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Interviewインタビュー

2020年6月号

5Gがすべてを変えていく
我々はその旅路を先導する

タミ・アーウィン 氏

タミ・アーウィン 氏
(Tami Erwin)
ベライゾンビジネスグループのCEO就任前は、ベライゾンワイヤレスの運用責任者であり、米国最大の住宅用および商用ファイバーネットワークであるVerizon Fiosのビジネスを率いた。スタンフォード大学経営大学院でエグゼクティブプログラムを卒業、パシフィックユニオンカレッジで経営学を専攻

ベライゾン
エグゼクティブバイスプレジデント
兼 ベライゾンビジネスグループ CEO
タミ・アーウィン 氏

「ベライゾンは今後も5Gへの旅路を先導する役割を担っていく」──。通信業界のグローバルリーダーの1社である同社は今、新型コロナにどう立ち向かい、さらに5Gをどう推進しているのだろうか。世界150カ国に顧客を持つベライゾンビジネスのCEO、タミ・アーウィン氏は「新型コロナでDXは加速する。5Gの需要も伸びていくだけだ」と語る。

ベライゾンは世界最大の通信事業者の1社ですが、まずは最近の状況について教えていただけますか。

アーウィン 2018年の夏、新しいCEOが就任しました。ハンス・ベストベリという人間です。かつてエリクソンのCEOを務めていたので、そのときに彼をご存知だった方もいるでしょう。
 2018年、我々の業績は良かったのですが、CEOになって彼は「2つの選択肢がある」と言いました。1つは「何も変えない」、もう1つは「あらゆるものを変える」という選択肢です。
 彼が選んだのは後者でしたが、その背景には「テクノロジーが今後あらゆるものを変えていく」という想定がありました。なかでも5Gがワールドワイドで展開されることによって、すべてが変わっていくと思ったのです。
 それでハンスは、「ベライゾンは5Gの先頭に立たなければならない。それこそが我々に期待されていることだ」とあらゆるものを変えることに決めました。

その言葉通り、ベライゾンは2019年4月3日、世界の先頭を切ってモバイル向け5Gサービスを開始しました。また、それに先立ち、ベライゾンは2018年10月から5Gによる固定ブロードバンドサービスも提供しています。

アーウィン 我々のワイヤレス事業は、かつてボーダフォンとの合弁でしたが、数年前にボーダフォンの持ち分を買収しました。これもあって、無線技術に関する十分な能力があったわけです。
 つまり、無線と有線の技術を統合したインテリジェントエッジネットワークをきちんと構築できるポジションを築けていました。インテリジェントエッジネットワークとは、ソフトウェアを軸に無線と有線のアセットを統合したネットワークのことで、これにより非常に大規模なコネクティビティを実現できます。
 また、周波数の確保や光ファイバーの敷設という点についても十分な準備をしてきており、5Gへの道筋はしっかりと出来ていたのです。

新CEO就任後の2019年1月には、組織再編も実行しました。

アーウィン ベライゾンビジネス、ベライゾンコンシューマー、ベライゾンメディアの3つの組織に集約・再編しました。
 私がCEOを務めるベライゾンビジネスは、グローバル展開する大企業や中小企業、政府などの公共部門を担当しています。年間売上は320億ドルで、150カ国のお客様に対してサービスを提供しており、社員も68カ国に所在しています。
 デジタル化が進むなか、お客様のニーズは急激に変化しています。これに対応するためには、我々自身もテクノロジーによって変わる必要があります。そのためには「組織も変革する必要がある」と組織再編を行ったのです。

コロナは社員の安全が最優先

5Gなどのテクノロジーはあらゆるものを変えていくとのことですが、テクノロジーとは別に今、あらゆるものに影響を及ぼす事態が起きています。新型コロナウイルスの感染拡大です。ベライゾンは新型コロナにどう対応していますか。

アーウィン 我々の社員は世界中にいますが、中国に続き、香港でも感染拡大が進んだのを見て、「これは対策が必要だ」と気付きました。まず中国、次に香港の社員がリモートワークを開始したのが1月終わりのことになります。
 ベライゾンはアジア太平洋地域(APAC)におよそ1万人の社員を抱えていますが、3月までにAPACの社員の9割がリモートワークを始めました。
 グローバルでは13万5000人の社員がいますが、4月末の時点で95%の社員がリモートワークに移行しています。残りの5%は、どうしてもオープンしておく必要がある小売店のスタッフやネットワーク担当の技術者などです。彼らは必要に応じて出社しています。

未曽有の危機のなか、何を優先して経営の舵取りを行っているのでしょうか。

アーウィン ベライゾンでは、4つのステークホルダーを定義しています。お客様、社員、株主、そして社会です。これら4つのステークホルダーのうち、現在、最優先で考えているのが社員の安全です。
 育児や介護をしながらリモートワークする社員に対しては、有休やヘルパーの方を提供してサポートしたり、メンタル面でダメージを受けている社員向けのカウンセリングも行っています。
 また、これはベライゾンのユニークな取り組みだと思いますが、月曜日から金曜日の毎日、CEOのハンスや人事のトップ、私などのリーダーシップメンバーが社員に向けて話し、会社がどういう状況にあるのか、共有・アップデートしています。
 一番大切なのは社員の安全ですが、次のプライオリティとしては当然、お客様が非常に大事です。特に今こそ「つながる」ということ、コネクティビティの重要性が高まっているのですから。そこで我々は、VPNやセキュリティ、あるいはコールセンターの強化などに取り組み、お客様の事業継続をサポートしています。

リモートワークの長期化で懸念されることの1つに生産性の低下がありますが、ベライゾンの場合はどうですか。

(聞き手・太田智晴)
続きは本誌をご覧下さい

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