TOPへ戻る
編集コンセプト
2012年発売号一覧
2011年発売号一覧
2010年発売号一覧
2009年発売号一覧
2008年発売号一覧
2007年発売号一覧
2006年発売号一覧
2005年発売号一覧
2004年発売号一覧
2003年発売号一覧
2002年発売号一覧
2001年発売号一覧
インタビュー集2012
インタビュー集2011
インタビュー集2010
インタビュー集2009
インタビュー集2008
インタビュー集2007
インタビュー集2006
インタビュー集2005
インタビュー集2004
インタビュー集2003
インタビュー集2002
インタビュー集2001
お問い合わせ先
広告掲載料金
広告掲載企業
2011・2012年記事広告一覧
連載記事広告一覧
2010年記事広告一覧
2009年記事広告一覧
2008年記事広告一覧
2007年記事広告一覧
2006年記事広告一覧
2005年記事広告一覧
2004年記事広告一覧
2003年記事広告一覧
2002年記事広告一覧
お問い合わせ先
セミナースケジュール
お問い合わせ先
2003年1月号
NECインフロンティア代表取締役社長:斉藤 紀雄氏
ハードウエアにこだわり
専用端末でトップを目指す
NECとのビジネスホン・POS事業統合に加え、
ワイヤレス分野でも積極展開を図るNECインフロンティア。
斉藤紀雄社長は、フルIP対応ビジネスホンの拡販とともに、
専用端末事業での躍進を誓う。
Profile
斉藤紀雄(さいとう・のりお)氏
1962年千葉大学工学部電気工学科卒業、同年NEC入社。コンピューター関連の営業部門を長年務め、84年情報処理装置システム事業部長、87年情報処理第一流通・サービスシステム事業部長。91年1月理事に就任、同年7月支配人、94年6月取締役、99年6月常務取締役。2000年4月取締役常務・NECソリューションズカンパニー副社長、その後国内営業推進本部長、宣伝部長を兼務。2002年6月NECインフロンティア代表取締役社長に就任し現在にいたる。 1940年1月生まれ
先だっての中間決算では、上期売り上げが計画を6%下回りましたが、通期では、当初計画の通り3.4%増の1300億円を見通しています。やはり、新商品群で確かな手応えを掴んでいるということですか。
斉藤
そうですね。ビジネスホン分野では8月にフルIP対応の「Aspire」、10月には新型のPOS端末「TWINPOS」、11月には業務用PDA端末の第一弾「Pocket@i」と、いずれも非常によい商品で、市場の反応も上々です。また、PHSカードでもDDIポケットのAirH”に対応する無線通信カードが好調な売れ行きを示しています。
これらは、登家正夫前社長(現・取締役相談役)によりNECグループからの事業譲渡も含め、当社内に蓄積し育ててきたキーテクノロジーをベースに生み出されたものです。それを引き継いだ私としては、こうした成果物をうまく売れる仕組みを作ることが一番のミッションだと捉えています。
チャネル販売の比率を上げる
主軸のビジネスホンでは、Aspireの健闘ぶりが業界内でも聞かれます。
斉藤
おかげさまで、Aspireの投入により下期のビジネスホン出荷台数は前年よりかなりの伸びを見込んでいます。また、自社製品のリプレースだけでなく、他社の置き換えや新規導入も進んでおり、従来よりも比率を高めることができています。
その販売形態は、まだまだビジネスホンとしての更新が大部分で、インターネット機能なりVoIPなりの特徴による提案や顧客獲得は少ないのですが、サーバーのような格好で無線LANと接続し、POSやPCと連携するような先進的な提案例も徐々に出てきました。そうした先進事例を共通のデータベースに登録し、営業全体の財産として今後の横展開に活用していきたいと思います。
具体的な営業強化策としてはどのような戦略を考えているのですか。
斉藤
1つは、技術部隊と営業部隊の距離を縮めるために、販売推進部隊がうまく機能していくようにします。マーケットの声を技術に、技術の声をマーケットにいち早く流すとともに、お客様の目線に沿った展示会やセールスツールで、営業活動をもっと支援していきます。
