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2002年10月号

KDDI代表取締役社長:小野寺 正氏
1xの本領発揮はこれから
EV-DOでFOMA突き放す

CDMA2000 1xで3G市場を独走するKDDI。
しかし携帯電話全体でのシェアはまだ2割にも満たない。
3Gでの先行をどうシェア奪回につなげるのか。
小野寺正社長が巻き返し策を語った。

Profile

小野寺正(おのでら・ただし)
1970年東北大学工学部電気工学科卒業、日本電信電話公社入社。84年11月第二電電入社。89年取締役、95年常務取締役、97年6月に副社長。2000年10月第二電電、KDD、日本移動通信の合併にともないKDDI副社長。2001年6月社長就任。1948年宮城県生まれ。

――内蔵カメラで動画を撮影して、メールに添付して送ることができる「ムービーメール」対応の1x端末「A5301T」が9月に発売されます。今年4月に登場した1xで144kbpsのパケット通信が可能になりましたが、サービス面では他社の2G携帯電話とあまり変わりなかったと思います。やっと1xを生かせるサービスが登場したといえますね。

小野寺 ムービーメールの登場でお客様に見える形で、他社のサービスとの違いを示すことができるようになってきたと思います。音声の時代からメールの時代になって、自ら情報を発信したいというニーズが高まっています。すでにメールに写真を貼り付けたり、地図を添付することができるようになっていますが、1xのムービーメールでは同様のことが動画で実現できるようになったのです。

テレビ電話のニーズはない

――NTTドコモは、リアルタイムで双方向の動画通信ができるテレビ電話をFOMAの売り物にしています。1xでは対応しないのですか。

小野寺 テレビ電話型のニーズは実際にはほとんどないと思っています。
 テレビ電話では、発信側はある程度意識して、身だしなみを整えてからかけるでしょうが、着信側は意識をしていませんから、受けるのが負担になってしまいます。今回導入したビデオメール型なら、着信側も動画を見たうえで、意識して動画を撮って送るわけですから、抵抗感は小さいと思います。
 それに若い方の間では、音声よりメールのコミュニケーションが中心になってきています。これは、メールが時間の制約を受けないという理由だけでなく、すべてが伝わる電話と違ってある程度ニュアンスをオブラートに包んでコミュニケーションが取れるという点が受けているのだと思います。場合によっては、ビデオを撮って少し加工して送ったほうがテンキーでメールを送るより楽ではないかという見方もあります。今後ムービーメールは、予想以上に伸びていくのではないかと思っています。

――来年には、ムービーメール付き端末はどの程度使われることになるとお考えですか。

小野寺 少なくとも当社のハイエンド機種の主力になることは間違いありません。ただ、お客様へのアンケートの結果ではカメラ付き携帯電話がほしいという方はせいぜい6〜7割なのです。しかし、一般のカメラ付き端末とムービーメール対応端末の価格差がさほど大きくありませんから、全体の5割程度の方にはお使いいただけるのではないかと期待をしています。

――10月から月額600円の高速パケット通信の基本料金を無料化し、1200円の定額料金で通常1パケット0.27円を0.1円とする「パケット割」が導入されます。800円の無料通信料が含まれていますからかなり割安な料金です。これが1x時代の基本的な料金になるわけですね。

小野寺 その通りです。EZwebをお使いいただいているほとんどの方にとってメリットがある料金ですので、標準的なプランとして訴求していきたいと思っています。
 1xを導入した目的の1つは高速データ通信の実現ですが、それ以上に重要なのが周波数利用効率が向上することです。1xではcdmaOneに比べ音声通信で1.5倍のお客様を収容でき、同様にデータ通信でもビットあたりのコストが下げられます。1xの利用がある程度見込めれば、こうした料金設定も可能になるのです。少なくともPDCではこうした料金設定はできません。
 今回の料金は従来のほぼ3分の1の水準ですから、かなり使い勝手はよくなったと思いますが、まだ安いとはいえません。そこで、来年1x EV-DOの導入し、さらに使いやすい料金を実現したいと思っています。
 1x EV-DOでは、1xと同じ1.25MHz幅の電波を使って平均600kbps以上のスループットが実現できます。同じ帯域で送れるデータ量が大幅に増えますから、ビットあたりのコストも相当下げられます。これをユーザー料金に反映したいと考えているのです。

