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Interviewインタビュー

2017年8月号

「IoTのOKI」実現の準備は整った
構造改革で技術の融合を進める

坪井正志 氏

坪井正志 氏
(つぼい・まさし)
1983年3月慶應義塾大学工学部管理工学科卒業後、同年4月沖電気工業入社。2002年4月マルチメディアメッセージングカンパニー・プレジデント。05年4月報通信事業グループIPシステムカンパニー・プレジデント。08年4月グローバルビジネス本部長。09年4月OKIネットワークス取締役。11年4月通信システム事業本部企業ネットワークシステム事業部長。15年4月執行役員、同年10月ソリューション&サービス事業本部副本部長。17年4月常務執行役員、情報通信事業本部長(現職)

OKI
常務執行役員 情報通信事業本部長
坪井正志 氏

IoTは、いわば「総合力」のビジネスだ。デバイス開発・製造からIT、そして通信と幅広い技術が求められる。OKIは、この総合力を強みとする新たな成長戦略を描いている。「我々はそのすべてで、優れた技術と豊富な経験を持つ」と語る情報通信事業本部長の坪井正志氏にビジョンと戦略を聞いた。

5月26日に「中期経営計画2019」(中計2019)を発表しました。その背景として、まずICT市場の現状と見通しについて聞かせてください。

坪井 ICT市場全般の傾向としては、調査会社が年率1.3%程度の成長と予測している通り、堅調だと考えています。ただし、その中身はかなり大きく変わると見ています。
 デジタル変革に向けた投資が活発になり、一方、既存のシステム更新への投資は下がっていくでしょう。お客様のニーズに合ったソリューションをしっかりと提供しなければいけないと強く感じています。

やはり、デジタル変革の波に乗ることが重要だと。

坪井 そうです。中計2019でも「安定収益の維持と新事業創出」を基本方針としています。既存事業の安定的な収益を基盤として、IoTという新事業を伸ばしていくということです。

そのIoTビジネスのための土台作りが、2016年4月の組織再編でした。情報、通信、社会インフラの3事業を統合した情報通信事業本部の1年目の成果はどうでしたか。

坪井 情報通信事業の2016年度売上は1774億円と減収でした。ただ、これはキャリア向けや公共関連の売上減が要因で、それ以外のビジネスは堅調でした。
 営業利益は144億円、利益率は8%で、収益性については計画以上を達成できました。キャリア・公共系の減収はある程度予測していたものであり、それをリカバリーするための構造改革を着実に進められたことで収益性を改善できました。

昨年の組織再編が実を結んだと。

坪井 3つに分かれていた事業本部を統合したことで効率的な体制になりました。どの事業も収益性は計画通り実現しており、堅調でした。

新たなチャレンジに向けた土台がしっかりできたということですね。

坪井 その通りです。収益基盤が安定し、IoT関連技術に投資して成長するための準備ができました。

収益基盤の安定化という意味では、IPテレフォニー事業の現状と見通しはどうですか。

坪井 市場全体は横ばいですが、OKIの販売数は伸びています。この分野でも投資を継続的に行ってきたことが成長につながっていますし、今後も続けていきます。

3つのIoT基盤技術に強み

中計2019で「IoTのOKI」を打ち出しました。デジタル変革、IoTの波はこれから本格的に製造業や流通・小売、金融、社会インフラなどの分野に広がります。OKIの得意な分野がこれから広がるとも言えそうです。

坪井 OKIはこれまで鉄道、航空管制、消防や防災といった公共系、通信キャリア、そして金融など、広く社会を支えるインフラ分野全般にわたってビジネスをしてきました。大手企業とのつきあいも長く、まさに今、そうしたお客様からデジタル変革のニーズが次々と出てきている状況です。
 IoTはマネタイズしにくいという声も聞かれますが、私の見方は違います。あらゆるものがネットワークにつながり、そこにデータ処理やAIの要素が入ってくるのがIoTだと考えれば、我々がこれまでやってきたことを、より高度化すると捉えることができます。

何を強みとしていくのですか。

坪井 技術の優位性です。OKIはこれまでのビジネスにおいても、IoTを構成する要素である「センシング・デバイス」「ネットワーク」「データ処理・運用」に注力してきました。

技術の優位性について、具体的に教えてください。

(聞き手・太田智晴)
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