リックテレコムWeb雑誌書籍展示会・セミナー 会社案内個人情報保護方針採用情報

テレコミュニケーションコンピューターテレフォニーCOMPASS

テレコミュニケーション

テレコミのご案内
TOPへ戻る
編集コンセプト
2012年発売号一覧
2011年発売号一覧
2010年発売号一覧
2009年発売号一覧
2008年発売号一覧
2007年発売号一覧
2006年発売号一覧
2005年発売号一覧
2004年発売号一覧
2003年発売号一覧
2002年発売号一覧
2001年発売号一覧
インタビュー集2012
インタビュー集2011
インタビュー集2010
インタビュー集2009
インタビュー集2008
インタビュー集2007
インタビュー集2006
インタビュー集2005
インタビュー集2004
インタビュー集2003
インタビュー集2002
インタビュー集2001
お問い合わせ先



広告掲載料金
広告掲載企業
2011・2012年記事広告一覧
連載記事広告一覧
2010年記事広告一覧
2009年記事広告一覧
2008年記事広告一覧
2007年記事広告一覧
2006年記事広告一覧
2005年記事広告一覧
2004年記事広告一覧
2003年記事広告一覧
2002年記事広告一覧
お問い合わせ先


セミナーのご案内
セミナースケジュール
お問い合わせ先



テレコミTOP編集コンセプト購読のご案内広告のご案内
 


2001年8月号

中部テレコミュニケーション:木村洋一 代表取締役社長
光ファイバーはNTTと互角勝負
データセンターをビジネスの結節点に
中電グループ一体で地域IT需要狙う

地域のブロードバンド需要を自前の光ファイバーで一点突破――。地域系通信事業者3強の中部テレコミュニケーション(CTC)は、中部電力グループとFTTH実証実験を重ね、今秋にも本格サービスの実施を目指す。地域コンテンツハブ事業が光ファイバービジネス成功へのカギを握る。PNJコミュニケーションズとの連携強化をテコに、次世代IPネットワークへの転換を急ぐCTCの木村洋一社長に、ブロードバンド事業戦略を聞いた。

Profile

木村洋一(きむら・よういち)
1957年名古屋大学経済学部卒業、中部電力入社。同社関係事業室長、支配人監査役室長、取締役津支店長、同燃料部長などを経て、93年常務取締役企画室長。95年現職に。愛知県出身。33年11月29日生まれ。

――まず最初に、7月1日付けで実施された「ソリューション事業部」の新設など一連の組織変更のポイントをお聞かせ下さい。

木村 今回スタートした新組織の狙いは、IT(情報技術)推進需要をターゲットとした通信サービスの高度化と、ハード的なインフラビジネスからソフト化に対応するための体制強化にあります。主な変更点は、第1に、従来の回線サービスからSI、データセンターなど付加価値サービスに対応するために経営資源を集中し、営業力を強化したソリューション事業部を営業本部内に新設しました。第2は、技術開発センター内に技術開発部、システム技術部を新設し、最新技術の研究開発機能を高めるとともに、業務の効率的運用・管理を図るのが狙いです。第3は、設備運用部を工務部およびネットワークセンターに統合して設備運用体制の効率化を図った点です。

――そうした体制見直しの背景にある通信市場の環境をどう認識され、今後の流れをどう見通しているのですか。

木村 まず大前提として、通信市場がIPサービス対応のネットワーク構造に急速に転換しつつある点を押さえておかなければなりません。すなわち、通信市場のトレンドを示すキーワードは「IP化」「グローバル化」「ブロードバンド化」だと認識しています。具体的なサービスとして広域LAN、IP-VPNへの流れがあり、これまで別々だった音声やデータ、画像のIP統合サービスの需要が急増する傾向にあります。このためにキャリア各社は、レガシーネットワークから次世代型IPネットワークへの転換が事業経営の急務となっているのです。

――そうした中で、今後キャリア間競争はどう変化していくとお考えですか。

木村 私はユーザーがネットワークサービスを選別する基準は「安全性」「信頼性」「利便性」の高さにあると考えています。これらを実現する技術開発力はもちろんですが、この3点が今後の市場競争の重要な差別化ポイントになっていくと思います。

――具体的なサービス展開の現状をお聞かせ下さい。

木村 従来からの高速デジタル伝送サービス、ATM専用サービスなどの専用サービスについては、可能な限り営業費用の削減に取り組む一方、低廉化ニーズに応えつつ、高信頼度、高品質のサービスを提供してきました。その結果、今年3月末の契約数は、846社・6356回線となり、前年度比60社・368回線の増加となりました。
 また、当社のインターネット接続サービス「CTCN」については、2000年5月にFWA(加入者無線アクセス)サービス、同年6月に昼間割安サービス「デイ・ライト1500」、7月からは大容量サービス「CTCN-ワイド」の提供を開始し商品力を向上しました。目下好調な販売実績を維持し、今や東海地区のインターネットの中核として、拡大・成長しています。

