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2006年1月号
NTT東日本
代表取締役社長
高部豊彦氏
現場力が光1500万加入の鍵
NGNにレガシー技術は不可欠
中期経営戦略を受け、2010年度光1500万加入の実現に向けまい進するNTT東日本。05年6月に就任したB部豊彦社長は、「当社はグループの窓口、常にお客様視点のサービスを提供する」と強調する。
Profile
高部豊彦(たかべ・とよひこ)氏
1947年静岡県生まれ。69年6月東京大学法学部卒業。同年7月日本電信電話公社入社。96年6月NTT・理事 マルチメディアサービス部担当部長、同年12月理事 再編成対策室担当部長、97年4月理事 再編成室担当部長、98年6月理事 調整部長、99年1月理事 再編成実施準備室長兼持株会社移行本部第五部門長を歴任。99年7月のNTT(持ち株会社)取締役 第五部門長を経て、2002年6月に代表取締役副社長へ。05年6月、NTT東日本・代表取締役社長に就任。現在に至る
就任会見で「現場力の強化」を強調されていましたが、持ち株会社におられた時、NTT東日本をどのように見ていましたか。
高部
ご存知のように、東日本は事業会社で、お客様と直に接してサービスを提供しています。しかし、そのサービスフロントの部分で、お客様の立場で物事が進んでいないのではないかと感じていました。
特に気になっていたのが、スピードです。お客様が求めるスピードと東日本のそれはズレている印象でした。これでは競争が厳しくなる一方の市場の中で、お客様に満足していただくことはできず、結果として他社へのシフトが進むことになります。
つまり、われわれはサービスの原点に戻り、お客様から「NTT東日本に任せて良かった」と言ってもらえるようにならなければなりません。その鍵を握るのは「現場力」で、そこを強化する必要があるのです。
そのための第1ステップが、7月に実施した本社組織の見直しですね。営業系・設備系・共通系の都道県域3社を統合させるなど、かなり大胆に改革しました。
高部
3社の統合は、業務のフロースルー化とスピードアップを狙ったものです。営業系と設備系業務を一体的に運営にすることで、お客様から見てワンストップで手続きができるようになりました。
総勢700人体制だったNTT-MEを5350人にまで増強した狙いは何ですか。
高部
「安心・安全」の通信サービスを提供することがわれわれの大きな使命であり、これまでもさまざまな取り組みを行ってきました。ですが、最近続いている大きな災害を見て、危機管理・災害対策体制のさらなる強化が必要と考えました。そこで、ネットワークオペレーション業務を一体化・一元化すべく、NTT-MEに集約したのです。
光の利便性を実感できるサービスを
05年度上期の中間決算を見ると、営業収益は前年同期比214億円の減少でした。そうしたなか、Bフレッツは好調で、中間決算発表会でも05年度純増100万の目標達成の手応えを感じている様子でした。
高部
その通りですが、メニュー面とお客様へのサービス面の両面ともにまだまだ不十分だと思っています。
メニュー面では、お客様から見て、使い勝手の良い魅力的なサービスラインナップをどれだけ揃えられるかがポイントです。この秋もそれを念頭に置いたいくつかの新メニューを投入しました。
映像系ではUSENのブロードバンドテレビ放送「GyaO」を「フレッツ・スクウェア」でも提供し、より安定した環境で楽しんでいただけるようにします。ひかり電話では、1契約で2回線分の同時発着信が可能になる「複数チャネル(ダブルチャネル)」と、1契約で最大5つの電話番号が利用できる「追加番号(マイナンバー)」などの付加サービスを追加しました。
このように、「IPや光はこんなに便利になったんだ」とお客様に実感していただけるメニューを今後も投入していきます。
ユーザーサービスでは、土日・祝日の申し込み受付や工事を11月から本格的に開始しました。
高部
同時に開始した「工事日即決」についても言えますが、現在は共働きの家庭が多いため、平日だけの対応や、何度も連絡を取り合うこれまでのスタイルは、お客様に大きな負担をかけていました。組織の見直し等を経て、ようやくお客様の視点での対応ができるようになりました。今後は「Web受付」も実施します。
06年春には、まだ仮称ですが「ひかりサポートセンタ」を新設することにより、お客様対応の一層のスピードアップと効率化を図っていきます。
上期の営業利益は、減収減益ながら、他社の直収電話が不調だったことなどの要因で、当初の見込みよりも助けられた部分があると思います。ですが、いつまでも減収減益の話を続けるわけにもいかないと思いますので、そういう意味であまり時間はないと言えます。
高部
ご指摘の通りです。当社はこの5年間で7000億円くらい売上高が減少しています。そうしたなかで、何とか営業利益を出そうと、構造改革やコストダウン等に取り組んで来ました。それで現在、何とかバランスがとれているという状況です。
しかし中期決算でも、音声伝送収入が前年同期比518億円の減収なのに対し、IP系は同291億円の増収というように、まだまだ音声系の減少を補うところまでは来ていません。ですから、前述のように光化の推進と付加価値サービスの提供を強化し、早くリカバリーできるレベルに引き上げなければなりません。
04年の中期経営戦略の中で、グループとしてノントラフィックビジネスで2010年までに5000億円の売上増を見込んでいます。東日本としてそこはどう考えていますか。
高部
