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Interviewインタビュー

2023年2月号

実現会議事務局が解説

デジ田構想
総合戦略とは?

布施田英生 氏

布施田英生 氏
(ふせだ・ひでお)
1967年福井県生まれ。1990年電気通信大学卒業、同年に郵政省(現総務省)入省。総務省通信規格課長、移動通信課長、内閣府参事官(総合科学技術・イノベーション)、総務省技術政策課長、電波政策課長、九州総合通信局長などを経て2022年より現職

内閣官房
デジタル田園都市国家構想実現会議事務局 審議官
布施田英生 氏

「デジタル田園都市国家構想」とは何か? デジタルの力で目指す、これからの「地方」の姿や、新たに策定された総合戦略などについて、内閣官房 デジ田実現会議事務局の布施田審議官に解説してもらった。

デジタル田園都市国家構想(以下、デジ田)の総合戦略が12月23日、閣議決定されました。これを機に、デジ田は次のフェーズに突入するかと思いますが、まずは改めてデジ田の狙いについて教えていただけますか。

布施田 日本が直面している大きな課題が人口減少・少子高齢化です。日本の人口推移を長期スパンで見ますと、明治維新の頃の人口は3330万人でした。そこから急激に増加していき、2008年の1億2808万人でピークを迎えましたが、現在は人口減少社会に突入しています。日本の人口は、今の低い出生率を前提にすると、中位の想定でも2100年には約6000万人まで減ると試算され、約100年前の人口に戻る恐れもあります。

衝撃的な数字です。

布施田 この構想は、このように人口が減少していくなかで安全安心な社会を構築して、さらに経済も成長させるための、デジタル技術を活用して地方からボトムアップで起こしていく取り組みです。
 東京への一極集中の是正も目指します。例えば、デジタルの力を使って、地方に住みながら東京の仕事を続ける「転職なき移住」などの取り組みを進めていく必要があります。
 政府は従来から地方創生に取り組んでいますが、デジタルの力を活用して、もっと深化、加速させていこうというのがデジ田の狙いであり、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」の実現を目指しています。

実現のため、具体的にはどのような施策を進めているのでしょうか。

布施田 まず、地方の社会課題解決と魅力向上のために「地方に仕事をつくる」「人の流れをつくる」「結婚・出産・子育ての希望をかなえる」「魅力的な地域をつくる」の4つの方向性を示しています。これらは各地域でそれぞれ独自の取り組みをしていただくものです。
 そして、地方での取り組みを支えるため、国は大きく3つの基礎条件整備を行います。
 1つめが「デジタル基盤の整備」です。5G等の通信ネットワークやデータセンター、マイナンバーカードなど、地域がデジタルを活用できるための基盤をしっかり国が用意するということです。ここは総務省や経産省などが担当します。
 2つめは「デジタル人材の育成・確保」です。どなたと話しても、「デジタル人材が必要」という声を聞きます。まずは教育現場での育成が必要ですから文科省、産業界にも取り組んでいただくために経産省、また働き方のデジタルシフトも大切ですから厚労省と、3つの省庁が中心となって取り組んでいきます。
 3つめは「誰一人取り残されないための取組」です。「デジタルの使い方が分からない」といった方にも、やさしく教えて支えていこうということです。これはデジタル庁によるデジタル推進委員の取り組みなどで推進していきます。

総合戦略のポイント

これらの方向性は、2022年6月に打ち出したデジ田の基本方針でも示されていましたが、今回の総合戦略では新たに何が決まったのでしょうか。

布施田 2027年度までの5カ年のKPIと工程表を新たに設定したのが大きなポイントの1つです。
 2030年度までにすべての地方公共団体がデジタル実装に取り組むという目標を見据え、2027年度までにデジタル実装に取り組む地方公共団体を1500にすることをKPIとして掲げました。
 さらに、例えば先ほどのデジタル推進委員については2027年度までに5万人、3D都市モデルを2027年度までに500都市整備するといった新たなKPIを定めています。
 また、各地域の参考となる「モデル地域ビジョン」をいくつか提示したうえで、これについてもKPIを設けました。先導的なスマートシティについては2025年までに100地域を選定、農林水産業の「仕事づくり」を軸に、地域資源やデジタル技術等を活用しながら地域活性化などに取り組む「デジ活」中山間地域については2027年度までに150地域を登録するなどし、デジ田を盛り上げていこうと思っています。

この総合戦略を受けて、国と地方はさらにどんな取り組みを進めますか。

(聞き手・太田智晴)
続きは本誌をご覧下さい

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