――今後の目玉商品となるIPサービスの戦略とラインナップをお聞かせ下さい。

木村 サービス戦略の流れとしては、従来の専用線網型サービスからイーサネット網でニーズを満たすサービスの開発に取り組んでおり、当面はIP-VPNサービスを主軸に展開することになります。
 ただし、市場競争力のあるサービス展開のためにはリソースを集中する必要があることから、PNJ-Cと一体で取り組むことですでに合意し、IPネットワークのインフラ構築や具体的なサービス戦略を実行する時期に入っています。広域LANサービスについては、PNJ-Cのサービスとして電力系NCC各社で協力して販売を進めており、すでに多くのお客様から支持をいただいております。
 やはり今後は地域ブロック単位の営業体制から、東名阪の電力系地域通信会社3社のリソースを集中し、企業ユーザーのニーズに合わせた広域ビジネスに転換を図る取り組みが必須になってきます。

――4月からPNJ-Cが開始した全国規模の広域LANサービス「パワード・イーサネット」についてお聞かせ下さい。

木村 今回のサービス開始は、全国規模でのLAN間接続サービスで、クロスウェイブコミュニケーションズ(CWC)の最高45Mbpsサービスに続き2社目となりますが、PNJ-Cの場合、128k〜120Mbpsまでのアクセス回線の品目を幅広く用意しています。
 また、PNJ-Cでは7月1日から、IPパケットにラベルを付与して通信相手を特定するMPLS技術を用いたIP-VPNサービス「パワードIP MPLSサービス」を開始しました。NTTコミュニケーションズ、KDDI、日本テレコムなどが提供している既存のMPLSベースのIP-VPNに比べ、経路制御機能の柔軟性が高い点と、ユーザー網インターフェースにイーサネット品目を用意し、10Mbpsまたは100Mbpsで拠点を接続する場合は、ATM専用線を利用するよりも料金が格安になる点などに特徴があります。

メトロアクセスで先制ダークファイバー事業も

――もう1つの市場トレンドとして、メトロポリタンエリアのギガループ構築の取り組みが東京で始まっています。

木村 東京の丸の内エリアには注目していますが、すでに当社でも従来の専用サービスの流れから名古屋市のビジネス街におけるメトロアクセスネットワーク構築を進めてきました。さらに最近、コストパフォーマンスと信頼性の高いギガビット級のイーサネット機器やDWDM(高密度光波長分割多重)装置が登場し始めたことで、これらの最先端のネットワーク技術を駆使したループ状のメトロアクセスネットワークの構築を急いでいるところです。
 ビジネスモデルとして、従来通りエンドユーザーへの企業向け専用サービスと併行して、キャリア向けにダークファイバーをホールセールするキャリアビジネスの両面から取り組んでいく考えです。しかし、東京のビジネス街ほど集積度は高くありませんので、当面はループ状というより単一ビルへの個別高速アクセス回線サービスが主軸になると思います。新たな光ファイバー需要に対しては、NTTグループとほぼ互角に競争していると認識しています。

――今後、収益性の面からみてIPサービスの比率が高まることはキャリアの経営にマイナスの影響を与えるのでは。

木村 問題はそこなんですが、IP系への転換は急速に進み、おそらく5年以内には9割がIPサービスにシフトするとみています。その流れは今年から緒についたといえますが、合わせて企業ネットワーク自体の需要の拡大要素を考える必要があります。これまでの専用線のサービス料金を下回る価格の通信回線が手に入るとなれば、全体の市場のパイは拡大する方向に向かうだろうとみています。
 ですから、ネットワークのIP化へのシフトによる値下がりが一概にキャリアの収益減につながるとは判断しておりません。当社としては、新たなネットワークに転換することによる目減りは需要の拡大によってカバーできると考えております。

PNJ-Cのネットワークで他地域とのデータセンター連携も

――昨年10月に開設されたデータセンターの現状と強みをお聞かせ下さい。

木村 当社のデータセンターは、名古屋駅から徒歩約10分の名駅南ビル内に設置した立地条件のよさを誇る都市型データセンターである点が第1の特徴です。中部電力の情報システム部門や電力の安定供給を担う電力センターの入居を目的としたインテリジェントビルで、地下に中部電力の超高圧変電所を併設し、また震度7クラスの地震にも耐える耐震性、高い電源の信頼性や万全の災害・セキュリティ対策によりデータの安全性を確保できます。
 サービス面では、基本サービスとしてサーバーを預かって運用する「ハウジングサービス」と、サーバーを貸し出す「レンタルサーバーサービス」があるほか、運用・監視サービスとしてハッカー検知や入退室管理などのセキュリティ監視サービス、24時間365日の稼働監視などを提供します。また、高速大容量のインターネット接続に加え、システムの構築・保守サービスも提供する一方で、ブロードバンドのアクセスでデータセンターを直結したコンテンツ配信や決済や認証などを実現するプラットホームの提供、ストレージサービスやストリーミングサービスが可能な最先端の装置を備えています。

