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2007年2月号
NTTコミュニケーションズ
代表取締役社長
和才博美氏
「第2の創業期」で新ビジョン
インフラを持たない強み生かす
グループ再編で、2006年8月に法人営業とネットビジネスを集約し「第2の創業期」として新たなスタートを切ったNTTコム。和才博美社長は「法人とネットビジネスのシナジーを発揮していきたい」と語る。
Profile
和才博美(わさい・ひろみ)氏
1946年大分県生まれ。69年3月九州大学工学部電子科卒業、同年4月日本電信電話公社入社。その後、技術開発、ニューヨーク駐在、企画、人事業務等に従事し、99年1月理事・持株会社移行本部第一部門担当部長、99年7月取締役、2002年6月代表取締役副社長、同年7月代表取締役副社長・ブロードバンド推進室長を経て04年6月NTTコミュニケーションズ・代表取締役副社長、05年6月代表取締役社長に就任。現在に至る
NTTグループの中期経営戦略に基づいた2006年8月のグループ再編で、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)の事業形態は大きく変化しました。特に、通信事業者でありながらネットワークインフラを持たないということに関して、将来性を疑問視する意見もあります。
和才
われわれは、インフラを所有することにはこだわっていません。実際、これまでもアクセス回線は所有していなかったわけですから。
ただ、どの会社からネットワークを借りるにせよ、当社がエンドツーエンドで責任を持つことに、何ら変わりはありません。
分かりやすい例で説明すると、国際サービスがあります。当社はグローバルに事業を展開していますが、すべてのネットワークを所有してエンドツーエンドでユーザーにサービスを提供することは不可能です。このように国際サービスはインフラを持たずに提供しているのですから、国内でも同じことが言えます。
インフラを所有することとネットワークサービスを提供することが、必ずしもイコールではないということですね。
和才
ただ、われわれはユーザーに対してエンドツーエンドで責任を持ちますから、ネットワークに対する要求は当然します。国際サービスでも、ネットワークの品質が悪ければ改善を求めています。
インフラ提供会社とわれわれとの間に乖離が生じれば、サービス自体がおかしくなります。常にユーザーの視点を持ち、必要なことはきちんと要求しますし、場合によっては当社がインフラの敷設や拡充費用を負担してでもサービスの責任を持ちます。
PBX/ビジネスホン市場でも言えますが、近年国内では自前で設備を持つコストが問題視され、「持たない経営」を選択する企業が増えています。同様のことが通信事業者にも当てはまるということですか。
和才
海底ケーブルを例にあげると、昔はすべて通信事業者が所有することが前提でした。しかし現在は専門の卸会社があり、われわれもそこから借りて利用するものもあります。また、国内のダークファイバーも、他社から借りることができます。
このように、きちんとインフラを提供してくれる事業者がいるのであれば、品質への要求をシビアにしながら、それを活用すべきです。インフラを所有し、なおかつサービスも提供するという固定電話のような垂直統合型モデルと比べれば、もう時代が変わったのだと認識しています。
事業ビジョンを社員とともに作成
御社は昨年から「第2の創業期」を謳っています。明快な言葉ですが、この中にはいろいろな意味が込められているのではないかと推察します。
和才
06年の初頭から第2の創業期と言い始めましたが、1つは1999年の発足から7年目に入ったことがあります。当社はゼロからのスタートで売上を重視して事業を展開してきましたが、多くの法人ユーザーに利用していただくようになると、見直さなくてはならない問題も顕在化してきました。例えば、縦割りの事業部体制です。サービスが縦割りなのでそうなっていましたが、これがユーザーへのサービスを阻害してしまうことが、少なからず生じていました。
そこで、ユーザーニーズであるワンストップサービスの視点で当社のプロセスやオペレーションを見直そうと決意しました。
もう1つは、グループの体制見直しが8月に予定されていたことがあります。NTT東西の法人サービスとグループの上位レイヤ事業(ネットビジネス)が当社に集約されることになっていましたので、それを機に原点を見つめ直そうという意味も込めました。
そして、11月10日の中間決算説明会で「事業ビジョン2010」を発表しました。
和才
実は、第2の創業期を謳った時からビジョンを作りたいと考えていました。それも、マネジメント側からのものではなく、社員も交えて「NTTコムという会社は今後、どのような考え方の下で何をやっていくのか」というビジョンを考えたいと思ったのです。2010と銘打ったのは、10年後では遠過ぎるので、区切りのいい2010年をメドにしたいと考えました。
社内に検討チームを作ったのですか。
和才
複数のチームを作り、さまざまな角度からディスカッションを重ねました。最終的には幹部会議で決めたのですが、ここでも何度も議論を重ねて完成させました。
“つなぐ”通信事業者へ
事業ビジョン2010のポイントは。
和才
先ほど原点に戻るという話をしましたが、その視点で“つなぐ”という言葉を共通のコンセプトに置きました。
「現在と未来をつなぐ」「ユーザー同士のビジネスをつなぐ」「社員1人ひとりの仕事をつなぐ」というビジョンから、「万一回線が切れてもすぐつなぐ」という具体的な目標まで、さまざまな意味を込めています。
