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Interviewインタビュー

2022年4月号

デジタル田園都市へ光ユニバ化
オークションのあり方は今夏に

二宮清治 氏

二宮清治 氏
(にのみや・せいじ)
1965年生まれ、愛媛県出身。88年郵政省(現総務省)入省。消費者行政課長、料金サービス課長、大臣官房会計課長、大臣官房審議官(国際技術、サイバーセキュリティ担当)、内閣官房内閣審議官(内閣官房デジタル市場競争本部事務局次長、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室室長代理(副政府CIO))などを経て、2021年7月、総務省総合通信基盤局長(併任 内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室室長代理(副政府CIO))。同年9月、総務省総合通信基盤局長(現職)

総務省
総合通信基盤局長
二宮清治 氏

岸田内閣が掲げる「デジタル田園都市国家構想」の実現のため、総務省はどのような通信政策を推し進めていくのか。また、携帯電話用周波数の再割当制度と電波オークションの狙いとは何か。日本のデジタル力強化に向けた総務省の通信政策について、総務省 総合通信基盤局長の二宮清治氏に話を聞いた。

岸田内閣の主要政策の1つが「デジタル田園都市国家構想」です。「地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていくことで、世界とつながる」との目的を掲げています。

二宮 高齢化や過疎化など、今まさに日本で問題になっていることは、地方が直面している課題であり、地方にこそ新たなデジタル技術の利用ニーズはあります。自動配送ドローンや遠隔医療、遠隔教育といったアプリケーションをしっかり実装し、地方からボトムアップで国全体の成長を実現していくことが何より重要だと考えています。
 では、そのためにまず何が必要かというと、時代を先取りしたデジタル基盤です。
 デジタル基盤と言っても様々なものがありますが、今後さらに大事になっていくものとしては光ファイバや5G、そしてデータセンターや海底ケーブルなどが挙げられます。

それぞれの現状と今後の施策について教えてください。

二宮 光ファイバに関して日本は諸外国に比して進んでいます。2021年度末の世帯カバー率は99.7%の見込みと世界最先端です。2020年度の補正予算で500億円の補助金を投じた効果もあり、地方での整備もかなり進んでいます。ただ、その実態を見ますと、地域間格差は依然残っています。カバー率100%の地域がある一方、90%台前半の県もあるのです。
 敷設した光ファイバを今後どう維持していくかも極めて大事な課題だと捉えています。残り0.3%の整備に向けても、維持コストの問題は重要です。光ファイバを整備するにあたっての支障の1つが、その維持にかかる費用だからです。
 そこで今、光ファイバの維持コストに目配りする制度として、有線ブロードバンドサービスのユニバーサルサービス化の検討を進めており、できるだけ早期に国会での成立を目指したいと考えています。

電話のように、誰もが等しく受益できるサービスになるのですね。

二宮 今や光ファイバは、テレワークや遠隔医療、遠隔教育などを支える極めて重要なインフラです。そのため電話と同じく、有線ブロードバンドサービスも電気通信事業法の中で「基礎的電気通信役務」に位置付けたうえで、交付金制度を作ります。交付金は、無線も含む全国のブロードバンド事業者が負担し、高コストエリアの事業者を支援します。交付金の規模は、現時点では年間約230億円と試算しています。

ユニバーサルサービス化で、世帯カバー率100%も実現できそうですか。

二宮 経済合理性を考えると、100%はなかなか難しいのが実状です。2030年までに99.9%という目標を持って整備を進めていきます。最後の0.1%に関しては、携帯電話のブロードバンドサービスで補完することになるでしょう。

周波数再割当の背景

5Gの地方整備については、どんな状況ですか。

二宮 5Gを地方へ早期展開するため、5G用周波数の割当てにあたっては、全国を10km四方のメッシュに区切り、事業者に次のような開設計画を立ててもらいました。メッシュ毎に基盤となる親局を整備し、需要に応じて親局から子局をどんどん展開していくという開設計画です。
 この結果、2023年度末までに98%の基盤整備率を達成できる見通しです。地方展開のための足がかりは、順調に出来つつあります。これからは、より高密度な5Gエリアをいかに実現していくかも、1つの課題になってくるでしょう。
 そこで補助金等のさらなる拡充を行っており、例えば、インフラシェアリングの促進のための補助要件の見直しがあります。これまでも、複数の無線通信事業者で5G基地局を共同設置する場合、そうでない場合と比べて高い補助率となっていましたが、今後はルーラルエリアを整備するタワー会社等のインフラシェアリング事業者も新たに補助の対象になります。

電波政策の抜本的な見直しも始まり、大きな注目を集めています。1つが携帯電話用周波数の再割当制度です。楽天モバイルが700〜900MHz帯、いわゆるプラチナバンドを要望したのが議論本格化の契機となりました。

二宮 もう少し大きな視点から説明しますと、周波数の利用ニーズの増大が電波政策の見直しの背景にあります。
 携帯電話の契約数はすでに2億近くに達しています。今後さらに5Gが普及し、Beyond 5Gも見据えて、周波数はどんどんひっ迫していくでしょう。
 携帯電話だけではありません。衛星通信・HAPS、IoT・無線LAN、V2X等の次世代モビリティをはじめ、さらに様々な周波数ニーズが出てくることも想定されています。
 では、今後どの程度の周波数が必要になるのでしょうか。昨年8月に取りまとめられた「デジタル変革時代の電波政策懇談会」の報告書では、携帯電話の総トラフィックは2025年度末までに約3倍まで増大すると予想され、携帯電話用周波数においては2025年度末までに約6GHz幅の新たな帯域確保を目標とすることが適当であると提言されました。

衛星通信・HAPS、IoT・無線LAN、V2X等の次世代モビリティも含めますと、2025年度末までに約16GHz幅という目標が掲げられています。これだけの帯域幅を新たに確保するとなると、確かに電波政策の抜本的見直しが必要です。

(聞き手・太田智晴)
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