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2002年7月号(B-brainコーナー)

ブロードバンド・エクスチェンジ 代表取締役社長:大山 茂 氏
40Gbpsで企業間を相互接続
ブロードバンド流通網の整備図る

ブロードバンド時代のコンテンツ流通に不可欠なミドルマイルのネットワーク整備を事業の柱とするブロードバンド・エクスチェンジ(BBX)は、4月1日からインターネット総合研究所(IRI)所長の藤原洋氏が会長職に就任し、NTTグループ出身の大山茂氏を常駐の新社長に迎え新たなスタートを切った。大山氏はこれまで常に最先端のネットワーク技術開発に取り組み、日本の通信インフラ、インターネット網の発展に身を投じてきた。BBXが通信ビジネスに果たす役割を聞いた。

Profile

大山 茂(おおやま・しげる)
1972年3月慶應義塾大学大学院工学研究科電子工学専攻修士課程修了。同年4月日本電信電話公社入社。85年9月NTTPCコミュニケーションズ技術部長。87年10月NTTアメリカ事業企画担当副社長。90年7月日本電信電話パケット通信事業本部企画部長。95年5月NTTアメリカ事業企画担当上席副社長。97年7月NTT国際通信取締役ネットワーク企画部長。2000年4月NTTコミュニケーションズ理事Eプラットフォームサービス部長。02年4月ブロードバンド・エクスチェンジ代表取締役社長就任、現在にいたる。47年生まれ。東京都出身

――2002年3月までNTTコミュニケーションズ理事Eプラットフォームサービス部長を務めていましたが、BBX社長に就任するにいたった経緯を教えて下さい。

大山 2001年8月に藤原前社長から電話をいただいたのがきっかけです。「是非やらせてください」とすぐに返事をしました。ちょうどそのころ、Yahoo! BBの登場をきっかけにブロードバンド環境を整備しようという気運が市場では高まっており、私自身もこのままいけばインターネット網が破綻するのではないか、という問題意識を抱えていました。ですから、BBXでインターネット網のブロードバンド対応を進めるという仕事はまさに渡りに船でした。

――ご自身はいつごろからインターネットのネットワーク開発に携わってきたのですか。

大山 私が1985年にNTTPCコミュニケーションズを立ち上げた時は、日本ではまだインターネットは普及しておらず、パソコン通信がこれからという時代でした。パソコンは「家庭の情報の蛇口」と呼ばれていましたが、ネットワークは2.4kbps、テキストデータのやりとりが精一杯という通信環境でした。パソコンの値段も高く、CDやDVDもない時代で、もっぱらFDを使って情報のやりとりをしていたことを覚えています。
 当時から、私自身の気持ちの中では今あるようなインターネットの世界を思い描いていました。しかし、実際に日本でインターネットが普及し始めたのが92年、NTTPCコミュニケーションズが商用のインターネット接続サービス「InfoSphere(インフォスフィア)」を開始したのが95年1月だったという歴史を振り返ると、85年という時代は本格的な情報通信ネットワークを生み出すには時期尚早だったかもしれませんね。

――ブロードバンド時代におけるインターネットをどのようにイメージしていますか。

大山 アプリケーションによると思います。今日、ユーザーの多くが使用しているアプリケーションなら今の通信速度でも十分楽しめるでしょう。
 アプリケーションが今後大きく変化するとすれば、それは “家庭の情報の蛇口”がパソコンからテレビやビデオ、STBなどに移った時でしょう。インターネットは、技術者やパソコンのヘビーユーザーたちが市場の発展を支えてきた経緯があります。ネットワークの先にある端末がノンPC端末へとシフトした時、市場はこれまでとまったく別の世界へ拡大していくはずです。
 しかし、NTT時代にインターネットビジネスに携わった経験からいえることですが、いつどこで市場がブレイクするかは外部要件によるところが大きく予測は大変難しい。これはブロードバンド時代のインターネットビジネスについても同様で、いつどこで何がブレイクするかに対する読みというのは正直なところ鮮明ではありません。ただ、これから2〜3年以内にブロードバンド対応のネットワーク部分に対するニーズが爆発的に高まることは間違いないと確信しており、その時に備えて今から準備していく考えです。

