リックテレコムWeb雑誌書籍展示会・セミナー 会社案内個人情報保護方針採用情報

テレコミュニケーションコンピューターテレフォニーCOMPASS

テレコミュニケーション

テレコミのご案内
TOPへ戻る
編集コンセプト
2012年発売号一覧
2011年発売号一覧
2010年発売号一覧
2009年発売号一覧
2008年発売号一覧
2007年発売号一覧
2006年発売号一覧
2005年発売号一覧
2004年発売号一覧
2003年発売号一覧
2002年発売号一覧
2001年発売号一覧
インタビュー集2012
インタビュー集2011
インタビュー集2010
インタビュー集2009
インタビュー集2008
インタビュー集2007
インタビュー集2006
インタビュー集2005
インタビュー集2004
インタビュー集2003
インタビュー集2002
インタビュー集2001
お問い合わせ先



広告掲載料金
広告掲載企業
2011・2012年記事広告一覧
連載記事広告一覧
2010年記事広告一覧
2009年記事広告一覧
2008年記事広告一覧
2007年記事広告一覧
2006年記事広告一覧
2005年記事広告一覧
2004年記事広告一覧
2003年記事広告一覧
2002年記事広告一覧
お問い合わせ先


セミナーのご案内
セミナースケジュール
お問い合わせ先



テレコミTOP編集コンセプト購読のご案内広告のご案内
 


2002年5月号

東京電力 光ネットワーク・カンパニー プレジデント:角井勝利 氏
信頼のTEPCOブランドでFTTH競争に勝つ
エリア整備完了は2年早める

光ファイバー時代のキャリア間競争において、かねてからNTTの対抗勢力として有力視されていた電力グループ。その中で最大規模のマーケットをエリアとする東京電力が、いよいよFTTHサービスに乗り出した。同社は、世界でも先例のない“電力会社本体での一種事業”を申請、今年3月8日に免許取得が認められた。このことからも、同社が光ビジネスにかける意気込みのほどがうかがえる。同社内でFTTH事業を任された光ネットワーク・カンパニーの角井勝利プレジデントに、サービス展開の具体的な戦略を聞いた。

Profile

角井勝利(すみい・かつとし)
1968年4月東京電力入社、84年同社本店人事部人事課課長、87年本店電子通信部通信調査課長、89年山梨支店総務部長、92年本店原子力業務部副部長兼広報部兼立地環境本部、94年本店電子通信部副部長(通信事業担当)兼通信調査課長、97年本店総合研修センター東電学園高等部校長、2000年沼津支店長を経て、2002年3月光ネットワーク・カンパニープレジデントに就任

――電力会社の一種通信事業参入は、「公正競争の確保」について激しい議論が交わされたことからも、業界に対するインパクトの大きさがうかがえます。そもそも、本体での参入を決めたのはどのような理由だったのですか。

角井 FTTHサービスの事業主体としては、電力会社本体、新会社、子会社(TTNetやスピードネット)の3つの選択肢がありました。具体的にどうするかを議論するうえで、私どもは当初から、「光ファイバーを多くの方に使っていただくため、ISPに広く開放する」というホールセール型のビジネスモデルを描いていたので、まずはISPの方々に広く意見を聞いてみたのです。
 そうしたところ、「東電グループの参入は大歓迎」とのことでしたが、事業主体に関しては、「ネットワーク事業とISP事業の両方を手がけている子会社各社では、接続交渉における情報開示や競争条件等で不公平になるのではないか」ということで、本体あるいは新会社での事業を望む声が多くありました。
 二者択一の段階でポイントとなったのは、事業展開にかかるコストでした。すなわち、莫大な投資が必要な事業を始めるのに、新会社設立というコストのかかることをすべきなのか、ということです。さらに、市場における競争力の確保という点も加味し、最善の選択は本体での参入という結論にいたりました。

――しかし、事業認可に際しては、公正競争確保のための諸条件が課せられました。

角井 ええ。私どもとしては、持って生まれた“性”と認識し、規約を遵守するため、3月1日に社内カンパニーを設立しました。それに、そもそも公平なサービスを提供する電力事業で培ってきた素地が十分にありますから、本体での参入はやはり正解だったと思います。

――光ネットワーク・カンパニーの組織体制について教えて下さい。

角井 東京電力内の位置付けとしては、社長直轄の、他部門と横並びの組織として位置付けられています。
 カンパニーの中は大きく2つのグループに分かれます。まず、光サービスグループは、ネットワーク監視や工事、カスタマーセンターによる問い合わせ応対などの業務を担当します。もう1つは光業務グループで、事業企画、営業、ネットワークに関する技術開発、心線貸しサービスなどを手がけます。

「いつから使えるか」も公表する

――3月29日にスタートした一般家庭向けの「TEPCOひかり・ホーム」、SOHO向けの「TEPCOひかり・SOHO」では、当初からTTNetがサービスメニューを提供し、So-netも5月からの申し込み受付を発表しました。その他のISPとのやり取りはどのような状況ですか。

角井 サービス開始前の2月27日にISPへの説明会を開催し、37社から100名弱の方が参加してくれました。そして、現在22社と話し合いをさせていただいています。

――何社くらいと提携を結んでいく計画ですか。

角井 具体的な数値は設定していませんが、ホールセール事業としてできるだけ多くのISPに使ってもらえればと思っています。ただ、そのためには、私どものほうがなるべく早く面的な整備を行って、お申し込みをいただいたらすぐに利用できる環境を作らなければならないと思っています。そうしなければ、提携ISPを増やしてもお客様のご要望に応えられないことになってしまいます。