――各分野からデータセンター事業への参入が多い中で、貴社の差別化ポイントはどんな点ですか。

木村 地域に根ざした企業がIT活用によって商圏を拡大しようとする場合、コアコンピタンス以外の情報システム業務や、EC業務をアウトソーシングする需要は地方都市ほど根強いものがあります。そうしたニーズに対して、設備面で中部電力の全面的なバックアップを得て、CTCが運営する地域密着型のデータセンター事業によって、中部地区の企業ユーザーが電子商取引を始めとしたインターネットビジネスの急成長に合わせて、技術者の不足やセキュリティへの不安などのITビジネスに取り組む企業が抱える経営課題を解消し、自社で賄うよりも低価格で進歩が著しい情報技術を取り込むためのサポートに取り組んでいきます。
 さらには、今後、東名阪を主軸に全国一貫体制を目指すPNJ-CのWDMネットワークを活用したデータセンター連携によって、地域企業のニーズだけでなく全国規模で企業ニーズに応えていくといった両面からのアピールがポイントになってきます。
 当社にとってデータセンター事業は今後の経営の中で重要な結節点であり、ネットワーク戦略の核となるビジネスと捉えています。そこで、今回の組織変更ではデータセンターを「ソリューション事業部」内にその中核として設置し、併せて要員の大幅な強化を図りました。万全な保守・監視体制の提供やサービスの充実、さらには将来に向けた事業の拡大を図っていきたいと考えています。

FTTHはコンテンツ流通が鍵無線LANを光化の補完手段に

――中部電力グループとのタイアップ事業となるFTTH、ならびにコンテンツハブ事業について、現在の進捗と今後のビジョンをお聞かせ下さい。

木村 FTTHについては、先行投資負担が大きい性格のものですが、光ファイバーの需要喚起に値しない投資は意味がありません。そこで、コンテンツの流通をどう促進するかがポイントになるわけです。有料コンテンツ市場はまだ立ち上がっていませんが、例えば早稲田大学の講義を社会人向けにネット配信する事例があります。他にない固有のコンテンツであれば有料でも配信ニーズはあるとみています。貸しビデオの再配信だけではパッケージレンタル市場からユーザーをネットワーク市場に引き寄せる魅力はないのです。ネット配信にメリットがあるコンテンツの提供事業者が育成できる市場環境を整備し、そうしたコンテンツ事業者とコラボレーションが組めるようなビジネスモデルを立ち上げるのが、データセンターをフルに活用した地域コンテンツハブ機能の課題です。

――具体的なスケジュールは。

木村 中部電力グループとして、これまで1年間にわたってFTTH実証実験を行い、地域の新 聞社や放送局など約50社のパートナーとコンテンツビジネスの検証を行ってきました。今年春に終了予定のスケジュールを6カ月延長し、今秋までに実用化のめどをつけ段階的に実施していきたいと考えております。事業主体については目下検討中ですが、アクセスインフラを保有して運営すればフットワークが重くなりますから、運営会社は、NTTグループがこのほど設立したNTTブロードバンドイニシアティブのように、第一種事業会社とは切り離して、第二種のビジネスモデルに絞り込んだ組織体制が望ましいと思っています。

――FTTH需要が本格化するまでのブロードバンドアクセス手段としては、どのようなものを考えていますか。

木村 以前からNTTの設備に依存したADSLは考えていませんでしたが、無線LAN方式についてはFTTHの補完的手段としての位置付けだけでなく、FTTHまでの中継ぎ手段としても有効であると考え、現在その準備をしているところです。最低2Mbpsが保証できる無線LANは事業として有効だと考えています。現在のFTTH実証実験で帯域共有や電波干渉性のほか事業採算性を検証し総合的に勘案して実用化を急ぎたいと考えています。いずれにしても人口が集中した地域では光ファイバーに重点が置かれ、その周辺や配線が困難な既存の集合住宅では無線LANで代替したほうが投資効率がよいだろうとみています。

――今年度の売り上げ目標と、ポイントとなる経営課題をお聞かせ下さい。

木村 2000年度決算では、売上高は414億円で、前期に対し18.4%、64億4300万円の増収で した。2001年度では売上高予想を440億円と見通しています。  今後の経営ビジョンの具体策としては、データセンター事業における付加価値サービスとして、すでに提供している大容量データバックアップが可能なストレージサービス、ストリーミング配信サービスなどを充実させていきます。同時に、Eビジネスプラットホームの整備にも取り組んでいきます。
 さらに、顧客サイドのネットワーク構築・運用保守を一括して請け負うことで顧客企業の価値創造のサポートに注力する一方で、コンテンツサービス事業やASP事業など当社に不足しているリソースについてはコラボレーションを強化していきたいと考えています。
 しかし、最大の課題は、IPサービスにシフトする中で、従来のレガシーサービス、当社の場合は専用線型ネットワークサービスが収縮することから、設備・人材・スキルの転換を図るのが急務です。これは全キャリアが抱えている課題でもあります。年間設備投資としては昨年度で約140億円から今年度100億円に抑えたいと考えていますが、これはノード設備を次世代IPネットワーク対応の装置に更新することで投資額を抑えられるからです。光化投資は従来通り全体の6割の構成比を維持し、競争力の源泉に据えていきたいと思います。

(聞き手・小野憲男)
 

リックテレコムメール配信サービス


 
Copyright 2003-2008 RIC TELECOM,All Rights Reserved