――1x EV-DOは、具体的にどう展開していくのですか。

小野寺 来春からIMT−2000用に割り当てられた2GHz帯で試験サービスを予定しています。これはPCなどを対象としたデータ専用サービスに近いイメージです。ただ2GHz帯でのエリア展開はあまり急がないでやっていこうと考えています。
 これに加えて秋には、現在cdmaOneと1xで用いている800MHz帯で1x EV-DOの商用サービスを開始します。当初のサービスエリアは東京、名古屋、大阪だけですが、できるだけ早く全国に広げていきたいと考えています。800MHz帯では、少なくともムービーメールが搭載されているような機種については1xと同時に1x EV-DOにも対応させて、1x EV-DOが使えるところでは優先してつながるようにします。もちろんエリア外では1xが使えるわけです。

――cdmaOneと1xの関係と同じですね。 すると料金体系も同一になるわけですか。

小野寺 そうです。1x EV-DOだけ料金を下げるのではなく、1xを含めたトータルのパケット通信のコストを数分の1に引き下げようということです。まだ最終決定をしていませんが、少なくともお客様が料金を意識しないでEZwebやメールを使える水準にしなければいけないと考えています。

――来年にはW-CDMAを採用している他社の3Gサービスも本格化します。この料金に追従してくることも考えられるのではないですか。

小野寺 設備投資額やデータ容量から考えれば、恐らく追従は難しいと思います。料金だけではなく、サービスエリアの展開や端末価格などの点でもCDMA2000というシステムを選択したことでW-CDMAではまねのできないメリットが生まれています。これを生かしてできるだけ早い時期に市場シェアを3割以上に回復させたいと考えています。

ユーザーにはBREWを見せない

――cdmaOneと1x 上で現在の携帯電話Javaによるアプリケーション配信サービスezplusに加えて、クアルコムが推進しているBREWによるアプリケーション配信サービスを実施するプランがありました。これはどう展開されるのですか。

小野寺 来年早々にはサービスが行えるようにしようとしているのですがBREWは主に法人向けソリューション用に展開するつもりです。一般コンシューマーに対しては、目に見えるような形のサービスにはならないと思います。
 BREWに取り組む理由の1つは、携帯電話Javaでは動作速度などまだ十分ではない部分があるので、BREWの導入でより快適にアプリケーションが使える環境を整えるということでした。ところが端末のスペックの向上でJavaの動作速度もかなり速くなってきて、必ずしもBREWでやらなければならないというわけでもなくなってきました。BREWが多くの携帯電話に搭載されれば確かにいろいろなメリットが生じますが、当分はそういう状況にもなりにくい。一般コンシューマー向けにBREWを導入するとしても、あくまでも現在のezplusのカテゴリーの中で展開したほうがいいのではないかと考えているのです。
 逆に法人向けでは、より高度な機能の実現や、企業ごとのカスタマイズに対応しやすいなどの点でBREWに強いニーズがありますから、この分野ではできるだけ早く投入したいと考えています。

PHSとEV-DOの連携も

――最近、PHSがデータ通信用途で見直されています。特にDDIポケットが提供している定額制料金のAirH"は法人ユーザーに好評です。さらに最高1Mbpsのデータ通信が可能な次世代PHSの標準化も完了しています。これを導入すればデータ分野では、他社と大きく水をあけることができますね。

小野寺 DDIポケットでは128kbpsパケットを提供していますが、これ以上PHSを高速化することには私は消極的です。PHSが評価いただいているのは常時接続が可能だという点ですから、むしろこれを前面に打ち出していくほうがいいのではないかと思います。高速通信は、むしろPHSのインフラを他のサービスと組み合わせることで実現するほうが現実的です。組み合わせの相手としては無線LANや、場合によっては1x EV-DOも有力な候補になると思います。

