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2002年8月号(B-brainコーナー)

NECソリューションズ ITソリューションマーケティング事業本部長:山崎 幸雄 氏
4本柱でベストソリューションを提供
ユーザー企業の構造改革を促す

NECが2002年4月に発表した「iBestSolutionsV2」は、ミッションクリティカル、ブロードバンド&モバイルをキーワードに、インターネットを軸とした同社のソリューションビジネスに対する取り組み姿勢を、具体的かつ体系的に示したものだ。
その実行部隊となるNECソリューションズのITソリューションマーケティング事業本部、山崎幸雄事業本部長に、iBestSolutionsV2の狙いと今後の営業戦略について聞いた。

Profile

山崎 幸雄(やまざき・ゆきお)
1968年3月大阪府立大学工学部経営工学科卒業。同年4月NEC入社。OSやミドルウエアなどソフトウエアの企画・開発を10年あまり担当。その後、グループウエアやCRMなどのパッケージソフトウエア、ソリューションの企画・開発・販売戦略に従事。1994年汎用アプリケーション事業部長(その後フロントオフィス事業部に改称)。2000年4月マーケティング本部長。2001年4月ITソリューションマーケティング事業本部長に就任。富山県出身

――御社が打ち出した「iBestSolutionsV2(アイベストソリューションズV2)」の意味と狙いについて解説していただけますか。

山崎 iBestSolutionsを掲げるきっかけは、1999年7月17日の当社創立記念日に遡ります。この時、西垣社長が「Invitation to the Internet(インターネットへのご招待)」というコーポレート・メッセージを発信したのですが、これを受けて、同年11月にインターネットビジネスを加速するためのソリューションを集大成し、新たなソリューション体系として打ち出したのが、iBestSolutionsだったのです。
 iBestSolutionsで掲げたソリューション体系は、3つの柱によって支えられています。1つめは、各種の業種・業務に特化したソリューションのほか、すべての業種・業務に共通したソリューションを大企業向けに提供する「iBestSolutions.Enterprise(ドット・エンタープライズ)」。2つめは、中小企業・SOHO向けASPサービスに加えて、ハードウエア、ソフトウエアのシステム管理代行サービスやインターネット接続サービスなどを提供する「iBestSolutions.Suite(ドット・スイート)」。3つめは、これらの共通基盤となるサーバーやミドルウェアなどの製品群を提供する「iBestSolutions.Platform(ドット・プラットホーム)」です。
 そして、これら3つの柱に、これまで独立に実現し提供してきたサポートサービスやASPサービス、BIGLOBEをベースとしたアウトソーシングサービスを「iBestSolutions.Service(ドット・サービス)」として4つめの柱に立て、さらに、オープンミッションクリティカルやブロードバンド&モバイルへの対応を鮮明にしたのがiBestSolutionsV2だったのです。
 現在、iBestSolutionsV2では、電子政府、医療、通信、メディア、製造、建設、食品、流通などといった業種別ソリューション(22種類)と共通ソリューション(10種類)と合わせて、200種を超える商品メニューを用意しています。

――iBestSolutions.Serviceを加えた狙いは何ですか。

山崎 インターネットを意識したシステムは、今や当然のものとなりつつあります。当社のお客様企業に限らず、お客様の取引先企業やそのユーザー企業、さらにその先の取引先企業にまでインターネットが普及し、お互いが24時間365日、インターネットで結ばれるようになってきました。当社ではこうした動きを、コラボレーション型システムの登場として捉えています。ここでは、“いつでも、どこでも、誰とでも”がシステムの基本となっています。
 コラボレーション型システムの狙いは、企業にとってのスピード経営であり、収益向上であり、競争優位にあると思っています。その意味で、iBestSolutionsに組み込まれるソリューションは、オープンかつミッションクリティカルであることが重要と考えるようになりました。ミッションクリティカルなシステムの実現は、設計段階での配慮は当然としても、その運用・保守サービスが鍵となります。そこで、サービス体系を浮き彫りにしたiBestSolutions.ServiceをiBestSolutionsV2に加えたのです。iBestSolutions.Serviceは、すべてのソリューションに共通するサービスです。当社はこれをもって、お客様企業の構造改革に貢献していきたいと考えています。

事業ラインを6つに分類

――iBestSolutionV2の実行部隊となるNECソリューションズの組織体系はどのようになっていますか。

山崎 現在、NECソリューションズの中は大きく分けて、営業事業ライン、システム事業ライン、ソフトウェア事業ライン、コンピュータ事業ライン、パーソナル事業ライン、そしてネットワーク・サービス事業ライン――の6つの事業ラインで構成されています。
 それぞれの役割ですが、営業事業ラインは企業向けにソリューションを販売します。システム事業ラインは営業部隊と一緒になってお客様に提案したシステムを構築し、そこで使うソリューション(iBestSolutions.Enterprise/Suites)を開発・整備します。ソフトウェア事業ラインはソフトウエア製品・部品を供給し、コンピュータ事業ラインとパーソナル事業ラインはプラットホームとその構成機器を企画・開発・調達しシステムに提供します。また、ネットワーク・サービス事業ラインはインターネットを使ったサービス商品を営業事業ラインを通じてお客様に提供します。
 このように、NECソリューションズの事業ラインの構成はiBestSolutionsV2の体系と密接な関係にあり、ソリューションの強化推進を支える枠組みとなっています。このことからも、カンパニーをあげてiBestSolutionV2に取り組んでいることをご理解いただけるのではないかと思います。