メーンターゲットはCATV事業者

――実際にBBXが手がける具体的なサービス内容について解説していただけますか。

大山 大きく3つのサービスがあります。
 ブロードバンドプレーヤーをつなぐ「ブロードバンド・エクスチェンジ(BEX)」サービスと、円滑なコンテンツ流通を実現する「コンテンツ・エクスチェンジ(CX)」サービス、それに顧客企業のブロードバンド化を支援する「ソリューション・エクスチェンジ(SX)」サービスです。
 BEXは、コンテンツプロバイダー(CP)やISP、ASP、iDCといったコンテンツを提供する側の企業と、ADSL事業者やCATV事業者、CDN事業者といったアクセス周りの企業に対して、東京都23区に構築した40GbpsのMAN(Metropolitan Area Network)を提供するサービスです。IPレイヤでBEXに接続した企業は、ピアリング交渉なしに相互接続することができるようになります。例えば、BEXにつながれたISPとCATVインターネットのエンドユーザー宅の間が、ルーター2つを介したわずか2ホップで、しかも40Gbpsのパスで直結されることになります。
 CXは、コンテンツをネットワークで配信できるようなデジタルデータに加工したり、加工したコンテンツをISPやアクセス事業者などに最適なルートで配送したり、あるいはエンドユーザーの視聴・消費動向を分析しフィードバックするサービスです。
 SXは、ブロードバンドサービスの提供に必要となるシステム構築に関するノウハウを提供するコンサルティングサービスです。

――2月7日に、BBXの親会社であるNECと松下電器産業は、ISP事業(BIGLOBEとhi-ho)でそれぞれBEXサービスを利用すると発表しました。現在、他の企業のBEXへの接続はどの程度進展してきているのですか。

大山 BIGLOBE、hi-ho以外のISPについて具体的な数を申し上げることはできませんが、市場の反応はISPのようなコンテンツ提供者側よりも、むしろアクセス周りのCATV事業者からのニーズが先行しているというのが現状です。
 CATV事業者との契約が先行している理由は、CATV事業者にとってBEXサービスが非常に安価な上位接続サービスとなるからです。通常、CATV事業者はISPと契約してフルルートでネットワークを購入しています。しかし、BEXサービスはルート単位でネットワークを提供するものではなく、IX(Internet Exchange)サービスです。BEXに接続したCATV事業者は、BEXと接続しているISPとはすべて2ホップでつながるようになります。これによりCATV事業者は、BEXを介して接続できるISPについては、その分のネットワークを購入する必要がなくなるわけです。
 ただ、BEXサービスを利用することでルートが複数に分岐され、CATV事業者にもAS(Autonomous System)番号を用いたルーティングのオペレーションが発生してきます。しかし、そうした業務はわれわれがお手伝いできるし、CATV事業者にとっては何より、ネットワークコストを削減できるメリットが受けているようです。

――では上位のISPの反応はいかがですか。

大山 ISP側からみると、BEXは上位接続サービスという位置付けのものではありません。ISP事業の採算性そのものが問われ始めている昨今の経営事情もマイナスに影響しているほか、大容量コンテンツを2ホップで配信できるといっても、有料コンテンツビジネスが未だ定着していない現状もあり、そう簡単にはいかないと思っています。
 ただ、これからはラストワンマイルのアクセスサービスから中継系のネットワーク構築、コンテンツ配信サービスまですべてを1社でまかなう垂直統合型のビジネスモデルは成り立たないでしょう。ですから、弊社は将来的には水平協調型の事業へ発展させていきたいと考えています。

コンテンツ宅急便を開始

――CX事業の成果はいかがですか。

大山 実は、今のインターネットビジネスで一番儲かるのはコンテンツ配信ではなく、その前段階であるコンテンツ加工ではないかと考えています。過去のアナログコンテンツをデジタル化しようという動きに加え、これから製作されるコンテンツは、インターネットで配信できるようにデジタル加工が施されていくことになるからです。
 また、コンテンツの配送にも力を入れていくつもりです。デジタルデータの配送がどのようにビジネスになるのか想像しにくいかもしれませんが、そういう方にはヤマト運輸の宅急便サービスをイメージしていただくようにしています。“クロネコヤマト”は自ら商品を取り扱っているわけではありません。それはわれわれも同じで、パートナー企業と組みデジタルコンテンツの宅急便のようなものを今夏に打ち出したいと準備を進めています。

