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2005年2月号

総務省
総合通信基盤局 電波部長
竹田義行氏
800MHz帯は新規割当ではない
携帯電話新規参入で競争促進へ

2005年通信業界の最大テーマの一つが携帯電話新規参入問題。
100年ぶりといわれる超ど級の「周波数再編」政策を指揮しつつ新規参入方針の決断を下す、
竹田義行電波部長に電波行政の核心を聞いた。

Profile

竹田義行(たけだ・よしゆき)氏
1974年 郵政省電波監理局入省。1991年 電気通信局電気通信事業部電気通信技術システム課長。1993年7月 通信政策局地域通信振興課長。1995年6月 電気通信局電波部計画課長。1998年6月 四国電気通信監理局長。1999年7月 大臣官房参事官(通信・放送担当)。2001年7月 総務省東海総合通信局長。2002年8月 関東総合通信局長。2003年8月より現職

  ここに来て、20年前や30年前では考えられなかったほど無線の世界が注目されていますね。

竹田 それだけ社会的に無線技術が果たす役割が大きくなり、人々にとって身近なものになってきたからです。

  なかでも携帯電話向け周波数の問題は通信業界全体が注視しています。800 MHz帯の再編成について、ソフトバンクの孫正義社長が「自分達にも電波帯域を」と異議を唱えていますが。

竹田 総務省の「周波数の再編方針」は、情報通信審議会によって1年半以上をかけた議論を経て2003年7月に答申された「電波政策ビジョン」に基づき策定したものです。その際、パブリックコメントを募集した時には、今回のような意見は出ませんでした。ですから突然という印象を受けています。

  新規割当てはなく、再編の一環としての移行が進められるということですね。

竹田 そうです。もともと日本における800M〜900MHz帯は、周波数の利用が細切れになっており非効率でした。これを整理して800MHz帯に集約することで、900MHz帯に空き周波数帯域を作ります。これと、テレビ放送のデジタル化に伴う700MHz帯の空きバンドを対にすることで、2012年以降には新規事業者等が利用可能な30MHz幅×2程度の周波数帯を用意できるようになります。
 実は昭和50年ごろ、私自身も800MHz帯での移動体通信利用の検討に加わっていたのです。現地調査などを実施し、当時の電電公社などと検討を進めるなかで、UHFテレビの周波数との混信を避けるため、現在の形がベストという結論に至りました。その意味で、少し因縁を感じますね。

  ソフトバンクは「800MHz帯に関する免許を申請した」と発表しました。

竹田 この点については、一部マスコミの報道に誤りがあったようです。あたかも免許が交付されたかのように報じられましたが、これはまったくの誤解です。申請時に手続き上の瑕疵がなかったから、受理したということです。

  その前の総務大臣を相手どったソフトバンクの行政訴訟は、どうなっていますか。

竹田 免許申請に際して、文書破棄等禁止など一部については取り下げられました。しかし、800MHz帯再編方針案の実施の差し止めと、新たな再編方針案策定を求める本訴については継続しています。

  この問題はどういった形で決着が図られることになりますか。

竹田 総務省としては、基本的なスタンスに変わりはありません。ただし、現在進められている「携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会」で議論していただいていますので、政策立案の参考にさせていただきます。

  検討会では「800MHz帯の議論に偏りすぎ」との批判が出されていました。

竹田 その通りだと思います。この場では、1.7GHz帯など新たに携帯電話用として利用する周波数についての検討も進めています。1.7GHz帯については、周波数幅、サービス内容、提供地域、開始時期、選定基準など幅広い内容を多角的に議論しています。
 検討会での議論や報告を参考に、免許方針を決めていくことになります。必要ならば併行して情報通信審議会の技術分科会で技術基準の検討を進めることになるでしょう。

  免許交付は、2005年中にもあり得ますね。

竹田 必要となるプロセスが最短に進むことが前提です。ですから、まだ何とも申し上げられないというのが本音です。

新技術で市場活性化

  「新規事業者の参入により、市場の競争環境を整える」という基本姿勢に変わりはありませんか。

竹田 はい。市場の活性化に新規事業者の参入は必要でしょう。ただし、これは私見ですが、ユーザーの視点で考えたときには多様な選択肢が用意されている方が良いと考えています。そのためには、既存技術や方式にこだわらず、新しい手法をユーザーに提供できるかどうかが大切でしょう。
 そのために総務省では電波開放戦略を定め、新たに利用できる周波数を捻出しようとしているのです。それを使いワイヤレスブロードバンドを実現することで、日本に「世界最先端の無線ネットワーク」を構築していきます。

  ここで言うワイヤレスブロードバンドとは、具体的にはどのようなものですか。

竹田 核となるのは携帯電話と無線LANでしょう。携帯電話についてはすでに第3世代(3G)の高速データ通信方式として「CDMA2000 1xEV-DO」や「HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)」が提供もしくは計画されています。これに加え、2GHz帯でのTDD(Time Division Duplex)方式といった新たな手法も検討されています。

