●NTT持ち株の副社長から、今年6月にドコモの副社長・法人営業本部長に就任されて4カ月余りが経ちました。感想をお聞かせください。
山田 持ち株の前はNTT西日本でソリューション営業本部長を務めるなど、これまで固定系が長かったのですが、移動体は固定と比べて技術やマーケットの動向が3倍ぐらい早く推移しています。端末も1年間に数回、新製品が発表されます。このスピード感はきちんとフォローしていくつもりです。
携帯電話は24時間持ち歩ける点が、固定電話との大きな違いです。情報をやり取りしたり、街を歩いているときにレコメンド情報を流すといった用途に最も適しています。また、災害時の通信手段など「安心・安全」のためにも役立ちます。中越地震では、被害の大きかった新潟で「ドコモはよくやってくれた」と評価されました。
このようにお客様の利便性を確保するために、いろいろなことが考えられます。お客様に提供できるサービスの可能性は非常に多いのではないでしょうか。競争の厳しい分野ですが、やりがいがあると思います。
割賦販売方式に踏み切る
●ドコモは昨年10月の番号ポータビリティ(MNP)以降、苦戦が続いています。ここにきて新販売方式や「905i」シリーズが好評で、ようやく反撃に出た印象を受けます。
山田 905iシリーズは発表段階ですが、「なかなかよくできている」と好評です。3Gに加えてGSMにも対応しているので世界中ほとんどどこでも使えますし、HSDPAによるダウンロードやGPS、ワンセグなどいろいろな機能をフル搭載しています。905iの発売で、ようやく「ドコモ2.0」が完成した感があります。
905iの発売に合わせて、新販売方式を開始します。「バリューコース」では割賦での端末購入ができるので、従来の購入方法と比べて、905iのような上位機種でも手頃に購入していただけます。初期投資は少なくて、毎月の利用料金も安く、1年半〜2年以上お使いいただくとお得です。ドコモとしては大きく舵を切ったわけで、この新販売方式に賭けています。
●ドコモは料金が高いというイメージが強く、それを払拭する狙いがあるのですか。
山田 エリアと料金がドコモにとっての課題でした。エリアはかなりの数の基地局を打ったので、改善しています。都内ではそれほど違いはないかもしれませんが、地方ではつながり具合に差が出ます。
通信料金に関しては高いというイメージがありますが、料金体系はauとほぼ同じです。使っていただけば、実は高くないことがわかります。ただ、端末の店頭価格が高いので、お客様が他社に流れていく傾向にありました。新販売方式を導入し、舵を切ったことで全社一丸となり、法人市場を含めて新たな状況を作り出していきたいと考えています。
●法人はモバイル市場全体の10%に当たる約1000万ですが、一説にはまだ2000万の需要があるともいわれます。法人営業本部長として、現在の法人市場をどのように見ていますか。
山田 ビジネスユースに個人名義の携帯電話を使っている人はまだ数多くいます。それを法人名義に変えていく方向にありますから、法人のシェアはまだまだ伸びると見ています。
社員に携帯電話を貸与する企業が求めるのは、通話ができることだけではありません。業務の効率化や売上の拡大を図るツールとしても期待されています。加えて、金融機関を中心にセキュリティ意識が高まっており、そうしたソリューションも重要になっています。
今では、どの企業もICT基盤を持っているわけですが、4〜5年に1回、更改の時期を迎えます。その際、大企業を中心に、携帯だけでなく固定も含めたトータルな提案を求められるケースが増えています。携帯電話はこれまで個人所有で通話さえできればよかったのですが、特に大企業では、固定系も含めたトータルソリューションの時代に入っています。
(聞き手・土谷宜弘)
続きは本誌をご覧下さい