東日本単体で考える必要はないでしょう。東なら東のグループ、またはNTT全体でどう見るかだと思います。
いわゆる上位レイヤのところは、当社自身がそんなに展開しているわけではないですし、規模的にも今すぐに爆発的に増えるという世界ではありません。光3000万という土俵が出来上がってはじめて、大きく動くのではないでしょうか。
ただ、SIや保守のように、ユーザー企業のアウトソーシングニーズを受託するというのはあり得ます。そこは従来のわれわれのビジネス領域ですから、伸ばしていける余地は大きいと思っています。
特に当社は、ベテランの技術者や営業マンを多く抱えていますので、彼らの力をフルに活用することが重要と考えています。
NGNの基盤になる体制・基盤を作る
11月9日に発表された中期経営戦略のアクションプランは、次世代ネットワーク(NGN)構想とそれに伴うNTTグループの今後の在り方が示されたことで、業界内外で大きな反響を呼んでいます。東日本としてはどう受け止めていますか。
高部
お客様にとって便利で、しかも信頼性のあるネットワークやサービスを、いかにして作り込んでいくかが一番大切だと考えています。そのためには、グループの中でどの会社が何を得意にしているのかをハッキリさせ、各社が得意な分野のネットワークやサービスを中心になってやっていく。それがお客様にとっても、国から求められている社会を早く実現するためにも、たぶん一番良いことだと思います。
そういう社会やサービスを作るのはNTTグループだけでは無理で、さまざまなメーカーや関連業界の方々と一緒に取り組まなければなりません。その方たちが「自社の商談をNTTグループのどこに持って行けば良いのか」ということなどを分かりやすく、具体的に示したものだと思っています。
アクションプランの中での東日本のミッションは、バックボーンとアクセス系のネットワークをキチンと構築・維持していくことが基本。そのうえで自社で提供できる上位レイヤサービスがあれば手掛けていくということですか。
高部
基本的にはそうです。あとは、コンシューマーや中小企業のお客様から見れば、NTTグループへのコンタクトポイントは、当社と西日本です。これはNGNの時代になってもおそらく変わりませんから、その部分は今後も重視して取り組みます。
また、加入電話は継続するわけですし、ユニバーサルサービスとして提供していかなければなりません。今後もお客様に安心して利用してもらえるようにしていくことが、われわれの最大のミッションです。
当面の目標は、グループとして2010年までに光3000万加入を達成することでしょうが、東西別の目標は立てていますか。
高部
特に決めていませんが、現在のお客様の数は東西でちょうど半々くらいなので、1500万加入は必要です。ただ、われわれのほうが首都圏を持っている分、売上規模等が若干大きいので、1500万で良いのかという思いは持っています。
そういう意味で06年度は、05年度と同じ100万の純増でいいというわけにはいきませんね。
高部
相当、数を増やすべく頑張らなければなりません。05年度上期の純増42万は、前年同期比でちょうど2倍の数字です。つまり、それだけお客様が時代に合致した商品としてFTTHを認めてきているということでしょう。われわれはそこに対して大量に光サービスを提供できる体制と仕組みを構築して応えていきます。おそらく、それがNGNの基盤になると思うのです。光の加入があってこそ、今後のNTTのさまざまなサービス展開が可能となるわけで、この基盤をどう拡大していくかに未来が掛かっていると考えています。
全SEをプレーイングマネージャーに
先ほど、ベテラン社員が多いという話がありましたが、いわゆる「2007年問題」へはどう対応しますか。
高部
現在の当社は、私の年(58歳)よりも1歳下くらいの社員が一番多いのです。特に、フロントに行けば行くほど、彼らが力を発揮しています。他方で、近年は新規採用を控えていたこともあり、逆三角形の社員構成になっています。
ですから、今後は相当な業務処理の効率化を図らないと、お客様に不便をお掛けすることになります。それだけは絶対に避けなければならないので、現在、業務フローを徹底的に見直しています。前述のWeb受付も、そのための1つの方策です。
従来の加入電話サービスも当面続くわけですから、レガシー技術の継承も重要になると思います。
高部
われわれの考えているNGNは、IPの技術だけで実現できるものではありません。ネットワークのコントロール技術等、さまざまなレガシー技術も取り込んで実現していきます。ですから、若手社員には必ずレガシーの勉強もさせています。
また、現場力という意味でいうと、「113(電話の故障)」や「116(電話の新設・移転)」の仕事ができないSEは、私としては欲しくはありません。お客様がNTT東日本に期待することは何かと考えた時、アプリケーションに強いことではなく、ネットワークのコントロールや、いざという時の故障修理ができることだと思います。私は、SE部隊に対して、「そういう技術も身につけて、全員が“プレーイングマネージャー”的に立ち回れるようになってくれ」と要望しています。
また、フロントは、お互いの業務を知ることも大切です。お客様に対する仕事の流れを知る一方で、他部門の視点から自分の業務を見つめることを繰り返しやらないと、連携プレーは上手くいきません。ですから「1週間でもいいから、他部門に入って一緒に仕事をしてみろ。何が大変なのかがお互いに分かるから」と言い続けています。現場力を高めるというのは、そういうことだと思います。
(聞き手・土谷宜弘)