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Interviewインタビュー

2021年2月号

新市場作りがシスコの使命
5Gと企業ネットの融合へ

中川いち朗氏

中川いち朗 氏
(なかがわ・いちろう)
1962年11月、東京都生まれ。1985年、慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、日本IBMに入社し、2006年に理事就任。その後、日本ヒューレット・パッカードで常務執行役員などを務め、2014年5月よりシスコシステムズ 専務執行役員としてエンタープライズ事業を統括、2018年10月からは副社長 情報通信事業統括として日本におけるグローバルサービスプロバイダー事業を統括する。2021年1月25日、代表執行役員 社長に就任。趣味はトライアスロン、マラソン。著書『一枚の紙で夢はかなう』(かんき出版)

シスコシステムズ
代表執行役員 社長
中川いち朗 氏

今まで別々だった通信事業者とエンタープライズのネットワークを融合し、「新しいマーケットを作っていくことはシスコの使命」。サービスプロバイダー事業を統括する副社長としてシスコジャパンの好業績を牽引し、今年1月25日付けで社長へ昇格した中川いち朗氏に、5G時代に必要なネットワーク変革やシスコの戦略について聞いた。

5Gの現状をどう捉えていますか。また、通信事業者のビジネスモデルはどう変わっていくでしょうか。

中川 「まだエリアは行き届いていないし、今のところ期待通りではない」というのが、一般消費者の方々の印象かと思います。しかし、我々ITベンダーの温度感は違います。通信事業者各社は着実に準備を進められており、重要なプロジェクトが目白押しです。
 5Gは、今までのモバイルネットワークとは性格を全く異にしています。1Gから4Gまでも、Webができるようになったり、スマートフォンになったり、様々な改善がありました。しかし4Gまでは、あくまで一般消費者に対するサービス向上だったわけです。企業ユースではありません。
 一般消費者向けモバイルサービスは、来るところまで来ています。5Gへの投資に見合った収益を得られるような画期的な新サービスが今から生まれるかというと、「携帯料金値下げ」という逆風も吹いていますし、非常に厳しいと思うのです。そのため通信事業者としては、企業での5G活用を促進していかないといけません。これが4G以前と5Gで大きく違う点です。

B2B2Xモデルを数年前に掲げたNTTグループをはじめ、大手通信事業者各社は企業とのサービス共創に注力していますが、こうしたビジネスモデルのシフトが5G時代にいよいよ本格化するということですね。

中川 そうです。新型コロナの影響もあって、企業も自社のデジタルトランスフォーメーションを加速するために、5Gという新しいネットワークを自社のビジネスにどう活かしていくのか真剣に考え始めています。実験段階のものが多く、まだ表にあまり出せないのですが、シスコも製造業や金融業、流通業など多くの企業の支援をさせていただいている最中です。

シスコのエリアが広がった

モバイル業界が転期を迎えている中、シスコジャパンの通信事業者向けビジネスは大変好調のようです。10月に開催した事業戦略説明会では、日本のサービスプロバイダー向けルーター市場におけるシェアが1年前より10%近く高い75.1%になったと明らかにしました(IDC Japan調査、2020年第2四半期)。好調の背景にはネットワーク側の変化もあるのですか。

中川 モバイルネットワーク全体を見渡すと、従来IPでコントロールできていたのは、実はコアネットワーク周辺だけでした。それがアーキテクチャーの変化に伴い、5Gでは無線アクセスネットワーク(RAN)の手前までIP化が進展してきています。その結果、私どもがお手伝いできるエリアが広がったという背景があります。
 レイヤー2で基本的に構築されてきたモバイルバックホールを、5Gでレイヤー3にすべきかどうか、という議論はずっと続いてきました。シスコとしてはIP化の重要性を踏まえてセグメントルーティング(SR/MPLSやSRv6)というプロトコルを提案してきたわけですが、私どもの考えに賛同していただける方が増え、現在の流れになっていると考えています。

なぜIP化が重要なのか、解説していただけますか。

中川 その理由はネットワークのインテリジェンスがユーザー側へとシフトしていくからです。もう少し具体的に言えば、エッジコンピューティングです。
 RANの一部をソフトウェアとして展開するvRANなど、今後エッジコンピューティングの世界になっていくと、硬直的なネットワークコントロールしかできない従来のレイヤー2ではさすがに厳しくなります。

運用変革は待ったなし

5G時代に起きる変化として、中川さんは「企業ネットワークとサービスプロバイダーネットワークのシームレスな連携」も挙げていますね。

中川 まず私が伝えたいのは、企業ネットワーク側の変化です。企業ユーザーは現在、本当にマルチアクセスな環境になっています。働く場所もオフィスや自宅だったりと多様化し、それをつなぐネットワークも今までのVPNベースの企業ネットワークに加えてWi-Fi、さらに今後は5Gやローカル5Gも入ってきます。
 一方、サービスを提供するセンター側を見ても、クラウド化が年々進んでおり、プライベートクラウドもあればパブリッククラウドもありという状況です。

非常に複雑化しています。

中川 そこで大事になってくるのが、インテントベースのネットワークなのです。インテントとは「意思の通り」といった意味です。企業ITはかなり複雑になっていますから、ある程度オートマティカルにネットワークを運用できないと、サービス側の意図通りの最適な動きができません。
 今まで独立して動いていた各ドメインのネットワークをエンドツーエンドで連携させ、運用やセキュリティのポリシーを一気通貫で管理して自動化するインテントベースのネットワークが非常に大事になってくるのです。
 そして、企業が5Gを自分のエクステンドアームのように使うためには、5Gも含めて一気通貫で管理できる必要があります。

企業ネットワークとのシームレスな連携を実現しないと、5G時代に期待されている新しいユースケースの実現も難しいということですね。

(聞き手・太田智晴)
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