リックテレコムWeb雑誌書籍展示会・セミナー 会社案内個人情報保護方針採用情報

テレコミュニケーションコンピューターテレフォニーCOMPASS

テレコミュニケーション

テレコミのご案内
TOPへ戻る
編集コンセプト
2012年発売号一覧
2011年発売号一覧
2010年発売号一覧
2009年発売号一覧
2008年発売号一覧
2007年発売号一覧
2006年発売号一覧
2005年発売号一覧
2004年発売号一覧
2003年発売号一覧
2002年発売号一覧
2001年発売号一覧
インタビュー集2012
インタビュー集2011
インタビュー集2010
インタビュー集2009
インタビュー集2008
インタビュー集2007
インタビュー集2006
インタビュー集2005
インタビュー集2004
インタビュー集2003
インタビュー集2002
インタビュー集2001
お問い合わせ先



広告掲載料金
広告掲載企業
2011・2012年記事広告一覧
連載記事広告一覧
2010年記事広告一覧
2009年記事広告一覧
2008年記事広告一覧
2007年記事広告一覧
2006年記事広告一覧
2005年記事広告一覧
2004年記事広告一覧
2003年記事広告一覧
2002年記事広告一覧
お問い合わせ先


セミナーのご案内
セミナースケジュール
お問い合わせ先



テレコミTOP編集コンセプト購読のご案内広告のご案内
 


2002年12月号

ツーカーセルラー東京代表取締役社長:津田 裕士氏
3Gをやらないことが強み
機能ではなく使いやすさを訴求

首都圏での加入者減が続くなど
厳しい局面にあるツーカーセルラー東京。
だが、津田裕士社長は、3Gに投資しないことを
強みに2Gで攻勢に出ると語る。

Profile

津田裕士(つだ・ゆうじ)
1979年東京大学教養学部卒業。同年豊田通商入社。91年第二電電(現KDDI)入社。98年国際本部国際事業開発部部長兼国際企画部部長。99年DDI DO BRASIL LTDA.取締役副社長兼GLOBAL TELECOM S.A.取締役社長。2001年3月 第二電電取締役移動体事業戦略本部付、同年6月ツーカーセルラー東京取締役、KDDI執行役員社長室長。10月にツーカーセルラー東京代表取締役社長、ツーカーセルラー東海代表取締役会長(現職)、ツーカーホン関西代表取締役会長(現職)。2002年2月からツーカーセルラー東京代表取締役会長兼社長。1955年生れ。

  NTTドコモとKDDI(au)が第3世代携帯電話(3G)サービスを開始、J−フォンも年内にサービスを開始する計画です。ツーカーグループでは3Gに取り組むつもりはないのですか。

津田 ご存じの通り、3Gのライセンスは3社にしか与えられていません。当社はこれを受けていませんから、今すぐにはやらないことは間違いないわけです。3Gというのは、非常に大きな事業で、第2世代からの移行に3年から5年かかり、その間にとてつもない設備投資がかかります。3Gのインフラ構築には最低でも5000億円から1兆円の投資が必要ですから、現在のツーカーの体力からすると、今やれといわれてもとても取り組める状況ではありません。
 では、将来的にツーカーが3Gもやれないようなつまらない事業者に成り下がってしまうのか、というとそういうことはなく、いずれはやることになると思っています。

  3Gに参入しないのには、KDDIグループ内での役割分担という面もあるのではないでしょうか。

津田 そういう側面もあります。われわれKDDIグループの中で、3Gに積極的に取り組むau、3Gには当面取り組まないツーカー、そして音声ではなくデータ通信に特化して定額制を売り物にするDDIポケットという、一種の棲み分けが出来上がっています。
 当社はその中で、どちらかというと3Gのような高機能なサービスはいらない、通常の機能で十分。ただし、きちんと使えて料金が安ければいい、ということに価値を見いだしていただけるお客様を対象に事業を展開していこうとしています。もちろんそれでビジネスが成り立つと考えているのです。

