• トップページ
  • テレコミュニケーションとは
  • バックナンバー
  • 定期購読申込
  • 広告出稿の案内
  • 取り扱い書店
  • お問い合わせ

Interviewインタビュー

2016年3月号

電気+付加価値で差別化図る
通信系はじめ提携企業を拡大

佐藤梨江子氏

佐藤梨江子氏
(さとう・りえこ)
1988年3月お茶の水女子大学文教育学部卒業。90年3月筑波大学大学院修了。同年4月東京電力入社。2004年11月同社東京支店業務革新グループマネージャー。09年7月販売営業本部業務品質・人材育成サポートグループマネージャー。11年9月福島原子力被災者支援対策本部福島原子力補償相談室補償運営センター一般補償協議第一グループマネージャー。13年4月執行役員カスタマーサービス・カンパニー・バイスプレジデント(現在)

東京電力 執行役員
カスタマーサービス・カンパニー・
バイスプレジデント
佐藤 梨江子 氏

4月1日からの電力小売り全面自由化に向けて、地域電力や新電力が入り乱れた攻防の火蓋が切られた。最大の主戦場である首都圏で矢面に立つのが、東京電力カスタマーサービス・カンパニーだ。小売り部門で陣頭指揮を執る佐藤梨江子バイスプレジデントに通信業界との提携をはじめとする販売戦略を聞いた。

東京電力はこの4月、電力小売り全面自由化と、全国の電力会社としては最初となるホールディングカンパニー制への移行という2つの大きな節目を迎えます。

佐藤 政府の「電力システム改革」の一環として「2020年発送電分離」が決まっていますが、東京電力はそれに先駆けて、ホールディングカンパニー制を導入し、4月以降、小売電気事業の「東京電力エナジーパートナー」、一般送配電事業の「東京電力パワーグリッド」、燃料・火力発電事業の「東京電力フュエル&パワー」の3社に分社化されます。
 廣瀬(直己社長)からは「遠心力を働かせて、この事業環境下でいかに利益を最大化するか考えるように」と厳命されています。3社それぞれが今まで以上に利益を上げるとともに、福島復興への責任を果たしていくことがグループ全体の役割です。
 3社の中でも、私ども東京電力エナジーパートナーは、「稼ぎ頭」となるべき存在です。小売における利益最大化には、「売上の拡大」とともに「コストを下げ収入を増やす」ことが最も重要です。
 分社化初年度の16年度は重要な一年であり、何としても黒字を達成したいと考えています。

ホールディング制で電力小売り全面自由化に向かうことは東京電力にとっては競争上、不利に作用するという見方もあります。どのような事業戦略を考えていますか。

佐藤 電力自由化は、東京電力が電気専業から「総合エネルギーサービス企業」へ進化を遂げるチャンスと捉えています。
 コーポレートスローガンとして「挑戦するエナジー」を掲げていますが、一挑戦者として、エネルギー事業の領域を拡大するとともに、サービスの提供エリアを関東圏から全国に拡大していこうとしています。

総合エネルギーサービス企業とは、具体的にどのようなイメージですか。

佐藤 従来の電気に加えて、もう1つの基軸商品として、1年後に自由化が予定される都市ガスも取り扱います。
 エネルギーは、ビジネスや暮らしを支える役割を果たしていますが、お客様にとって、エネルギーコストはできるだけ低い方が喜ばれます。ですから、電気に加えガスを提供し、トータルでコストを最小限にするお手伝いをすることが我々の一番の使命です。
 そのためには、ご契約を結んでいただいて終わりではなく、省エネにつながるようなご提案や、お客様にとっての価値を高めるサービスの提供が不可欠だと考えています。例えば、スマートメーターを活用したさまざまな「お役立ちサービス」も検討していきます。
 このように、「電気・ガス・新サービス」の3本柱で、お客様に価値を提供する戦略です。

赤字覚悟の安売りはしない

4月以降に適用される新しい料金プランを発表されました。電力使用量の多い家庭向けの「プレミアムプラン」や電力使用実績に基づいて基本料金が決まる「スタンダードX」などバリエーションが増えます。今回のプランの狙いは何ですか。

佐藤 料金プランは現行の7種類から、自由化以降は11種類になります。新しく提供する4プランについては、現サービスエリア内で80万、現サービスエリア外で20万のお客様の獲得を目指しています。
 プレミアムプランは400kWhまでが定額で、401kWh以上の単価が割安になる最も割引額の多いプランで、お得感を享受できるのは現在加入いただいている約2000万世帯のうち約1割程度になります。大部分のお客様は「スタンダードプラン」が該当しますが、このプランは既存プランの「従量電灯B」と料金単価は同じです。電気料金に応じて「Tポイント」または「Pontaポイント」が貯まったり、提携先企業の商品とのセット割を用意している点に魅力を感じるお客様は加入していただけるのでは、と考えています。

新料金プランは、キャンペーン特典を除くと既存の料金プランと比べてあまり割引にならないとの指摘があるようですが。

(聞き手・土谷宜弘)
続きは本誌をご覧下さい

定期購読申込ページへ

単部買いページへ

テレコミュニケーション定期購読のご案内

TOPICS注目の記事

インタビュー

丹康雄 氏
北陸先端科学技術
大学院大学
副学長 教授

スマートホームを「公共財」に
震災きっかけに新しい地方の形