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Interviewインタビュー

2018年6月号

キャリア事業を構造改革
2つの軸で価値の面積拡大へ

河村 厚男 氏

河村 厚男 氏
(かわむら・あつお)
1986年、NEC入社。2012年、通信キャリア全般のネットワークサービスやソリューション提供を担う第一キャリアサービス事業部長に就任。2014年、執行役員に就任、SDN/NFVによる事業推進を統括。2017年、執行役員常務に就任、テレコムキャリアビジネスユニット長として通信キャリア向けビジネス全体をリード。2018年、組織再編に伴い、通信キャリアに加えて、サービスプロバイダーや製造業、流通・サービス業、自治体などの市場にネットワークサービスを提供していく「ネットワークサービスビジネスユニット」のビジネスユニット長として事業を統括する

NEC 執行役員常務
ネットワークサービスビジネスユニット担当
河村 厚男 氏

5G時代への突入を前に、NECは通信事業者向けビジネスを担ってきた「テレコムキャリアビジネスユニット」の構造改革に踏み切った。「ネットワークサービスビジネスユニット」に改称し、エンタープライズなどにも顧客セグメントを広げるというが、一体どんな成長戦略を描いているのか。舵を取る河村厚男常務に聞いた。

今年1月に発表した「2020中期経営戦略」で、テレコムキャリア事業の構造改革を打ち出し、4月1日付で「テレコムキャリアビジネスユニット(BU)」を「ネットワークサービスBU」に改称する組織変更を実施しました。どんな狙いがあるのですか。

河村 デジタルトランスフォーメーションにより、様々なビジネスがネットワークを介して行われるようになるなか、我々の“つなぐ”というアセットを、もっといろいろなところで活用できると考えています。
 NECは元々、お客様のドメインごとにBUを分けていました。テレコムキャリアBUはキャリア向けのBUだったわけですが、「我々のアセットをエンタープライズやパブリックなど向けのビジネスでも共有したい」ということで、こういう形にしました。

これまで培ったネットワークに関する強みを、キャリア以外の企業や官公庁にも提供し、成長を図ろうという戦略ですね。一方、既存のキャリア向け事業はどう変わりますか。

河村 テレコムの世界も変革が進んでいます。これに貢献するため、従来のネットワークインフラ領域にもしっかり対応しながら、ソフトウェア・サービス領域に重点をシフトさせ、共創を通じて同領域でのビジネスを拡大していきます。
 整理しますと、顧客セグメントを“横”に広げ、我々の“つなぐ”という価値をエンタープライズやパブリックにも提供していこうというのが1点目の狙い。ネットワーク機器中心だったキャリア向け事業に関しては、その上のソフトウェア・サービス領域という“縦”方向に我々の価値を広げていこうというのが2点目の狙いです。
 この2軸で事業拡大を図ることで、ネットワークサービスBUの“価値の面積”を広げていきたいと考えています。

IoTの世界で生きる知見

では、2つの軸それぞれについて、詳しく教えてください。まず、エンタープライズやパブリック向けには、どんな価値を提供していこうと考えているのですか。

河村 今、エンタープライズやパブリックのお客様は、“つなぐ”ということに関して、自分たちのニーズをあまり実現できていないのではないでしょうか。もっと言うと、現状提供されている通信サービスを受け入れる形になっているのではないかと思っています。
 しかし今後、IoTの世の中になっていくと、いろいろなつなぎ方が必要になってきます。例えば、「1時間に1回センサーの情報を吸い上げればいい」だったり、「大容量のビデオをリアルタイムに流したい」、「コネクテッドカーのデータ通信にかかる時間を短縮したい」などです。
 また、それらのサービスを利用するまでの時間を短縮したい、スケールアップなどサービス利用の変化に柔軟に対応したいなどのニーズもあると思っています。
 こうした様々なニーズに応じた通信を提供することで、新しい価値を実現していきたいと考えています。

NECは、これまでもエンタープライズなど向けにネットワーク事業を行ってきました。ネットワークサービスBUが提供できる新しい価値とは具体的には何なのでしょうか。

河村 IoTの世界は、5GやLPWAなどの無線が中心になります。そこで我々ネットワークサービスBUの知見が期待されているのです。エンタープライズのお客様には、エンタープライズBUを通して、我々のアセットをお届けする形になります。

ネットワークサービスBUのアセットを、NEC全社に提供していくわけですね。そのアセットの中身について、もっと詳しく知りたいのですが。

河村 モノというよりはスキルです。多様化する“つなぐ”というニーズに対して、きめ細かに価値を提供していきます。まずは、建設、交通、警備などの業種向けに力を入れたいと考えています。

建設といえばNECは、大林組、KDDIと5Gを活用した建機の遠隔操作の実証実験を実施しています。また、警備に関しても、ALSOK、NTTドコモと5Gのトライアルを行っています。こうした取り組みが、ネットワークサービスBUのエンタープライズ、パブリック向け事業のモデルケースと考えてよろしいですか。

河村 そうですね。ただ、キャリアとの連携は、枠組みの1つです。いろいろな枠組みが出てくると思います。

NEC単独、あるいは様々なパートナーと組みながら、企業や官公庁のデジタルトランスフォーメーションの基盤となるネットワーク構築を支援していくということですか。

(聞き手・太田智晴)
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