  具体的に説明していただけますか。

津田 例えば、今、携帯電話のトレンドはカメラの標準搭載に向かっていると思うのですが、われわれが当社のユーザーを対象に調査をしたところ、当面カメラ付きのものでなくていいというお客様が6割くらいいらっしゃる。逆にいえばそういうお客様に対してはわれわれはすでにオーバースペックなものを出してしまっているのです。それどころか、当社の携帯電話はすべてEZwebに対応しているのですが、3割くらいのお客様はお使いになっていない。これは、現在のサービスであれば、いらないと宣言されているに等しいのです。
 これから3年後、5年後に3Gのユーザーが増えてきて、データ通信料金も安くなり、操作もより簡単になれば、高度な機能があっても嫌ではないというお客様が増えてくるかもしれませんが、そんなものはいらないと言われる方も確実に一定数存在するのではないでしょうか。これは価値観の問題ですから。
 そうしたお客様なら、カメラが付いて動画が見られることより、月々のランニングコストが安く端末も安価であった方がいいとお考えになると思います。こうした方のほうが、数の上では多いのではないでしょうか。
 その意味では、むしろ他社が3Gを始められることは、当社にとってチャンスなのではないかと思っているのです。3Gのサービスを行うには多額の設備投資が必要ですし、開発も3Gの特性を生かした高機能端末にどうしても目がいってしまう。それに対してわれわれは2Gに特化してヒト、カネ、モノを全部集中できるのです。

  当面はどのような展開をお考えなのでしょう。

津田 当社は11月末に京セラ製のTK22という新製品を出すのですが、これはカメラはいらないというお客様にどういう価値を提供できるかを考えたものです。単にカメラがありませんから安いというのでは売れませんから、京セラとご相談して、カメラを付けない代わりに、非常に薄くスタイルのよい端末を作ってみようということにしたのです。
 これは、折りたたんだ状態で15ミリという恐らく二つ折りのカラー端末では世界で一番薄い携帯電話になのですが、持ち運びや胸のポケットに入れるのであれば、携帯電話は薄い方がいい。カメラを捨てることで、こうした新しい価値観を提案できたと思っています。

純減覚悟で財務を改善

  今年度どの程度の伸びを見込んでいるのですか。

津田 実はツーカーの加入者は、ここ1年間で15万ほど減っているのです。今年の目標は残念ですが減少をどれだけ少なくするかです。
 これには理由がありまして、昨年の初めごろから新規加入者の獲得が難しくなりはじめました。そこでとにかく数を取れということで、加入者獲得のために販売手数料を増額したりしたわけです。しかし当社のサービスの商品力がアップしているわけではありませんから、あまり携帯電話を持つ気のない方に、端末をプレゼントしたりする「企画系」販売を行う代理店が増えてくることになりました。しかし、こうしたお客様は、加入はしてもほとんど通話していただけない。しかも多くは3カ月以内に解約されてしまう。そうしたお客様が次から次へと入れ代わっていくという形で、ある程度の水準がキープされていたわけです。ところが、昨年半ばごろになるともうそれでも追いつかなくなってきた。こんなことを続けても何の意味もないので、「企画系」販売からはきっぱりと足を洗ったわけです。

  純減は覚悟の上だったと。

津田 むしろ純減にしなければ、会社がつぶれてしまうところでした。1年前に比べて同じお客様を維持するのに、月10億円、年間に直すと100億円以上かかるようになっていましたから。前年には100億円程度の利益を計上できたのですが、これで吹き飛んでしまった。
 そこで昨年10月に企画系で販売されていた3万契約分をバッサリ切ってしまったので、それがそのまま純減になってしまった。その後、すぐ解約されるようなお客様を取るのを止めましたから徐々に解約は少なくなってきているのですが、その調整局面で東京だけでも年12万台の減になってしまった。しかし、加入者は減りましたが、昨年度の収益は大幅に改善できたわけです。

