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Interviewインタビュー

2021年1月号

5G海外攻勢の足場づくり着々
バーチャルMNOが今後重要に

水野晋吾氏

水野晋吾 氏
(みずの・しんご)
1964年2月生まれ。1989年4月、富士通入社。2018年10月、ネットワークソリューション事業本部長代理。2019年4月、理事。2020年4月、執行役員常務(現在に至る)

富士通 執行役員常務
システムプラットフォームビジネス部門副部門長
(ネットワークビジネス・5G・新ICT担当)
水野晋吾 氏

オープン化や米中対立を背景に、日本の通信ベンダーの海外展開への期待が高まっているが、「着々とその足場づくりが出来てきた」。米DISH Networkによる5G基地局の大量調達でも注目を集めた富士通のネットワーク事業をリードする水野常務はこう自信を見せる。富士通は5Gやローカル5G、さらにその先の6Gに向けて、どんな戦略を描いているのか。水野常務に詳しく聞いた。

5Gが国内でもスタートして半年以上が経過しましたが、5Gの現状をどう見ていますか。

水野 想定よりも5Gのマーケットは盛り上がっていると感じています。富士通は2つの側面から5Gなどのネットワークビジネスを捉えています。プロダクトのビジネスと、サービス/アプリケーションまで含めてインテグレーションして提供するビジネスです。
 前者については、我々の活動は従来ほぼ国内に限られており、国内のインストールベースにしっかり取り組みながら、海外にチャレンジしていきますが、オープン化や米中関係といった背景もあり、着々とその足場づくりが出来てきました。
 その結果として、MNOに新規参入する米DISH Networkから5G基地局ベンダーに選定されましたし、まだ話せませんが他にもいろいろなプロジェクトを頂けています。
 5Gビジネスで大切なのは、焦らず、時間軸をきちんと捉えることです。全体としては盛り上がっていますが、5Gの導入状況は国によって様々です。国ごとに異なる時間軸を慎重に見定めながら開発計画を立て、海外マーケットを開拓していけるかが勝負どころの1つです。

国別に時間軸が異なるということですが、マーケット全体としては今後どう進展していくと考えていますか。

水野 「パブリック5G」と「プライベート5G」の2つのマーケットに分けて捉えるべきでしょう。ここでいうパブリック5Gは、通信キャリアが提供するものです。通信キャリア以外のプレイヤーが提供するのがプライベート5G、日本でいうローカル5Gという定義です。
 この分類でいくと、まずパブリック5Gについては、欧州は少し遅れる気がしますが、北米を中心に2021年、いろいろな動きがさらに出てくると思います。ノキア、エリクソンらが展開する既存の5Gマーケットにおいて、「インドアはどうするのか」「ミリ波はどうするのか」といった形で、プラスのマーケットが出てきます。時間軸としては2021年~2022年に大きなマーケットになると見ています。

富士通としては、このインドア、ミリ波のマーケットが海外での重要な商機の1つになるということですね。

水野 そうです。そして、プライベート5Gまで含めると、2022~2023年という時間軸になってくるでしょう。

日本のローカル5Gの時間軸についてはどうですか。富士通には9月末時点で700件以上もの問い合わせが来ているそうですが、

水野 日本のローカル5Gは、少し前倒しになる気がしています。2021~2023年がアーリーアダプターからマジョリティへの移行期になるのではないでしょうか。期待通りにマーケットが動かないことは多いですが、ローカル5Gについては今のところ期待通りです。

日の丸連合には「慎重」

海外マーケットを切り拓いていくにあたっての富士通の強みは何になりますか。

水野 プロダクト寄りのビジネスに関していうと、光と無線の技術では「誰にも負けない」と今も思っていますし、さらに成長させていきます。もちろん、光や無線にはいろいろな技術ポートフォリオがあり、そのすべてに注力するわけではありません。
 例えば、光については、富士通はどちらかというと基幹系に強く、その高速化と低消費電力化に最も注力する考えです。また、無線については、すべての周波数を網羅できる技術力は今後もずっと強みとして保持していきたいですし、さらなる高周波化と広帯域化にも強みを持ちたいと思っています。

冒頭の話にありましたが、O-RANなどのオープン化の潮流や、米中対立を背景にした通信インフラのセキュリティの重要性の高まりが、日本ベンダーのチャンスを広げています。

水野 今までは、無線や光などでサイロ化された強みを持っていても、お客様に直接訴求するのは難しいのが実状でした。しかし、オープン化が進展すれば、そうした個々の強みを訴求できるようになります。
 話し相手も変わってくるでしょう。例えば、基地局を作るうえでは様々な技術が詰め込まれますが、ある技術に特化したスタートアップなどとエコシステムをつくり、一緒にボリュームを取りに行くといった横連携、仲間づくりがいっそう活発になると思っています。

海外マーケットにおける日本ベンダーへの期待は実際高まっているのでしょうか。

(聞き手・太田智晴)
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