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2005年11月号

NTTドコモ
取締役常務執行役員
プロダクト&サービス本部長
辻村清行氏
ドコモは新しいサービスにチャレンジする
新規加入者の逓減・定額制の導入で、携帯電話業界は大きく変わりつつある。そのなかで、新規参入事業者を迎撃する立場のNTTドコモでプロダクト&サービス本部長として新たなビジネスモデルに取り組む辻村清行取締役常務執行役員に、市場の見通しとサービス戦略を聞いた。

Profile

辻村清行(つじむら・きよゆき)氏
1950年生まれ。75年日本電信電話公社(現NTT)入社。91年NTT移動体通信事業本部企画部担当部長、92年NTTドコモ企画部担当部長、99年国際ビジネス部長、2001年取締役国際ビジネス部長、02年取締役経営企画部長などを経て、05年取締役常務執行役員プロダクト&サービス本部長に就任

  今年6月にプロダクト&サービス(P&S)本部長に就任されましたが、抱負をお聞かせください。この本部は、ドコモのサービス開発にあたるエンジン部隊という位置づけですね。

辻村 ドコモは「お客様第一」をスローガンに掲げており、端末のデザインやユーザーインターフェース、使い勝手を常に改善する努力が必要です。サービス面でも、お客様にもっともっと使いやすくすることが大きな仕事です。
 P&S本部には約900人のスタッフがいますが、平均年齢は30代前半と非常に若い部隊です。若い人たちのエネルギーを1つにして、サービスや端末をより便利に使っていただけるよう向上させ続けることが私の仕事です。
 このミッションをどう達成するのかは、試行錯誤しながらも前進していきたいと思っています。

世界で注目される「おサイフケータイ」

  携帯電話市場は飽和状態にあるといわれますが、現状をどのように見ていますか。

辻村 今、市場が大きく変わる局面にあります。加入者や総トラフィックは頭打ちになりつつあり、成長が急激にスローダウンしている状況です。普及率もかなり高く、今後大きな伸びは期待できないと考えています。
 加えて、業界全体で定額制料金が導入されてきたことで、リッチコンテンツを入れてトラフィックを増やせば収入につながるという直線的なビジネスモデルが通用しなくなっています。そこで、「おサイフケータイ」というノントラフィックビジネスを立ち上げました。
 日本に限らず、移動体通信が普及した国では、トラフィックに依存できないなかで成長をどう描いていくかが非常に大きな課題になっています。そこで、世界中の携帯電話事業者がドコモのFeliCa搭載端末の行方を注目しているのではないでしょうか。

  FeliCa端末は「方向性はわかるけれども中身が見えない」とも言われているようですが、現段階での手応えは。

辻村 いずれ離陸すると思っていますし、手応えも感じています。ただ、収益にどう結びつけていくのか、正直言って、今の段階では不透明な要素がたくさんあります。
 iモードは携帯電話でメールをやり取りしたり、コンテンツやサイトにアクセスするという新しい文化を作り出しましたが、携帯という土台があった上での音声かインターネットかの違いです。おサイフケータイでは、端末の交換時に電子マネーなどのバリューをどこでどうやって移行するのか。リーダー/ライターにしても、プラスチックカード用ではなく、新しい装置を店舗に置いてもらう必要があります。つまり、携帯にiモードが加わってきたときの難しさと、ノントラフィックでFeliCaを普及させていく難しさは大きく違うと思っています。

  マンションやロッカーの鍵などに使われるようになれば、一般ユーザーの抵抗感を取り除けるのではありませんか。

辻村 シナジーは出てくると思います。ただ、携帯電話でドアを開けるといっても、古い端末に入っている鍵の情報を新しい端末に誰が移行するのかというセキュリティの問題があります。実際のオペレーションではこうした課題を丁寧に解いていかなければなりません。そうなると、ドコモショップやコールセンターのあり方も変わってくると思います。

  FeliCa端末の登場によって、携帯電話は音声端末ではなく、いまや多機能情報端末の時代になっているわけですね。

辻村 そうです。そうした端末を会社としてどうサポートできるのか、お客様にどうやって心地よく使っていただけるかが大事です。例えば「M1000」のようにフルブラウザでPDA(携帯情報端末)タイプのものが出てくると、いろいろなアプリケーションが載ってきて、フリーズなどの問題が発生します。端末がコンピューター化し、高級な機械になる時代に入ってきているわけですから。従って、ドコモショップのスタッフに対応策をすべて理解してもらうには無理があるでしょう。そこで、ヘルプデスクの強化などを検討していきたいと考えています。これは新しい時代への対応策の1つです。

  ノントラフィックビジネスと言いますが、具体的なサービスはどのようなイメージになるのですか。

辻村 例えば、クレジットカードの明細書は月1回の発行ですが、携帯電話ならトランザクションが発生した都度メールで送ることができます。一定の手数料で、トランザクション単位の明細通知サービスを始めるなど、今までにないノントラフィックサービスを定額制で提供できます。
 ただ、新しいビジネスは普及までに少し時間がかかると予想されるので、現状のサービスにおいても、工夫を凝らす必要があります。例えば、低トラフィックのユーザーにいろいろな情報を見ていただけるようにすることです。そこでiチャネルでは、月々150円で決まった時間ごとに情報を流し、より深い情報が必要ならサイトに接続してもらい通信料をいただく構造になっています。このようなユーザーニーズの掘り起こしを並行して行いつつ、ノントラフィックビジネスを立ち上げていくのが基本戦略です。