その具体的な活動として、NECとジョイントで全国6カ所での展示説明会を行いました。お客様も販売店の方々もお招きして、ビジネスホンからPOS、無線LAN機器、PDAまで当社の商品すべてを見ていただきました。手応えは上々で、会場で受注や内示をもらったという話も出てきています。また、お客様から「NECインフロンティアはこんなにいろいろな商品を持っているのか」という声もいただいて、「われわれは自社の商品を十分に紹介していなかったのだな」と反省もしています。
セールスツールということでは、今までのような商品別のカタログではなく、お客様の利用シーンにフォーカスした総合カタログを作りました。例えばコンビニエンスストアなら、Aspireを中心として店内に無線LANを構築し、POSや受発注・検品などの端末が接続されるといったシーンを多数紹介して、各々の商品に関しては後ろのページにまとめて掲載するという形で、お客様の視点で分かりやすく、見て楽しいものに仕上げました。
実際の営業活動においては、AspireやPocket@iの技術部隊の人員を販売推進部隊に3カ月程度配置し、同行営業や営業部隊の技術的サポートをさせています。また、従来は首都圏に特化して業種別営業を展開してきたソリューション部隊が、各地域の支社・支店レベルでの大型案件もサポートしていくようにしました。
チャネル販売に関してはいかがですか。
斉藤
実は、当社は販売店経由の売り上げ比率が少ないということが1つの課題だと思っています。かつては、自らの足で顧客を獲得していくという営業スタイルがメリットであり、それでビジネスになっていた時代はよかったのですが、ジャストビジネスホンの売り方ではなかなか成長路線が維持できないとなれば、販売店やソフトハウスのパートナーの方々にお願いしていくということがもっともっと大事になっていくと思います。
ビジネスホンの新しい売り方を進めていくのは、どのようなチャネルになるのですか。
斉藤
提案の切り口は、やはりサーバーということになりますから、少し違う視点で情報処理系のSIやソフトハウスの方々に販売していただくような仕組みを整えていく必要があると思っています。
通信系販売店への期待度は。
斉藤
われわれとしては、技術部隊や販売推進部隊による支援を直販部隊だけでなく販売店の方々に対しても行っていきますし、IP化提案に意欲的に取り組んでいただきたいのですが、実際にはなかなか難しいのではないかと思います。しかし、私はビジネスホンのレベルアップという形でもいいと思っています。先々にIP化提案ができる素地を作れるわけですし、何より他社にお客様を奪われずに済むのですからね。
少ロット・短納期でも利益を出す
御社は「専用端末でNo.1」を目標に掲げています。その点では、無線LANや業務用PDA、POSなどの「i‐アプライアンス」事業の推進が鍵を握ることになりますね。
斉藤
ビジネスホンがしっかりとした利益を確保し、当社の屋台骨を支えていることは確かですが、今後の成長を担うものとしては、やはりPOSやPDAが牽引役となります。そして、そのインフラ基盤として注力しているのが無線LANを主軸とするワイヤレス事業です。われわれは今後、すべての製品をワイヤレス対応にしていきますし、その中で音声通信もきちんと実現していきます。
専用端末というのは、新生NECインフロンティアとして従来のビジネスホンではない、新しいものを世にアピールしていく意味で掲げたものです。どんなシステムでも人との接点として端末という存在が必ずあります。その部分で、すぐに習熟して入力できるとか軽いといった“人にやさしいもの”を業種別・業務別の専用端末として提供していきたいと考えています。お客様のさまざまなニーズを吸い上げていけば、いろいろな専用端末の提案ができるでしょう。
しかし、ユーザーの細かなニーズに対応していくのは、開発コストの面でなかなか厳しいのではないですか。
斉藤
