「はい、使います。でも、インターネットは使いません」と言うので、「LINEはインターネットで動いているんだよ」と教えると、「えっ?」と驚かれるわけです。
 インターネットはこれぐらい“空気”みたいな存在になってきています。30年前には存在していなかったインターネットは、20代の若者にとってはあるのが当たり前。「先生、インターネットがなかった時代があったんですよね。一体どうやって待ち合わせをしていたんですか」とも時々聞かれます。

確かに、インターネットがなかった時代を知っている我々ですら、今やインターネットのない生活は想像できなくなりつつありますね。

砂原 インターネットの存在を特に意識することすらない「インターネット前提社会」になったわけですが、このインターネットには“上”と“下”があります。上というのは、インターネット上の様々なサービスのこと。下は、「どうつなぐか」の話です。
 下側については、5Gが始まり、さらに高速化したり、たくさんのノードを収容できたり、遅延が少なくなっていきます。有線の方も100Gbpsが当たり前になってきて、そろそろ400Gbps、1Tbpsという話も始まっています。
 では、こうしたインフラの上で何が実現できるのか。例えば、国立競技場に8Kカメラを200台くらい並べ、その映像を合成して、ある人は全体を俯瞰した映像を観るかもしれないし、ある人はサニブラウン選手の足だけをずっと追いかけるかもしれない。今までは皆、マスメディアが作った映像を観るしかありませんでしたが、「私はこれが観たい」ということも実現できるようになっていきます。従来とは、情報の使い方が変わってくるでしょう。
 もう1つ重要な点は、デジタルであることによって、すべて残り続けるということです。
 先日焼け落ちたノートルダム大聖堂の尖塔にしても、たくさんの写真がデジタルデータとして残っています。ですから、同じように復元しようと思えば、復元できるわけです。
 人間の創造性が何を生み出すかを予測することは難しいですが、ものすごく面白いことが今から起きてくるだろうと思っています。

IoTの課題はアイデンティティ

リアル空間のデジタル化については、IoTが重要な役割を担いますが、砂原先生はセンサーネットワークについても早くから取り組まれてきました。

砂原 1996年頃から研究していますが、面白いのはIoTでデータを集めて、AIなどで解析を行い、いろいろな知恵を抽出する仕組みが出来上がってきたことです。
 一方でIoTはまだ過渡期です。「IoTはこうするといい」というノウハウが十分蓄積されていない状況のまま、設置されてしまったIoT機器が多過ぎると思っています。サイバー攻撃に悪用される恐れのあるIoT機器を調査して注意喚起する総務省とNICTの「NOTICE」の取り組みもありますが、やらなければならないことが数多くあります。

特に重要なポイントというと何でしょうか。

(聞き手・太田智晴)
続きは本誌をご覧下さい

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