  業界の内外を問わず、無線LANに対する期待は高いですね。

竹田 はい。無線LANは今後10年間で4〜5倍の周波数帯域が必要になると試算しています。例えば、PCは1人1台を保有するパーソナライズ化が急速に進んでいます。しかし、一般的な家庭では個室単位で有線接続できる環境が整っていません。この時、アクセス環境を整えるツールとして無線LANは有効な手段となるでしょう。
 現在、5GHz帯の利用に向けた検討が進められています。2003年のWRC(世界無線会議)で5.250G〜5.530GHz、5.470G〜5.725GHzが追加分配されたことを受け、日本での対応を検討しているものです。2004年11月には情報通信審議会から技術的条件が答申されています。

  周波数の再編が進展する一方で、制度面での改革も実施されていますね。

竹田 2004年度から新たに周波数の再配分に関する給付金制度を導入しました。日本の周波数利用は過密状態です。再編を円滑に進めるには、代替可能な既存利用者に移行してもらうことが必要不可欠です。
 しかし、既存利用者からすれば、多大なコストを要する移行はなるべく避けたい、先送りしたいというのが本音でしょう。そこで既存利用者に補償を与えることにより、迅速な周波数移行を実現するための制度を作ったのです。
 この制度を適用し、2005年中に大都市圏で屋外無線LANを自由に利用できる環境を整備できるようになりました。中継用無線局向けに4.9G〜5.0GHzを使っている通信キャリアに補償することで、当該周波数の使用期限の2007年から2年の前倒しを実現したのです。
 この手法は日本独自のもので、最近になって米国などにも導入の動きがあるようです。今後も必要なものに対しては補償を適用していきたいと考えています。

電波利用料を見直し

  電波利用料制度の見直しも進めていますね。多数の基地局を抱えるため、負担比率の高い携帯電話キャリアは不公平感を訴えていますが。

竹田 利用料制度は抜本的な見直しを進めているところです。次期通常国会で電波法の改正を予定しています。柱となるのは、算定方法の改正と使途の拡大です。
 現在の利用料制度では、共益費用を全無線局で均等に負担する方式を採っています。この手法を見直し、占有帯域、使用電力、混雑地域かどうかといった経済的な観点を取り込み、相対的に料率を決めることを検討しています。

  使途の拡大としては、どういった内容があげられますか。

竹田 電波利用料は現在、技術試験事務、電波監視、アナアナ変換等の共益費用のみに利用できると、法律で定められています。それに加え今回、携帯電話等の地域格差の解消や、電波資源拡大のための研究開発に対して、利用料を充てることができるようになります。
 携帯電話の鉄塔整備は従来から一般財源による補助が認められています。これとともに利用料を財源とし、有線伝送路費用の一部を補助できるようになります。

  研究開発にも利用できるようになるのですね。

竹田 電波資源を積極的に拡大することを目的とします。日本の電波利用需要は、世界的に見ても非常に逼迫しています。
 そこで、すでに使っている無線システムの下で新たな無線システムの共同利用を可能とする技術や、既存周波数帯域の圧縮技術など電波の効率的な利用を図るための技術等についての研究開発を進めます。

進む“4G”の開発

  周波数の効率利用技術は、第4世代(4G)移動通信システムに通じますね。

竹田 4Gについてはまだ、要素技術の開発を推進するとともに、概念そのものが出来上がっていく課程にあるのではないでしょうか。ITU-R(国際電気通信連合・無線通信部門)で定められた「Systems beyond IMT-2000」が目指している「高速移動環境で100Mbpsを実現」するというのが1つのゴールにあたります。
 また、そこへ向かう道筋として3Gの高度化もあるところで、NTTドコモが提案する「スーパー3G」などの技術が検討されているのです。

  国際標準としては最近、高速移動環境を対象にした「IEEE802.16e」などが登場し、ITU-Rが定めるセルラー系のものとIEEEが定める無線LAN系との区別がつきにくくなってきました。

竹田 ITU-Rでは標準化と併せ国際的な使用周波数帯を確定しています。通信においては相互接続性が最も重要です。日本としては、国際協調にもとづき世界で共通して使える通信方式や周波数帯の利用を優先していく方針です。
 それに比べ、IEEE委員会はデファクトの概念を重視し、周波数論議が少ないため、その意味で導入にあたっては慎重な検討が必要でしょう。

  国家プロジェクト「e-Japan戦略」は2005年まで、それに続く「u-Japan」構想が打ち出されていますね。

竹田 「ユビキタスネット・ジャパン」というコンセプトです。e-Japanに続き2010年までに「いつでも、どこでも、誰もが自由に使え、日本社会を活性化する」よう環境を整えます。安心・安全、社会の活性化、流通の高度化といった政策上の課題を、ICT(Information and Communications Technology)技術を適用し解決するものです。
 u-Japan実現のためには、無線通信を始めとするネットワークの高度化は今まで以上に重要な役割を果たすことになるでしょう。
(聞き手・土谷宜弘)
 

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