• トップページ
  • テレコミュニケーションとは
  • バックナンバー
  • 定期購読申込
  • 広告出稿の案内
  • 取り扱い書店
  • お問い合わせ

Interviewインタビュー

2022年9月号

誰でも手が届くローカル5Gを提供
キャリアと組んで産業用途を開拓

マスーム・ミール 氏

マスーム・ミール 氏
(Masum Mir)
米シスコシステムズ マススケール インフラストラクチャ グループで、モバイル・ケーブル・IoT事業担当 バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーを務める。5GおよびモバイルIoTネットワーク向けの製品、ソフトウェア、およびソリューションを開発。通信サービスプロバイダーがその未来を再構築し、5Gテクノロジーとそれに対する投資でより収益化を図れるよう支援している。中東工科大学(トルコ)で電気工学の学士号を取得、およびスタンフォード大学経営大学院で経営者教育(SEC)を取得

米シスコシステムズ
モバイル・ケーブル・IoT事業担当
バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー
マスーム・ミール 氏

ローカル5Gソリューション「Cisco Private 5G」の国内提供開始を間近に控えるシスコ。グローバルでこの新ビジネスを担当するマスーム・ミール氏は、エンドユーザーへの直接提供だけでなく、通信事業者との連携を重視した戦略を描いている。

シスコでモバイルビジネス領域を担当されています。5G関連のビジネス状況から教えてください。

ミール シスコはパーパス(存在意義)として、「すべての人にインクルーシブな未来を実現する」ことを掲げています。
 これについてさらに言葉を紡ぐと、すべての人が価格的にも手の届く形で5Gにアクセスできるように、5Gを成長させていくことがシスコの目的です。
 つまり、一部の産業だけが使うのではなく、あらゆるタイプの事業者、特にエンタープライズのお客様が取り組んでいるDX推進に貢献できるような5Gへと育て上げていくことが私のミッションです。

5GのSA化はゆっくりと

通信事業者の5Gインフラ投資が着々と進んでいます。注目している点は何でしょうか。

ミール 5Gの投資サイクルは、かなり長期化してきています。
 その中で私たちがやるべきことは、いかにコスト効果の高いソリューションを通信事業者に提供できるかです。なかでも、ネットワークの複雑性を解消し、いかにシンプル化できるが重要です。
 これについては、光伝送とIPレイヤーを統合するシスコの新アーキテクチャ「RON(Routed Optical Networking)」が役に立ちます。また、ネットワークが大規模化していくなかで、我々は運用自動化技術によって通信事業者のTCO削減に大きく貢献できると考えています。
 加えて、通信事業者はコアネットワークの伝送容量を増大させながら、同時にカーボンフットプリントを削減しなければなりません。電力の有効活用も、シスコが提供すべき価値の1つだと考えています。

日本では、5G NSA(Non Stand Alone)からSA(Stand Alone)への移行が始まりました。

ミール SAは歩みが遅く、当面はそれほど加速しないと見ています。
 というのも、コンシューマーユーザーのエクスペリエンスにおいて、NSAとSAの差はほとんど分からないからです。
 ところが、ビジネスのユースケースに目を転じてみると、5G SAのメリットが際立ってきます。SA化はこちらの領域で先行します。
 特に有望なのが運輸・交通業界です。車両の電気化と自律走行という2つの大きな流れがあり、5G SAはそこで高い価値を提案できるのです。
 自動運転車も電気自動車も大量のデータを生み出し、消費します。車両とクラウドの間で常にデータのやり取りが生じることになりますが、このトランザクションに遅延が発生しては、非常に困ったことになります。5G SAはこの遅延の短縮において優位性を発揮します。
 一方、産業用途ではセキュリティ面でも5Gが優位性を備えています。
 運輸・交通業界では様々な種類のデータを扱います。車両から得られるデータを、自動車メーカーは車両の設計に活かし、車両オーナーは運行管理に役立てます。ドライバーはインフォテイメントサービスを使います。これらすべてのデータをエンドツーエンドでしっかりと保護するために、5Gは価値を提供できます。
 しかも、これらは走行中のクルマに限りません。道路も交差点もデジタル化し、あちこちに配備されたセンサーからのデータも保護しなければなりません。輸送・交通業界のエコシステム全体で5G SAが必要とされるでしょう。
 ここで重要なのは、こうした領域がすべて、通信事業者にとってまっさらな市場であり、新しいレベニューを獲得できるという点です。

ローカル5Gもプライベート5Gも

産業分野における5G活用については、ユーザーである企業・組織が自前で5Gネットワークを構築・運用する「ローカル5G」と、通信事業者が特定ユーザー向けに専用のネットワークを仮想的に提供する「プライベート5G」の2つの形態が考えられます。シスコはこの春、エンタープライズ向けに5G機能を提供する「Cisco Private 5G」を発表しました。これは、どちらの形態もターゲットにしているのですか。

(聞き手・坪田弘樹)
続きは本誌をご覧下さい

定期購読申込ページへ

単部買いページへ

テレコミュニケーション定期購読のご案内

TOPICS注目の記事

インタビュー

湧川隆次 氏
ソフトバンク
執行役員
先端技術研究所 所長

AIの余剰でRANが動く世界へ
仲間と一緒に世の中を前進