――昨年度との違いはあるのでしょうか。

山崎 規模が拡大したのに加え、システム構築におけるソフトウェアの重要性が増したことからソフトウェア事業ラインを新設しました。同ラインは、OS、下位のミドルウエアを開発していたコンピュータソフトウェア事業本部と、上位のミドルウエア、システムアプリケーションを開発していたシステムソフトウェア事業本部とが統合されて誕生したものです。プラットホームに左右されない、iBestSolutions.Platformのソフトウエア商品群を支えています。

――ITソリューションマーケティング事業本部が果たす役割について教えて下さい。

山崎 ITソリューションマーケティング事業本部は、営業事業ラインに所属しています。ソリューションや製品を提供する各事業ラインと営業事業ラインを結び付ける役割のほか、新規市場開拓を目的とするITに特化した専門の営業機能を持っています。
 事業本部は6つの事業部・本部で構成されています。NECソリューションズ全体のマーケティングを担当するマーケティング本部、SIに必要な部材を効率的に調達するマルチベンダSI推進本部、サポートと保守を担当するサポートサービス推進本部の3本部が、iBestSolutionsV2のメニュー整備の一端を担っています。ITプロダクト事業部、ネットワークシステム事業部、パッケージソリューション推進本部は、それぞれの専門領域のソリューションや製品の拡販責任を負っており、新規市場開拓と合わせて、営業事業ライン各事業部の営業支援を担当しています。このように、マーケティングと営業の両方の機能を併せ持つことで、新市場の開拓に力を発揮しようというわけです。

2002年度はモバイルにも注力

――ソリューションビジネスの体系や会社体制をiBestSolutionsからV2へと変革してきた中で、どのような成果があがってきていますか。

山崎 新規領域として打ち出した「BroadBand&Mobile」での成果が特筆できます。最近の事例では、2002年6月に発表した日本テレビの大規模デジタル・ライブラリ・システムの受注があります。これは、当社の大規模システム構築のSI力が評価された結果と受けとめています。同システムは一言でいうと、日本テレビが放映してきた過去のコンテンツとこれからのコンテンツを、すべてデジタル化してデータベースに保存し、瞬時に検索できるようにするものです。コンテンツのデジタル化を待って、2003年8月に稼働する予定です。
 BroadBand&Mobile領域では、デジタルコンテンツのハンドリングをはじめ、さまざまな技術を有する専門ベンダーとのアライアンスも必要です。そこで当社は、昨年11月に日本SGIとの資本提携を通じて、同領域におけるSI力をより高めています。こうした戦略的な提携を生かし、ブロードバンドとモバイルを活用したシステム提案という意味で「iBestSolutions/BroadBand&Mobile」という体系を作り、企業に訴求しています。

――インターネットベースのソリューションビジネスを展開していくうえで、将来、課題となる問題があれば教えて下さい。

山崎 ブロードバンド化が進むにつれて、デジタルコンテンツの著作権やセキュリティ対策が大きな課題としてクローズアップされてきています。例えば、海外市場でのコンテンツビジネス展開を視野に入れると、著作権問題は不正コピーの防止技術だけでなく、法整備なども含め、業界をあげて解決していかなければなりません。
 他方、セキュリティ対策については、NEC自体も自社システムの防衛という点ですでに取り組んでいますから、このノウハウをセキュリティビジネスに生かすことができればと思っています。具体的には、NEC全社組織としての、IT戦略部の管轄下にセキュリティを専門に扱うチームを設置しており、ここが社内のシステム管理者に対しセキュリティ対策を指南しています。この情報は同時に、当社のお客様自身や、お客様をサポートする当社のSEにとっても重要な情報です。

――今後のビジネス展開はどうなりますか。

山崎 2002年度は、ブロードバンドとモバイルを活用したソリューションの拡充に力を注いでいきます。第1四半期には、金融業向けの遠隔相談やネットワーク型教育ソリューションなどを発表しています。第2四半期から年度末にかけては、小売店向けには商品プロモーションや販売支援ソリューションを、全業種共通のものとしてはビデオカンファレンスやeラーニングソリューション、官公庁向けには電子調達ソリューション、医療機関向けには遠隔医療ソリューションなどを提供していく予定です。単なるシステム提案にとどまらず、ブロードバンド時代のビジネスモデル開発でもお客様をサポートしていければと考えています。

(聞き手・田中大介)
 

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