• トップページ
  • テレコミュニケーションとは
  • バックナンバー
  • 定期購読申込
  • 広告出稿の案内
  • 取り扱い書店
  • お問い合わせ

Interviewインタビュー

2023年5月号

誤解だらけのサイバー保険
地域のリスク対策全般担う企業へ

NTT Risk Manager
代表取締役社長
一ノ瀬勝美 氏

NTT Risk Manager
代表取締役副社長
白石涼子 氏

日本では約1割にとどまるサイバー保険の加入率。その背景にあるのが、サイバー保険の保険料や補償内容への誤解だ。NTT東日本グループのNTT Risk Managerは、コンサルティングや保険商品の提供などを通じて、地域の安心・安全の実現を目指す。農業、eスポーツ、文化・芸術など、NTT東日本グループが事業領域を拡大させている中、サイバーセキュリティだけでなく、様々な分野のリスク対策を担おうとしている。

白石涼子 氏

白石涼子 氏
(しらいし・りょうこ)
ポリシー策定や人材育成、サービス開発など入社以来法人やマス市場に対するセキュリティビジネスに従事。リスクマネジメントの知見を活かし当該会社を設立して社会課題解決に取り組む

一ノ瀬勝美 氏

一ノ瀬勝美 氏
(いちのせ・かつみ)
NTT東日本の電気通信サービスにおけるサイバーセキュリティ対策やネットワークサービス開発に従事。以前より特殊詐欺対策サービスの提供など社会課題解決に取り組む

自然災害、病気、交通事故など、私たちは様々なリスクに直面していますが、インターネットが広く普及した昨今、残念ながら大変身近になっているのがサイバー空間に関連したリスクです。NTT Risk Managerは「地域社会の安心・安全の実現」をミッションに、2022年7月に設立されましたが、地域はどのような課題に直面しているのですか。

一ノ瀬 地域は、職場や学校、家庭などによって支えられています。
 こうした地域のコミュニティがどういったリスクに直面しているかというと、まず職場では標的型攻撃メールやマルウェア感染など、外部からの攻撃による情報漏えいが多発しているのに加えて、内部の人的ミスや故意による情報漏えいのリスクもあります。
 また、学校では、ICTによるいじめの助長や生徒情報の紛失などの課題があると聞いています。さらに家庭においても、家族がネット犯罪に巻き込まれたり、特殊詐欺による金銭的被害に遭ったりといったリスクがあります。
 このようなリスクに対して、地域の方々がどういった悩みを抱えられているかというと、特に中小企業や教育委員会の方からは、「どのような対策を、どういった優先順位でやっていけばいいのかが分からない」という声をいただきます。また、取り組むべきこと自体は分かっていても、「ICTに詳しい人材が不足していて対策を実施できない」と困られている方も多いです。
 そこでNTT東日本は、地域のコミュニティに対して、相談の背景にある根本的な課題抽出を意識しながら、対策を提示するコンサルティングだったり、従業員や小中高の生徒向けの研修・教育のサービスなどを以前から提供していました。そして、そのニーズは日増しに大きくなっているという実感があったのです。
 しかし、NTT東日本としては、どうしても通信事業の一環として取り組みますので、リスクマネジメントの部分のみを独立して提案するのは難しいという課題がありました。
 また、電気通信事業法との関係から、NTT東日本ではリスクマネジメントに必要な保険商品を販売できないという事情もありました。
 そこで、もっと踏み込んでリスクマネジメントのビジネスに取り組もうと、新会社を作ることにしたのです。

新会社には、東京海上日動火災保険とトレンドマイクロも出資しています。

一ノ瀬 新会社を設立して、リスクマネジメントの事業を拡大していくにあたり、両社と組むことが有益だと考えました。
 東京海上日動とは、地域の抱えるリスクに対して自助・公助を含めた形でお手伝いしたいという目指す方向性が一致し、出資だけではなく、保険販売に関するノウハウも提供してもらっています。
 また、トレンドマイクロには出資に加えて、サイバーセキュリティに関する技術的なノウハウ提供や、今後予定している新サービス開発のサポートなどをしていただきます。NTT東日本も通信分野のセキュリティには長年取り組んできましたが、トレンドマイクロはコンシューマー向けも含めたサイバーセキュリティ全般のノウハウを有しています。

NTT東日本グループは近年、農業、eスポーツ、芸術・文化、キャンプなど、様々な領域に進出していますが、NTT Risk Managerがカバーしようとしているリスクはサイバーセキュリティの領域に限られないのですか。

一ノ瀬 会社設立からまもない現在は、サイバーセキュリティを中心に事業展開していますが、目指すところは地域が抱えるリスク全般のマネジメントです。

サイバー攻撃以外も補償

NTT Risk Managerは設立時、3つの事業の柱を掲げました。(1)コンサルティング事業、(2)損害保険代理業、(3)リスク対策サービス開発事業の3つです。このうち保険代理業は、新会社になって新たに始めた事業です。

一ノ瀬 リスクを上手にマネジメントするためには、対策コストとインシデントの発生頻度の兼ね合いから、どうしても保険へのリスク移転が欠かせません。リスクを扱っていくにあたって、保険は必須のパーツだと考えていました。
 NTT Risk Managerでは損害保険全般を取り扱っていますが、中でも力を入れているのがサイバー保険の販売です。

サイバー攻撃による被害などに備えるための保険ですね。サイバー保険という保険があること自体はだいぶ知られてきましたが、その詳しい中身を知らない人はまだ多そうです。

(聞き手・太田智晴)
続きは本誌をご覧下さい

定期購読申込ページへ

単部買いページへ

テレコミュニケーション定期購読のご案内

TOPICS注目の記事

インタビュー

荻原直彦 氏
総務省
総合通信基盤局 電波部長

NTNと光で世界を牽引
6Gで日本の強み発揮

インタビュー

鈴木和洋 氏
楽天モバイル
代表取締役 共同CEO

法人携帯市場を「民主化」する
OpenAIとスマホ向けAI開発