――FTTH事業のネットワーク整備に関しては、約650億円の投資計画を立てていますが、どのような設備を整えていくのですか。

角井 現在、ISPとの接続拠点となるネットワークセンターと都内の当社事業所間、さらに2〜3kuに1カ所設置している配電用変電所までの光ファイバー網はすでに完成しています。今後の投資は、ここから先の部分に関して行っていくものです。
 具体的には、お客様のネットワークを収容する集合型メディアコンバーターを「分散拠点」に設置し、そこから数方向に太束の光ケーブルを延ばし、住宅地の中を細束のケーブルに分岐していきます。概ね100〜150m程度の間隔で光ファイバーが張り巡らされることとなります。
 ここまで先行的に整備することで、お申し込みに対して速やかに提供することが可能となります。開通までの期間は、個々の事情にもよりますが、早ければ数週間、かかっても1カ月以内に利用できるようにしたいと思っています。
 私どもでは、このように先行投資をして、光ファイバーが面的に整備された地域を「提供可能エリア」と位置付けています。逆に、先行整備が済むまでは、お申し込みは受け付けません。

――スケジュールとしては、2005年度までに都内の23区および武蔵野市、三鷹市全域でエリアを整備すると発表されていますね。

角井 実は、今、計画をもっと前倒しして、2003年度くらいまでに面的整備を完了させようと考えています。
 また、お客様にとって重要なのは、「いつから使えるのか」ということですから、エリア整備に関する情報もどんどん公表していきます。
 現在、当初のサービス提供エリアである目黒区・大田区・世田谷区の詳細情報をホームページで公開していますが、4月中には上期にサービス開始する9区・2市の中で早期に展開できるエリアを公表します。そして、5月以降は、23区・武蔵野市・三鷹市すべてに関して、いつごろサービスを提供できるかのスケジュールを出していく予定です。

――東京都以外へサービスを拡大する計画はあるのですか。

角井 今のところはありません。国道16号線内で需要が見込めるところはサービスを提供していきたいという思いもあるのですが、エリア整備には当然コストがかかるわけですから、どの程度のニーズがあるのかをきちんと見極める必要があるでしょう。

当面のライバルはADSL

――同じエリアでのFTTHサービスでは、NTT東日本と有線ブロードネットワークスが先行しています。競合相手に対する御社の差別化ポイントは何ですか。

角井 やはり、サービス品質はもとより、引き込み工事の迅速化、お問い合わせに対する丁寧な対応など、お客様の信頼をきちんと守っていくことだと思います。
 私はよくメンバーに「われわれのサービスは“TEPCO”ブランドの上に成り立っている」と言っています。これまで培ってきた高い信頼感を、インターネットの世界でも決して失わないことが、私どもの使命です。

――需要拡大には利用料金も大きなポイントになると思います。今後の低価格化については、どのようなお考えですか。

角井 サプライヤー側の立場でいえば、光ファイバー網の構築にかかるコストはずいぶん安くなりました。伝送装置ひとつとってみても、この7年ほどで約半額、この1年くらいをみても2〜3割程度安くなっています。当社が市場参入を決めたのもこれが理由の1つですし、結果として当社のサービスを使ったTTNet、So-netの月額料金は家庭向けで1万円を切ることができました。しかし、今後はどうかというと、需要次第で多少安くなっていくでしょうが、ADSL並みに大きく下がることはないと思います。

――サービス面の拡充についてはどのような計画を立てていますか。

角井 今のところ「ホーム」と「SOHO」の2メニューですが、マンションなどの需要も相当高いので、今年の夏くらいまでにはマンション向けのメニューも揃えていきたいと考えています。  また、差別化の点で、いかに優れたコンテンツを持てるかが非常に重要だと思っています。まずは、ADSLとの差別化の点では、“光ならでは”というコンテンツが必要ですし、次には同業との差別化として「TEPCOのFTTHを使えば見ることができる」というものを揃えていきたいと考えています。

――御社はすでにコンテンツ関連のビジネスにも着手していますが、光ネットワーク・カンパニーとしてはどのように関わっていくことになるのですか。

角井 東京電力としては、吉本興業と合弁でコンテンツ企画会社のキャスティを設立していますし、コンテンツ配信分野でも日本デジタル配信、ジャパンケーブルネット、ヒットポップス、AIIに出資しています。また、子会社のTTNetでは、ブロードバンドコンテンツ配信プラットホームの実証実験を進めておりますし、電力10社の連携によるコンテンツ配信事業として「BBit-japan構想」を打ち出し、各社が参加する研究会をスタートさせています。私どもは、こうしたコンテンツ関連のビジネスと有機的に連携して、優れたコンテンツで、FTTHサービスの付加価値を高めていきたいと考えています。

――FTTH市場規模の見通しと、その中でのシェア目標を教えて下さい。

角井 ブロードバンド市場に関するさまざまな予測の中で、FTTHの大きな伸びが見込まれていますし、私どもとしても間違いなく光の時代が来ると確信しているのですが、具体的にどう推移していくかを見通すのはなかなか難しいですね。
 正直なところ、当面はADSLがブロードバンドの主役を務めることは、このところの成長ぶりからも否定できないでしょう。ただ、増え続けるADSLユーザーこそが、FTTHにとって一番の潜在ユーザーだとも思っています。高速通信を体験された方のほうが、よりよいものへの欲求も強いはずです。
 ですから、ADSLが伸びれば伸びるほど、次にやってくるFTTHへの乗り換え需要も大きなものになるとみています。
 そうした中で、私どもは、少しでも大きなシェアを獲得していきたいと考えています。

(聞き手・大谷聖治)
 

リックテレコムメール配信サービス


 
Copyright 2003-2008 RIC TELECOM,All Rights Reserved