――3つめの柱であるSXはどうですか。

大山 要望があればいつでも請け負います。ISPがDSLサービスに対応したいとか、CATV事業者がインターネット接続サービスに対応したいとか、“ブロードバンド化”という企業の要求に応えるのがSXですから。ある程度実績が積み重なってきたところで、サービスをパッケージ商品として売り出すことも考えています。

――各サービスの営業戦略はどのように立てていますか。

大山 まずはBEXサービスを優先していこうと考えています。全社員の約半数が営業部隊ですが、そのうちの約半分がBEXサービスを担当しています。4月中旬には、CATV事業者やISPを対象に「BBXオープンセミナー」と題した企業向け説明会を開催し、すでにBEXサービスをご利用いただいているケーブルネット埼玉にプレゼンテーションしていただきました。反応は上々で、3社が同日にBEXサービスを契約して下さいました。
 また、私の社長就任と併せて取締役でも人事があったのですが、国内外の最先端インターネット企業で新規事業開発などを手がけてきた及川満広氏が取締役に就任し、BEXサービスを専属でみていく体制を整えました。藤原会長を除く秋葉取締役、須之内取締役と全員が常任となった新体制で、2002年度はより本格的な営業攻勢をしかけていきます。

――BBXが日本のインターネット市場に果たす役割をどうお考えですか。

大山 社長就任直後、BBXが果たすべき役割を社員たちに話しました。まず、ブロードバンド分野におけるイノベーターであるということ、それと企業に対して新しいビジネスモデルを提案していくということです。われわれがエンドユーザーと直接契約することはありませんが、3つのサービスを軸にエンドユーザーには新しいライフスタイルを実感していただきたいと思います。

――事業が軌道に乗るタイミングはいつごろになると予想していますか。

大山 2004年度には単年度黒字を達成できるだろうとみています。電電公社時代には、垂直統合とか水平協調といった議論もなく、物理的に必要であれば「それならば作ろう」という計画経済の発想でネットワークは整備されてきました。しかし、今はそうはいきません。自分の立場も企業としての立場も保全しながら、パートナーを迎え、インターネット網のアーキテクチャを自然の歩調で変えていくという手品みたいなことを成し遂げなければなりません。課題も多いですが、そう遠くない未来に、当社の事業に対する市場の要求が高まるであろうことは間違いないと信じています。

(聞き手・田中大介)

用語解説

●BBXが提供する3つのサービス
(1)ブロードバンド・エクスチェンジ(BEX)
首都圏に構築したWDMファイバーリング(40Gbps)のMAN(Metropolitan Area Network)に、コンテンツプロバイダー(CP)やISP、ASP、iDC、ADSL事業者やCATV事業者、CDN事業者などをIPレイヤで接続する。BEXに接続した事業者は、ピアリング交渉なしで相互接続が可能となる。
提供エリア:東京都23区
収容局:大手町、赤坂、豊洲、池袋、品川、新宿
月額利用料金:
<1Gbps>
収容局接続:170万円
加入者接続(収容局からファイバー長5km以内):200万円
<100Mbps>
収容局接続:65万円
加入者接続(収容局からファイバー長5km以内):75万円
(2)コンテンツ・エクスチェンジ(CX)
1)コンテンツ加工サービス
ネットワーク上でコンテンツを利用できるようコンテンツデータを変換・保管する。DRM(デジタル著作権管理)や電子透かしの埋め込みなどを行う
2)コンテンツ交換サービス
コンテンツをISPやアクセスライン事業者などに最適ルートで配送する機能を提供する。エンドユーザーの視聴・消費動向を分析しフィードバックする
3)コンテンツソリューションサービス
CXの各機能を、必要に応じてOEMやASPサービスとして提供する
(3)ソリューション・エクスチェンジ(SX)
ブロードバンドサービスを提供する際のシステム構築に関するノウハウを提供する

●BBXに出資する企業
インターネット技術に関するコンサルティング事業やネットワーク構築事業を手がけるインターネット総合研究所(IRI)、ISP事業を手がけるNEC(BIGLOBE)と松下電器産業(hi-ho)、東京電力、NTTデータ、住友商事が出資している。NECと松下電器産業は、2002年2月7日からBIGLOBEとhi-hoでBEXを利用している
 

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