畑 当社は、自らのみで光関連のシステムを開発していくということではなく、他社とのアライアンスによるソリューション提供に軸足を置いています。例えば、ルーターに関してはシスコシステムズ社、WDM(Wavelength
Division Multiplexer)ではシエナ社と手を組み、彼らの製品を日本のユーザーに合うようにローカライズ、カスタマイズし、トータルソリューションとして提供しています。一方で当社は、こうした機器向けに光関連のチップやモジュールなどコンポーネントを供給しています。
また、当社自身の取り組みとして、当面2つの技術に注力していきます。
まず、ATM-PON(Passive Optical Network)です。これは、アクセス系のシステムとして光ファイバーを分岐する仕組みで、150Mbpsを32に分岐できます。FTTH(Fiber
To The Home)での活用だけでなく、FTTC(Fiber To The Curb)に用いてxDSLなどと接続することも可能です。国内では今のところNTTがメーンの納入先ですが、NCC側でも動きが出始めています。米国でもベルサウスへ試験用で導入実績をあげることができましたので、これをきっかけに市場へのアプローチを本格的に進めていきたいと考えています。さらに、欧州地域でも導入気運が高まりつつあるので、世界規模で需要が見込めるものと大きな期待を寄せています。
もう1つは、ROF(Radio On Fiber)です。これは、ミリ波帯の無線信号を光信号に変調して光ファイバー内を伝送させる技術で、ITS(Intelligent
Transport System:高度道路交通システム)のプラットホームやIMT-2000における不感地帯対策などに活用できます。
――キャリアのソリューションにおいてポイントとなるものは何ですか。
畑 いろいろな要素がありますが、大きくは3点になると思います。
まず、IPネットワークにおいても、これまでと同等の高信頼性を確保することです。今後トラフィックは、当社がキーワードの1つとして掲げているMMoIP(MultiMedia
over IP)が広がりをみせていくでしょう。そうした時に、トラフィックを効率的に運ぶため、ルーターやWDMの能力をもっともっと向上させていくと同時に、これまでの電話並みの品質を実現する必要があります。
2点目はセキュリティの向上です。これについては、ネットワークなど低レイヤの部分もさることながら、アプリケーション部分における個人認証などが重要となってきます。当社で「e社会」と呼んでいる、いわゆるネットワーク社会が本格化するには、これが不可欠の要素になりますから、自社開発、他社との提携の両面で、さまざまな技術を積極的に取り込んでいこうと考えています。
3点目は、サービスアプリケーションをうまく制御する仕組みです。例えば音声でいうと、既存の電話網で実現している膨大な機能を、IPインフラでも実現するためのシステムが必要になります。また、課金や障害対応など運用をサポートするシステムも求められます。これらについても、他社製品を含めてベストなソリューションを常に提供できる体制を整えていきます。