  加入者拡大のためにどのような手立てをお考えですか。

津田 やはり、お客様にツーカーを積極的に選んでいただけるような魅力のあるサービスにしていかなければいけません。これには大きく2つの要素があると思います。1つは、使い勝手がよく魅力的な端末を投入したり、エリアを整備するというハード面の改善。もう1つは料金がリーズナブルであること。この2つがツーカーが生き残るための重要なポイントになってくると思います。こう考えると、われわれが3Gをやらないことが、逆に事業展開上で有利に働く可能性が強いのです。

  どういうことですか。

津田 まずエリアの問題ですが、すでに他社は、設備投資の軸足を3Gに移していますから、2G基地局の増設はほとんど止まってしまっています。逆に3年から5年後には、他社の2Gの加入者は多くが3Gに移行しますから、2Gの基地局を間引いていこうという時代がくるかもしれません。するとツーカーのインフラが2Gでは一番よくなるという時代が自然とやってくることになります。
 料金面でも、当社はすでにサービス開始後8年が経過してそろそろ新しい設備投資の必要がなくなる局面にさしかかっています。そうなれば償却負担はどんどん軽くなって、5年、遅くとも10年経てばゼロになってしまう。今年は600億円強の減価償却費を計上していますが、3年後にはこれはかなり軽くなります。これを料金の値下げや当社の借り入れの返済に当てることができるわけです。

  償却が全部終わった時点でどの程度の値下げが可能になるのでしょうか。

津田 正直いってまだ、読みきれないのです。3割程度は引けると思いますが、そこまでやると逆にお客様が増えてしまうかもしれない。加入者増で設備を増やしたくともすでにPDCのインフラ設備は生産が止まりつつありますから、3年後、5年後には設備が供給されないか、非常に高いものについてしまう可能性がある。むしろ現在の400万、少し増やして500万程度のお客様をそのまま維持できた方が有利なのではないかと考えているのです。

安定した段階で3Gへ

  5年後には3Gのインフラはかなり整備され、他社では主力システムになるはずです。御社だけが2Gのインフラのままで対抗はできるのですか。

津田 その点は、非常に気になるところなので、さまざまなシミュレーションをしているのですが、要は3Gのインフラがどこまでよくなるかによるのだと思います。現行の日本の2Gのインフラは海外のサービスに比べても、とてつもなくよいのです。すでに、全国ほとんどすべての市町村で使えないところはなくなっています。ビルなどの屋内浸透率も非常に高い。3Gがこれと同等以上のインフラを作るというのはかなり時間がかかると思います。エリアでは2Gが勝っているとすると、後はニーズの問題だと思います。
お客様の中で3Gでなければできないサービスをお使いになりたい方は、どんなにわれわれがお願いをしても残っていただけないでしょう。しかし、十分にコストが安ければ2Gで構わないという方は5年後でも10年後でもいらっしゃると思います。問題は、そういう方が400万から500万程度のボリュームでいらっしゃるかどうかです。いらっしゃらなければ、当社の事業は成り立ちませんが、そんなことはないだろうと考えているのです。

  さきほどいずれ3Gはやるとおっしゃっていましたが。

津田 はい。われわれが2Gでサービスを続けたいといっても、例えば15年後ぐらいにはPDCの部品の調達がつかなくなるかもしれません。実際にそこまで2Gを引き延ばすことはないと思います。10年後なら借り入れを返済し終わっているはずですから、3Gをやるのならそこでやればいいと考えているのです。  当社が、2GHz帯に新しい周波数帯を頂いて3Gをやるということはありえませんが、現在の400万から500万加入程度なら現在の1.5GHz帯10MHz幅の帯域の半分5MHz幅を使って余裕で3Gを入れられます。その頃には3Gのインフラ価格も現在の3分の1程度になっているのではないでしょうか。  2Gのインフラをとことん使い続けられるメリットは非常に大きいと思います。これまで日本の移動体通信事業者は、償却もろくにできないうちに新しい設備に更新してきたわけですが、当社は償却済のインフラを使って事業展開ができる初のケースになるのではないかと思っています。ですから、やり方さえ間違えなければ、とてもよい絵が描けるのではないかと考えているのです。

(聞き手・藤井宏治)
 

リックテレコムメール配信サービス


 
Copyright 2003-2008 RIC TELECOM,All Rights Reserved