つまり、われわれは“つなぐ”あるいは“つなぎ続ける”ということにこだわるパートナーでありたいというのが原点なのです。それをもう一度きちんと共通認識したうえで「ソリューション」「ネットワークマネジメント」「セキュリティ」「グローバル」「ユビキタス」「ポータル/エンジン」という6つのコアバリューに磨きをかけ、顧客満足度の高いサービスを提供していきます。
グローバル展開という意味ではやはり、英語表記も考えているのですか。
和才
実は「Bridge」にしました。当初は「Connect」や「Link」も考えていましたが、物理的過ぎて今一つという印象でした。Bridgeは英国の現地法人の社員が提案したもので「橋を架ける」「橋渡しをする」という動詞でもあります。これがわれわれの掲げる“つなぐ”を一番端的に表している言葉だと思います。
「法人営業」と「ネットビジネス」が今後の事業の柱ですが、ともに厳しい競争環境の中にあります。
和才
事業ビジョン2010の中で、法人サービスでは「ICT Solution Partner」という言葉をブランドイメージとして掲げました。
目まぐるしく変化する市場環境の中で、通信サービスも複雑化・多様化し、ユーザーは自社のネットワークをどうすれば良いのかが分からなくなっています。私が社長就任時に挨拶回りをした時にも「是非ともNTTコムに相談に乗ってほしい」という声を多くいただきました。そういう市況下で、従来のように「IP-VPNを導入しませんか」という営業では話になりません。
われわれはユーザー企業の業態や業容、経営課題を認識したうえで、ソリューションをコンサルティング的に提案できるようにしていかなければならないのです。そういう意味でICT Solution Partnerというメッセージを出しました。
ISPのプラットフォームを共通化
もう一方のネットビジネスでは、グループの事業を集約しました。
和才
ISP事業は、インターネットユーザー数が爆発的に伸びている時には多様性も必要なので1社にこだわる必要はありませんでした。今、FTTHへの乗り換え等ブロードバンド化は進んでいますが、インターネットユーザー全体の上昇曲線は鈍ってきています。ISPはそれぞれ、認証や課金の仕組み等のプラットフォームを自前で作っていますが、ユーザー数が増えるにつれ拡張コストがかかります。
インターネットの良いところは、プラットフォームを共用したうえで、「OCN」はOCNのアカウントで、「ぷらら」はぷららのアカウントでサービスできる点です。したがって、効率化できる部分はやろうという考え方です。
現在はNTTレゾナントとぷららネットワークスを御社の子会社として集約していますが、ゆくゆくはNTTコムの中に吸収するのですか。
和才
まったくの白紙です。これは考え方の1つとして聞いてほしいのですが、ネットビジネスで大切なことは「スピード」と「新しい発想」です。それらを上手く発揮できる体制が理想だと思っています。
ネットビジネスでは「“CreativE-Life”for Everyone」というブランドイメージを掲げました。今後、特にどの点に注力しますか。
和才
検索エンジンとしての「goo」のブラッシュアップです。実は、gooはNTTドコモの公式サイト側の検索を手掛けています。ご存知のようにauがGoogleと組み、ソフトバンクモバイルにはYahoo! JAPANがあります。これは、PCと携帯電話が1つのIDで結びついたことを意味します。つまり、検索の世界ではFMCのようなサービスがすでに始まっているのです。
そこで差別化を図るには、個人が望む情報に特化した検索結果を返すようにしなければなりません。PCのように20ページもの検索結果が返るようでは、意味がないのです。幸い、gooの日本語検索能力は非常に優れていますので、そこをさらに強化することで実現性が高くなると思います。
NGNにはサービスとアプリで協力
法人営業とネットビジネスのシナジーを発揮させると謳っていますが、具体的なイメージを聞かせて下さい。
和才
ブログやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が登場したのが今のWeb 2.0時代だと思います。インターネットが双方向コミュニケーションの場に変わり、そこではあらゆる商品やサービスについて議論されています。つまり、企業にとっても無視できない重要なマーケティングリサーチの場になっているのです。
ですから、例えばわれわれがそういう場を提供して法人ユーザーと消費者の仲立ちをする「BtoBtoC」ビジネスを展開する。これが一番分かりやすい例だと思います。
FMCといえば、グループの中でNTTドコモが「ビジネスmoperaIPセントレックス」の提供を開始し「固定事業への進出か」と言われています。御社もNTTドコモの携帯電話を活用したFMCサービスをインテグレートして展開していますので、競合する部分もあるのではないでしょうか。
和才
われわれと法人ユーザーとの間には、長年にわたって築き上げてきた信頼関係があります。その部分はある種協業というか、ユーザー単位でビジネスを展開していこうということで、十分確認はできています。
12月20日にNTTグループのNGN(次世代ネットワーク)フィールドトライアルが始まりました。NTTコムはどのようなスタンスで関わっていきますか。
和才
すでにNGNの構築に関しても人的協力はしていますが、基本的にはNGNを使ったサービス、アプリケーション側でできる限り協力します。まずはハイビジョンの映像配信サービスで参加していますが、今後は地上デジタル放送のIP再送信を予定しています。さらに、気象庁が実施している地震速報のようなサービスをNGNできちんと伝えられるかどうかも試したいと考えています。
(聞き手・土谷宜弘)