インフラは自前で作るべき

  いよいよ新規参入事業者が登場してきます。さまざまなサービス計画を立てているようですが、その対抗策は。

辻村 界全体にとって、新規参入は競争が進み市場が活性化するのでよいことだと思います。業界が拡大することが大事で、限られたパイをどうやって分けるかというのでは面白くないし、私のところにいる900人の若い人たちは燃えません。
 しかし、新規参入に関して、ご理解いただきたいことがあります。携帯電話事業は基本的にインフラ事業であり、台風や地震のときに必ず家から持ち出すライフラインでもあります。それだけ公共・公益的な役目を負っているのですから、携帯電話用の電波免許を取得した通信事業者はインフラを自ら構築していくべきです。「困ったときにはドコモに行ってください」というのではおかしい。社会的な責務を認識し、自分たちでインフラを作り、災害時にも可能な限りお客様が安心して使えるよう、サービスを提供する不断の努力が必要だと思います。

  イー・アクセスは新規参入にあたって、ローミングを強く要望していますね。

辻村 どの事業者に免許が与えられるかわかりませんので、現在は話し合いを進める状況ではありません。われわれもエリアを充実させることがサービスの向上になることから、基地局の建設を必死になってやっています。そのようにして苦労して作ったものに対し簡単に「貸してくれ」というのはないでしょう。

  ボーダフォンはMVNO(仮想移動体通信事業者)に積極的である旨を発表し、イー・アクセスなどもMVNOモデルを検討していますが、こうした動きについてはどのように考えていますか。

辻村 弊社には、残念ながら電波の余裕がありません。

  これから、新規事業者の参入によりサービス競争や端末競争が一段と激しくなるといわれていますが、ここはプロダクト&サービス本部の仕事の機軸ですね。

辻村 お互いに知恵くらべですね。どういうアイデアがよいかは、まさに真剣勝負で競争すべきところです。われわれが劣っていれば負けてしまいますが、そうならないように頑張りたいと思います。

MNPに秘策はない

  番号ポータビリティ(MNP)は来年秋に始まる予定ですが、すでに前哨戦に突入しています。

辻村 MNPはわれわれにとって、非常に大きな課題です。お客様の流動性が高まることは確実なので、何か怠っている点があれば、他社に流れる可能性があります。ネットワークや端末、サービス、アフターケアなどに一生懸命磨きをかけていくしかなく、秘策はないと思います。

  ユーザーを固定化するポイントは。

辻村 基地局をもっと作り、エリアに対する不満を解消していかなければなりません。また、端末もドコモはやや硬いというか、他社のほうがワクワク感があると言われます。サービスでも、音楽配信をまだ本格的に始めていないのでどうするのかといった課題があり、1つ1つ取り組んでいます。

  MNPが始まるとドコモに不利になるという調査結果が最近目立ちますが。

辻村 それはわかりません。大切なことはMNPは瞬間で終わるのではなく、ずっと続くわけですから、長い目で見ていかなければなりません。きちんと商品・サービスを磨いていけば、たとえ他に移りたいという意向のお客様も戻ってくる可能性があります。

  今、通信業界ではFMC(Fixed Mobile Convergence)が大きな話題になっています。再々編も言われていますが、NTTグループにおいて、ネットワークの統合とサービスの連携はどのようなステップを踏むのですか。

辻村 われわれのコアネットワークがIP化していき、固定系もIP化していきます。ネットワークの統合については、技術動向、経済性、信頼性などを考慮しながら、結論を出していくのでしょう。
 また、お客様に近いところのサービスレベルをどう1つにしていくのかも難しい課題です。例えば、IP電話は050、携帯は090、固定電話は0ABJです。3つも4つも番号があるとまぎらわしい。受ける側も、無線LANや固定電話、携帯のすべてに着信してほしいけれど、お客様の位置情報を事業者間で安全にやり取りできるのか。目の前の便利さや効率性だけを追いかけて、大切にすべき部分をおろそかにしてはならないと思います。

  では、プロダクト&サービス本部長としての目標は。

辻村 おサイフケータイ、映像系、PDA型など、いろいろと新しいサービスにチャレンジしていきます。しかし、押しつけであってはならず、使い勝手がよく、安心して使えることが重要です。単にサービスや端末を作るだけでなく、ネットワーク、販売方法、アフターケア、料金などすべて関係してくるので、会社全体で新しいことに取り組む、その発信源になりたいと考えています。

  携帯電話販売店も岐路に立っていますが、どういうメッセージを出されていますか。

辻村 携帯電話販売店はとても重要なパートナーです。携帯電話事業全体が新しいフェーズに移りつつあるなか、今までの販売方法やお客様への対応にも進化が求められており、ドコモと一緒に努力を重ねていただきたいと考えています。これからは、お客様と一緒にサービスを作り上げていく時代になっています。要望を聞きながら、双方向のコミュニケーションを促進していくことが新しい時代を切り拓いていくと思います。

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