――無線LANサービスには、どう取り組むのですか。

小野寺 今後無線LANが家庭を含めて普及していくことは間違いありませんから、何らかの形で取り組まざるを得ないと思いますが、当社としては無線LANサービスに多額の設備投資をするつもりはありませんし、またこれが単独で事業として成り立つとも考えていません。例えば DIONの付加サービスとして提供していく形になるのではないでしょうか。

?PHSと無線LANとの連携サービスの具体的な計画はあるのですか。

小野寺 確かに無線LANとPHSが親和性が高いことは事実ですし、すでに技術的には十分可能になってきています。しかし、現状では無線LAN事業者が乱立し、ローミング1つをとってもどうなるのかはっきりしません。事業化に向けて整理しなければいけない要素がまだかなり残っていると思います。

ソリューションで生きる合併効果

――今年度、御社では法人向けソリューションを大幅に強化する方針を打ち出しています。10月から開始する位置情報の管理サービス「GPS MAP」など積極的な商品開発を進めています。携帯電話の新規加入が頭打ちになる中で、法人需要の開拓に本腰を入れ始めたということでしょうか。

小野寺 確かに今後の携帯電話ビジネスの拡大には法人市場の開拓は重要なテーマですが、ソリューションビジネスを強化している最大の狙いは、当社のビジネスの柱の1つである固定電話市場の縮小に対応することにあります。
 マイラインの導入やIP電話の登場で固定電話の売り上げはかなり落ちてきています。特にIP電話については5年後にはIP電話のトラフィックが市内を含めた全通話の半分を超えるようになるのではないでしょうか。当然、これに代わる新しい事業を伸ばす必要があります。そこで今、企業向けソリューションの提供やコンテンツビジネスのプラットホームの整備に力を入れているのです。
 2005年3月期にはこの分野で1500億円程度の売り上げを見込んでいます。

――すでに多くのSI会社が実績を持っているソリューション市場に通信事業者が参入するのは難しいのではないですか。

小野寺 基本戦略は、われわれの持っている強みを生かすことです。例えば移動体通信を活用したモバイルソリューション分野というのはまだほとんど手つかずなのですが、この分野では当社は非常に大きな強みを持っていると思います。
 今後、IP-VPNなどの新しい通信手段が、中小企業にも急速に広がっていくはずです。しかし、中小企業にはASPなどを含めたトータルソリューションとして提案しなければ、普及が進みません。この分野でもわれわれの強みが発揮できると思います。
 さらに当社の強みといえるのが合併効果です。開発のリソースも合併によって非常に強化できました。「GPS MAP」はKDDI研究所と当社でわずか3カ月で開発したものです。合併前であればこのようなことは不可能でした。また、この提案は固定網と移動体の両方を持っているからこそ実現できたのです。これは当社の絶対的な強みといってよいでしょう。

(聞き手・大谷聖治)

用語解説

●CDMA2000 1xEV-DO(1x Evolution-DataOnly)
北米方式の第3世代携帯電話CDMA2000に追加された新規格。データ通信に特化し、高度な制御技術で変調方式を高頻度で切り替えることで、最も条件のよい場合は2.4Mbps、平均でも600kbps高速データ通信を実現する。1xとの親和性も高い

●BREW(Binary Runtime En-vironment for Wireless)
クアルコムが普及を進めている携帯電話向けアプリケーション配信サービスの新しいプラットホーム。携帯電話Javaに比べ動作速度が速く、アプリケーション開発の自由度が高いことが特徴。すでに韓国KTFと米ベライゾンワイヤレスがサービスを提供中

●GPS MAP(ジーピーエス・マップ)
KDDIが10月から提供する法人向け位置情報管理サービス。
位置情報機能搭載端末を所持した車輌、要員の所在地をユーザーのPC画面で一元的にリアルタイムで把握でき、移動履歴や作業状況などの情報も表示できる。宅配、集配、セールス、保守、介護、医療、警備、イベントなど多方面での利用が想定されている

●ASP(Application Service Provider)
各種の情報系システム設備を構築して、ネットワーク経由で企業ユーザーに利用させるサービス。特に中小企業への普及が見込まれている
 

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