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Interviewインタビュー

2022年1月号

フォーティネットとDNA近い
海外へ打って出て売上2倍、3倍

保坂岳深 氏

保坂岳深 氏
(ほさか・たけみ)
1980年3月横浜国立大学工学部電気工学科卒業、同年4月NEC入社。キャリア・プロバイダー事業部長、エネルギーソリューション事業部長、企業ネットワークソリューション事業本部長などを歴任し、2010年4月執行役員、2014年4月NECインフロンティア取締役常務、6月代表取締役 執行役員社長、7月NECプラットフォームズ代表取締役 執行役員社長。2020年6月にNECプラットフォームズ顧問を退任し、2020年7月アラクサラネットワークス 執行役員常務、2021年9月に代表取締役社長兼CEOに就任

アラクサラネットワークス
代表取締役社長兼CEO
保坂岳深 氏

日立製作所とNECの合弁によって2004年に設立されたアラクサラネットワークスが2021年9月、米フォーティネットグループ入りした。「新しいモノを作れるという喜び、海外にも打って出られるという喜びで、社員みんなが前向きな気持ちになっている」こう語る保坂岳深社長に、今後の成長戦略を聞いた。

9月1日、アラクサラネットワークスの60%の株式を実質的に保有していた日本産業パートナーズが、米フォーティネットに株式を譲渡したと発表され、同日付で保坂さんが社長に就任しました。どういった背景・理由からフォーティネットグループ入りが決まったのですか。

保坂 前の大株主は投資ファンドですから、企業価値を高めた上で株式を手放すという話は元々あったわけです。そうしたなかフォーティネットが手を挙げたのは、アラクサラのネットワーク技術に興味があったからだと思っています。
 フォーティネットは「Security-driven Networking」というコンセプトを掲げています。ただし、セキュリティには大変強くても、ネットワークの部分に関して、それほど多くの技術者がいるわけではないと聞いています。発表から数日後、社員を集めてタウンホールミーティングを開きましたが、そのときフォーティネットの経営層からも「ネットワークの部分を強化していきたいんだ」というコメントを頂きました。

フォーティネットは、無線LAN APからスイッチ、SD-WANなどまで、今では総合ネットワークベンダーに近いラインナップを揃えています。とはいえ、まだセキュリティアプライアンスのビジネスが中心ですし、また中小企業向けからスタートしましたから、大企業向けのビジネスについても強化すべき点は残っているように見えます。

保坂 一方、アラクサラは通信事業者やラージエンタープライズのお客様を数多く持っており、そうしたお客様のニーズに適合したスイッチ/ルーターをラインナップしています。
 技術的な部分とビジネス的な部分の両面でアラクサラに興味を持っていたと認識しています。

アラクサラは2004年に日立製作所とNECの合弁会社として設立され、当時の持ち分比率は日立が60%、NECは40%でした。日立はその後2018年に日本産業パートナーズへ株式を譲渡したわけですが、NECは現在も40%の株式を持っているのですか。

保坂 9月時点でNECの持ち分の一部もフォーティネットへ譲渡されており、今はフォーティネット75%、NEC25%という株主構成です。

アラクサラのミッションは2つ

今後の戦略をお聞きする前に、アラクサラの最近のビジネス状況について教えていただけますか。

保坂 ファンドが株主になった2018年以降、2020年までは売上が少し落ちていましたが、今期は盛り返している状況です。ファンドが重視するのは利益ですから、「売上があまり伸びなくても利益をしっかり出せばいい」という方針だったわけです。2018〜2020年度はずっと増益で推移しています。
 この間、売上が少し落ちていたのは、通信事業者向け機器出荷の端境期となっていたことが要因です。「これではまずい」とみんなが危機感を持ち、エンタープライズ事業の伸びで相殺してきました。超大手製造業に採用されるなどミッションクリティカル系の民需が堅調です。
 通信事業者向けについても、新しい製品の出荷が始まり、今期からは持ち直しています。

フォーティネットグループ入りによって、さらにどんな成長戦略を描いていますか。11月1日に発表したフォーティネットとの合弁事業開始のニュースリリースでは、「アラクサラのLANスイッチとフォーティネットのセキュリティ製品の緊密な連携で革新を起こす」と意気込みました。

保坂 私からフォーティネットに対しては、「アラクサラのミッションは2つある」と話しています。
 1つは、フォーティネットと連携し、日本国内のビジネスをさらに強化・拡大していくことです。
 もう1つは、アラクサラの持つ技術を活かし、フォーティネットグループの事業拡大に資する製品を実現し、グローバルに提供していくことです。

クロスセルの取り組み開始

国内ビジネスの強化から詳しく聞かせてください。

保坂 まさに今、クロスセルの活動に取り組み始めているところです。
 もちろん急にアラクサラの営業部隊がフォーティネットのセキュリティ製品、フォーティネットジャパンの営業部隊がスイッチ/ルーターを売るというのはハードルが高いです。最初は互いのお客様を紹介するところからスタートし、だんだんと案件を共有していきたいと考えています。将来的にシステムを統合するかは別にして、そのための情報共有の仕組み作りが始まっています。
 両社ともビジネスパートナーによる間接販売が主体で、その調整も必要ですが、幸いなことに多くのビジネスパートナーは重なっています。
 また、お客様からすると、従来はフォーティネットとアラクサラと別々に話をする必要がありましたが、「今後は一本化される」という期待感もあると考えています。
 当面は営業部隊を統合するわけではないのでそれぞれに数字を追いかけますが、お客様からもビジネスパートナーからも「良くなった」と言われる形を作っていきます。

まずは日本で成功事例

フォーティネットブランドへの統合計画はあるのですか。

(聞き手・太田智晴)
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