2016年10月号
MSSで3年後には世界トップに
我々流のサービスを目指す
澤田 純 氏
(さわだ・じゅん)
1978年4月日本電信電話公社入社。98年2月NTTアメリカ バイスプレジデント。2000年5月NTTコミュニケーションズ株式会社経営企画部担当部長。03年10月同関西支店長。06年6月同経営企画部長。08年6月同取締役経営企画部長。11年6月同常務取締役経営企画部長。12年6月同代表取締役副社長 経営企画部長。13年6月同代表取締役副社長。14年6月日本電信電話株式会社 代表取締役副社長(現在に至る)。16年6月NTTセキュリティ株式会社 代表取締役社長兼務(現在に至る)
NTTセキュリティ
代表取締役社長
澤田 純 氏
NTTグループのセキュリティ事業を統合した「NTTセキュリティ」が8月1日に設立された。マネージド・セキュリティ・サービス(MSS)の卸会社として、グループ会社の営業力を活用する。NTT持株の副社長を兼務するNTTセキュリティの澤田純社長は「一元化による効率化や開発力を含めた能力の強化により、3年後には世界トップを目指したい」と抱負を語る。
●NTTグループは8月1日、セキュリティ専門会社としてNTTセキュリティを設立しました。その狙いをお聞かせください。
澤田 NTTグループはこれまでセキュリティに力を入れてきましたが、NTTコミュニケーションズ(以下、NTTコム)や南アフリカのディメンションデータ、米ソリューショナリーなど買収した企業も含めてグループ各社がバラバラに開発や営業に取り組んでいました。各社ともマネージド・セキュリティ・サービス(MSS)事業を強化していたことから、能力を集約するために一元化しました。
ソリューショナリーとNTTコムセキュリティの全事業、NTTコム、ディメンションデータ、NTTイノベーション・インスティテュート(NTTi3)が保有するMSSプラットフォームを新会社に統合し、効率化を図ります。
新会社はサービス開発・卸会社と位置付け、販売はディメンションデータやNTTコム、NTTデータなどグループ各社の営業力を最大限に活用します。基本的にグループ向けの販売が中心ですが、すでに社外からも要望が来ています。
一元化することで開発、コスト、営業などさまざまな面で効果が生まれると期待しています。
●新会社として、どのような目標を掲げていますか。
澤田 ある調査によると、MSS分野でNTTは二番手のグループに格付けされています。
「NTTとしてセキュリティサービスは優れたものを持っているが、バラバラで一つにまとまっていないことが評価を下げている」面があったようです。
社内向けには、1年以内に一番手の仲間入りをし、3年後には世界でトップを目指そうと話しています。
もともと海外勢と伍していくだけのベースはすでにできあがっていますから、統合による効率化で一番手のグループに入る自信はあります。さらにそこから一歩抜け出すには、開発力を含めて能力に磨きをかけ優位に立つことが必要です。NTT研究所の協力も得て、能力を強化したいと考えています。
多層防御の重要性が徐々に浸透
●昨今、大企業や公的機関を狙った標的型攻撃が相次いでおり、大きな被害が出ています。日本企業の間でもMSSの認知度が高まってきたのではありませんか。
澤田 私がNTTコムに在籍していた3年前は、講演でサンドボックスとMSSを一緒に導入することを推奨しても、なかなかご理解いただけませんでした。
アンチウィルスソフトベンダーやセキュリティベンダーはいずれも「うちの製品を入れておけば、それで十分」というスタンスで、お客様の立場からすると何を選べば良いのかわからなくなっています。しかもMSSは海外では1契約あたり年間1億円程度の費用がかかることも珍しくないのですが、日本では「なぜそんなに高い」「もっと安くしろ」という議論になってしまいます。
MSSはセキュリティの“奥の院”であり、そこまで万全のセキュリティ対策を求める企業は決して多くありません。しかし、昨年の日本年金機構の個人情報流出をきっかけに、潮目が変化したことを実感しています。
●サイバー攻撃が悪質化して脅威が増す中で、アンチウィルスソフトやUTMで済ますのではなく、より高度なセキュリティ対策が必要という認識に変わりつつあるということでしょうか。
(聞き手・太田智晴)
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