確かにそうですが、それを実現しなければ成功を収めることはできません。少ロットでも利益が出て、かつ短納期にも対応できることが、専用端末でトップを実現する一番のポイントになります。
そこで、われわれは各製品ジャンルにおいてプラットホームの統一を図りました。これをベースに、オプションを付けて応用動作ができるようにすれば、製品開発のコスト削減もスピードアップも実現できます。加えて、生産ラインや流通に関する部分でも工夫を凝らしていきます。
一般的に考えれば、誰も手を出さなそうなモデルですが、仕組みをきちんと確立できれば、ニッチの世界でいいビジネスができると思っています。なにしろ、でき上がったものは、お客様に的確なソリューションを提供できる専用端末なのですからね。
ソリューション事業は外部と協業
御社では、「i-ソリューション」が柱の1つになっています。この事業は、どのような位置付けですか。
斉藤
ビジネスホンを主軸とする「i-コミュニケーションシステム」事業、POSや業務用PDAなどの「i-アプライアンス」事業で提供する各種製品だけでなく、グループ企業や他社の製品も含めて業種別のソリューション営業を展開していくのが役目です。
営業強化の視点でいうと、i-ソリューション事業の比重が高まっていくのではないですか。
斉藤
そういう希望はあります。しかしながら、当社のリソースを冷静に分析すると、SEが量的にも質的にも乏しいのが現実ですし、ならば人材を早急に育成し充実させられるかというと、そうもいきません。
すると、この事業は外部のパートナーとジョイントするケースが多くなります。もちろん、それが悪いわけではなく、むしろパートナーにより高い付加価値を提供することでスムーズな展開を図っていきたいですし、そのためにも当社のハードウエア製品をさらに強化する必要があります。
それに、ソリューションというと、一般的にはソフトウエアによる付加価値化が思い浮かびますが、ハードウエアの世界でも同様のビジネスがあるはずです。われわれはハードウエアにこだわり、ハードウエアでお客様のニーズに応えるソリューションを提供していきたいと考えています。
海外市場でビジネスホン以外も強化
今後の展開として、海外事業の拡大も重点項目にあげられています。具体的なポイントを教えて下さい。
斉藤
ビジネスホンに関しては、2003年2月に北米、4月からは欧州でもAspireの販売を開始しますが、特に北米の動向に注目しています。というのも、同地域は約500社の代理店で100%間接販売を行っているからです。その中で、PCを扱い慣れているところや若手経営者のところが、いわゆる新しい売り方を早期に立ち上げてくれるのではないかと思っています。
一方で、アジア市場をもっと開拓していきたいと考えています。この地域では圧倒的な競合相手がいて、販売店網もがっちりと押さえています。ですから、当社が同じやり方で追従してもなかなかうまくはいかないでしょう。そこで発想を変えて、SCM方式の、いわゆる“DELLモデル”のような流通形態を検討しています。
そして、こうした北米とアジアでまったく違うチャネル戦略の展開は、次なるターゲットである中国という巨大市場に向けた有効なビジネスモデルを見極めていくうえでも非常に重要だと考えています。
もう1つポイントとなるのは、ビジネスホン以外の製品の海外進出を進めていくことです。現在、海外市場の売り上げは9割近くがビジネスホンで占められている状況にあります。
例えばPOSは、国内でシェア1位を獲得できましたが、海外市場では“その他のメーカー”でしかありませんから、もっと打って出る必要があります。幸い、TWINPOSという新しいスタイルの製品ができましたから、今これを北米に持ち込んでいろいろな企業に紹介しております。業務用PDAも欧州などに紹介すると興味を持ってくれています。
今後の成長を維持していくためには海外市場なくして語れませんから、これまでのようにビジネスホンだけに頼るのではなく、ぜひPOSやPDAをグローバルな商品にしていきたいと思います。
(聞き手・大谷聖治)