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Interviewインタビュー

2019年6月号

5Gの1年前倒しに大きな意義
ローカル5Gを工場へ積極提案

須永 順子 氏

須永 順子 氏
(すなが・じゅんこ)
1997年、クアルコムに入社。Qualcomm CDMA Technologies(QCT)部門にて無線通信用半導体製品の企画・マーケティング、ビジネス開発に従事。2016年6月より副社長として国内の事業運営を統括、複数地域間の技術マーケティング・通信事業者との事業開発の調整を担当。2018年4月より現職

クアルコムジャパン
代表社長
須永 順子 氏

「“有言実行”で皆様に5Gをお披露目できた」──。 当初予定より1年前倒しで商用サービスが始まった5G。その実現に多大な貢献をした クアルコムで日本法人社長を務める須永順子氏は、5Gの将来を見据えても、 「前倒ししてeMBBから先に5Gを始めたことには、大きな意義があった」と語る。 モバイル向けチップセットのリーダーは、5G時代をどう展望しているのか。

いよいよ5Gの商用サービスがスタートしましたが、今どんな感慨をお持ちですか。

須永 「今年は分岐点だった」と言うことができると思います。Mobile World Congressが今年も2月にバルセロナで開催されましたが、今回から「MWC」という名称に変わりました。「モバイル」という言葉にハイライトすることが、ふさわしくなくなったから、イベント名を変えたのだと私たちは理解しています。
 これは、Consumer Electronics Showが「CES」と名前を変えたのと同じ流れですよね。

かつて家電業界の見本市だったCESは、今では家電業界の枠を超え、IoTやMaaSなども包含した展示会へと変貌しています。モバイル業界にも同様の変化が起こることを、MWCの名称変更は象徴しているわけですね。

須永 私どものCEOであるスティーブ・モレンコフは2017年のCESで、「5G is the new electricity」(5Gは新しい電気)という言い方をしています。4Gとはまったく違ったユースケースを実現できるのが5Gです。
 「では、5Gのユースケースとは何ですか」と必ず聞かれるのですが、順番としてはまず、eMBBによるスマートフォンやコンピューティングデバイスでの5G体験になると思います。クアルコムは今年までは、eMBBをきちんと実現できる環境を用意することにフォーカスしてきました。
 クアルコムをはじめ、業界が一丸となって、eMBBからの広がりを具体的な事例をもって示していくのが、これからの取り組みだと思っています。

5Gは、eMBB(超高速大容量)、URLLC(超低遅延・高信頼)、mMTC(多数同時接続)という3つのユースケースをターゲットにしていますが、当面はeMBBが中心になるのですね。

須永 クアルコムを含む業界各社は2017年、「5G NR(New Radio)の標準化を1年前倒しします」と共同で表明しました。
 実はその際、「eMBBをターゲットに前倒しします」という言い方をしています。超高速モバイルブロードバンドは、幅広い層に最も早くリーチできるユースケースだからです。
 これに則って、クアルコムはリファレンスデザインだったり、mmWave (ミリ波)とSub-6GHz帯(サブ6)の両方に対応したアンテナモジュールだったり、eMBBの準備を着々と進めてきました。
 そしてMWC 2019では、世界中の通信事業者や端末メーカーの方をクアルコムブースにお招きして、「5G is here」というイベントを開き、“有言実行”で 皆様に5Gをお披露目したのです。
 シリコンなどの部品代の低減は、圧倒的なスケールでしか成し得ないところがあります。そのためにはスマートフォンやコンピューティングデバイスが最適です。最初にこうしたボリュームが出るユースケースをきちんと立ち上げ、その後に続くURLLCやmMTCといったユースケースに対して、経済的に合理性のある価格で提供できる環境を整えていくことが重要なのです。
 その意味でも、前倒ししてeMBBから先に5Gを始めたことには、大きな意義があったと思っています。

クアルコムの第1世代の5Gチップセット「Snapdragon X50」を搭載した端末は、2019年中に20の通信事業者から30種類以上発売されるとアナウンスされています。LTEのときと比べると、はるかに早い立ち上がりです。

須永 LTEは2事業者、3端末で始まりましたから、非常に立ち上がりが早くなっています。しかも、Snapdragonを搭載した5Gスマートフォンは、すでに4Gのプレミアム端末と遜色ないフォームファクターや消費電力を達成できています。

ミリ波での5G通信の安定性についてはいかがですか。

須永 ミリ波についても、すでに私たちは安定的な通信を実現できています。ミリ波は5Gの真骨頂であり、その醍醐味を示す技術です。技術的な困難が伴うことは数年前から理解していましたが、ミリ波をきちんと製品化していくことが、5Gのメリットを世の中に知らしめることになると固く信じていましたので、技術開発に相当注力してきました。
 この点は、他のシリコンベンダーとはまったく違う状況だと思います。60GHz帯を利用するIEEE802.11adに数年前から取り組んで得られた知見も、ミリ波の開発には非常に役立っています。
 5Gを社会インフラや医療などに広げていくためには、コストや消費電力もそうですが、ミリ波を含むアンテナを小さなモノに入れるための技術も重要になります。MWC 2019で発表した第2世代のアンテナモジュール「QTM525」は、8mmの薄さのスマートフォンに搭載できるところまで小型化できました。

5Gの普及加速に向けては、4月に大きなニュースがありました。アップルとクアルコムの知的財産訴訟が全面和解し、これによりiPhoneの早期5G対応の目途が立ったことです。iPhoneユーザーが大変多い日本の5Gにとっては、特に大きな意味を持ちそうです。

(聞き手・太田智晴)
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