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Interviewインタビュー

2021年12月号

ローカル5Gを確実に立ち上げ
6Gも相当な気合で研究開発

岩男恵 氏

岩男恵 氏
(いわお・さとし)
1958年3月6日生まれ。国内電機メーカーで米国向けアナログ自動車電話の開発を経て、1988年1月に日本移動通信(IDO)入社。2000年10月、DDI、IDO、KDDの3社合併によりKDDIとなる。2003年10月KDDI au事業企画部長、2005年12月同社au技術企画部長、2012年4月同社理事 技術企画本部長、以降ネットワーク技術本部長などを担当。KDDI退任後、2018年4月にサムスン電子ジャパン 常務取締役 Network事業本部長に就任

サムスン電子ジャパン
常務取締役 Network事業本部長
岩男恵 氏

ベライゾンとの大型契約をはじめ、サムスン電子が5G基地局市場で躍進している。日本でも長年インフラを供給してきたKDDIに加えて、NTTドコモからも受注した。勢いに乗るサムスンが日本市場で次に狙うのは、ローカル5Gでの成功である。サムスンのモバイルインフラにおける強みと国内での事業戦略について、日本のネットワーク事業の指揮を執る岩男恵常務に話を聞いた。

モバイルインフラ市場で今、地殻変動が起きています。主たる要因は5Gの開始と、それに伴うオープン化と仮想化の進展、そして経済安全保障の問題ですが、こうしたなか特に大きくシェアを伸ばしているのがサムスン電子です。サムスンの通信事業というと、スマートフォンのGalaxyのイメージが大変強いですが、モバイルインフラでも長い歴史を有していますね。

岩男 ネットワーク装置のマーケットには、1970年代から参入しています。自国のマーケット向けからスタートしたわけですが、転機となったのがCDMAです。実は韓国は、アナログ携帯電話から、いきなりCDMAに飛んでいるのです。
 サムスンはCDMA技術の研究開発に注力し、韓国にて1996年に世界で初めてcdmaOneを商用化しました。これがサムスンのネットワークソリューションが世界に広まる、良いきっかけとなりました。

3Gのベース技術となるCDMAをいち早く採用したcdmaOneは、2.5Gとも呼ばれた方式ですね。日本でもIDOとDDIセルラーグループ、後のKDDIがcdmaOne方式でサービス提供しました。

岩男 このcdmaOneをエンハンスした3G規格がCDMA2000で、「サムスンは商用実績がある」ということから、KDDIがCDMA2000を導入する際に初めて採用されました。以降、サムスンは4G、5GでもKDDIへ基地局を供給しています。2018年に定年退職するまで私はKDDIに在籍していまして、サムスンとはCDMA2000の頃からの付き合いです。
 このようにサムスンはCDMAに先進的に取り組んだのをきっかけに、海外マーケットへ進出し始めましたが、やはりグローバルでメジャーな地位を獲得したのはLTE/4Gの時代からです。そして、5Gでさらに伸びました。

ベライゾン大型契約の理由

5Gでのサムスンの躍進を特に印象付けたのが、2020年9月に明らかになったベライゾンとの大型契約でした。ノキア、エリクソンを上回る約66億ドルの受注を獲得したことが明らかになり、業界で大きな話題となりました。何がベライゾンに評価されたのですか。

岩男 1つは、エンドツーエンドでソリューションを提供できる数少ないネットワークインフラベンダーだという点だと思います。ご承知のようにサムスンは、インハウスで半導体を製造できます。また、端末の部門も持っています。
 自由経済圏の中で、チップから端末まで提供できるネットワークインフラベンダーは今では非常に少なくなりました。

エンドツーエンドということですが、コアネットワークからRAN(Radio Access Network)、OSS/BSS(Operation Support System/Business Support System)のようなマネジメントシステムまで全部を提供できるのですか。

岩男 課金系システムはパートナーシップを通して進行していますが、それ以外については、マネジメントシステムも含めてエンドツーエンドですべて提供できます。
 もう1つ高く評価された点としては、新しい技術にとにかく貪欲なところが挙げられると思います。これは韓国の市場特性でもあります。先進技術が大好きで、競争も非常に激しいです。韓国のMNO(Mobile Network Operator)とベライゾンによる、世界初のスマホ向け商用5Gサービスのローンチ競争というのもありましたよね。
 これを支えたサムスンとしても、2009年頃から5Gの研究に力を入れてきました。ベライゾンが5Gの標準化完了前に行ったミリ波のプロジェクトにも参加しました。
 こうした先進性と、韓国・日本という品質要求が非常に厳しい地域でビジネスをやってきた実績も評価されたと考えています。ベライゾンとはvRANにも共同で取り組んでいます。

サムスンの4大マーケット

ベライゾン以外には、グローバルでどんな顧客を獲得できているのですか。

岩男 まず地元韓国では、3事業者すべてに採用されています。日本ではKDDIに加えて、NTTドコモへの供給も今年発表しました。KDDIとはvRANの商用展開も進めます。また、4億人超の加入者を持つインドのリライアンス・ジオのコアネットワークとRANも我々です。サムスンのネットワーク事業部門では、韓国・日本・アメリカ・インドを「4大マーケット」と呼んでいます。
 さらに、欧州でもサムスンのネットワークが増えてきました。例えば、今年6月に英ボーダフォンの5G基地局の供給者に選定されています。

ところでサムスンとNECは2018年10月、5Gポートフォリオ拡大のための協業に合意していますね。

(聞き手・太田智晴)
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