• トップページ
  • テレコミュニケーションとは
  • バックナンバー
  • 定期購読申込
  • 広告出稿の案内
  • 取り扱い書店
  • お問い合わせ

Interviewインタビュー

2021年3月号

O-RANが海外事業の新・入口に
サイバー・フィジカル融合を進化

谷直樹氏

谷直樹 氏
(たに・なおき)
1989年、日本電信電話に入社。1992年、NTTドコモ設立に伴い転籍し、3G・4G等のネットワークアーキテクチャ・信号方式等の技術開発・国際標準化・国際展開のための実用化開発等に従事。2011年7月、関西支社ネットワーク部長として4Gネットワークの設計・構築・品質向上等に従事。2014年6月よりM2Mビジネス部長、2015年7月よりIoTビジネス部長として、IoT関連ビジネスをリード。2017年6月、執行役員 IoTビジネス部長。2020年6月より、常務執行役員(CTO) R&Dイノベーション本部長。兵庫県神戸市出身

NTTドコモ 常務執行役員(CTO)
R&Dイノベーション本部長
谷直樹 氏

モバイルサービスは20年ごとに大きく進化してきた。この20年周期説が今後も有効だとすると、5Gから始まる「新たな20年」には何が起こるのか。NTTドコモの研究開発の指揮を執る谷常務は「サイバー・フィジカル融合」をキーワードに挙げる。5Gの高度化、O-RAN、6GとIOWN、そしてドコモがサイバー・フィジカル融合によって目指すこれからのサービス像について谷常務に話を聞いた。

5Gの商用サービスが昨年3月に始まって、まもなく1年です。谷さんは、モバイルサービスには「ほぼ20年ごとに大きな波があった」と講演などで語っています。5Gと共に新しい20年、第3の波が本格化していくわけですが、まずこの最初の1年をどう評価されていますか。

谷 この1年弱を振り返ると、5Gは着実に進化・拡大しており、将来に向けて大きな可能性と期待を抱いているというのが今の実感です。
 ドコモの5G契約者数は12月末時点で約141万と順調に増加しています。エリアに関しても12月末時点で209都市、3月末には500都市へと拡大します。さらに幅広いパートナーと一緒にソリューションを協創する「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」に参加する企業・団体の数は3600を超え、すでに30の5G活用ソリューションを発表しています。
 5Gの特徴の1つである高速大容量についても、ドコモは着実に進化させています。我々は3つの5G新周波数帯(3.7GHz、4.5GHz、28GHz)を用いて、5Gの高速大容量の能力をフルに体感いただける通信サービスを「瞬速5G」と言っていますが、この瞬速5Gに対応した基地局は2021年6月末には1万局へ拡大します。2022年3月末には2万局に増え、瞬速5Gの高速大容量人口カバー率は55%に達する計画です。
 受信時最大速度も当初3.4Gbpsで始まりましたが、直近では4.2Gbpsになりました。今後もさらなる高速化を図っていきますが、5G用の新周波数をすべてうまく組み合わせ、速度を上げていくというのが1つのアプローチになります。さらにドコモの5Gの特色としては、すでに低遅延の仕組み「ドコモオープンイノベーションクラウド」を提供していることも挙げられます。

いわゆるMEC(Multi-access Edge Computing)ですね。

谷 5G自体は無線区間の低遅延化に寄与するものです。有線区間を低遅延化するドコモオープンイノベーションクラウドも併せて提供することで、すでにエンドツーエンドでの低遅延の仕組みを実現できています。

5Gの本質

谷さんはM2Mビジネス部長、IoTビジネス部長として、草創期のIoTビジネスを切り拓いてきた経験を持っていますが、5Gによって、さらにどのような可能性が広がっていくと考えていますか。

谷 リアル空間にあるモノ・ヒト・コトから得られる様々なデータから価値を生み出すこと。これがIoTビジネスの本質ですが、リアル空間からデータを集めるために必要なのが通信ネットワークであり、5Gがその可能性をさらに大きく広げます。
 建設機械を例に説明しますと、稼働データなどをクラウドに上げて、稼働状況の見える化や故障予知を行うというのが従来のIoTでした。それが5Gになると、リアルタイムで実際の映像を取り込み、遠隔制御することも可能になります。これの本質は、遅延なく遠隔の映像を見ることができ、さらに遅延なくアクションできるということです。
 この能力を医療に活かせば遠隔手術支援、メンテナンス作業に活かせば遠隔保守支援と、いろいろな応用分野が考えられます。映像を軸にした5Gソリューションには相当な広がりがあるでしょう。
 もう1つ挙げると、XR関係ですよね。人間の認識力や距離、時間などを超越できるリアル空間とサイバー空間を融合したサービスには大きな可能性があります。例えば、通常では体験できない業務を、リアリティを持って体験することなどがXRで可能になります。
 我々は、リアル空間にあるモノ・ヒト・コトのデータを集め、サイバー空間に蓄積して未来予測し、リアル空間にアクチュエートさせる「サイバー・フィジカル融合」が非常に重要なフレームワークだと捉えています。そして、これを具現化するためのネットワークが5Gであり、その次の6Gだと考えています。

次のステップはvRAN

高速大容量やエリア以外の面で、5Gを今後どのように進化させていきますか。

(聞き手・太田智晴)
続きは本誌をご覧下さい

定期購読申込ページへ

単部買いページへ

テレコミュニケーション定期購読のご案内

TOPICS注目の記事

インタビュー

佐賀文宣 氏
チェック・ポイント・
ソフトウェア・テクノロジーズ
日本法人社長

ランサムウェアの民主化に備える
セキュリティは「統合」「予防」型へ