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2006年8月号

NEC
代表取締役執行役員社長
矢野 薫氏
NGNに集中し強みを全面発揮
携帯電話事業もそこで生きる

今年4月にNECの社長に就任した矢野薫氏。同社の本流である通信畑を歩んできた同社長は「NGN」をキーワードに掲げ、「NECこそがNGNに特化した唯一の会社」と意気込む。

Profile

矢野薫(やの・かおる)氏
1944年神奈川県生まれ。66年3月東京大学 工学部電子工学科卒業、75年6月スタンフォード大学電気工学科修士課程修了。66年4月日本電気株式会社入社。85年11月NEC AMERICA Inc.出向。90年7月NEC伝送通信事業部長、94年6月伝送事業本部長、95年6月取締役支配人、98年7月NEC USA Inc.President、99年6月常務取締役(NEC USA Inc.President兼務)、2000年12月取締役常務、NECネットワークスカンパニー副社長、02年4月取締役常務、NECネットワークスカンパニー社長、10月取締役専務、NECネットワークスカンパニー社長、03年4月取締役専務。04年6月代表取締役副社長。06年4月代表取締役執行役員社長就任。現在に至る

  5月29日の経営戦略説明会で今後の中心戦略として、「NGN(Next Generation Network)に対する経営資源の集中」を掲げました。NGNに対する考えはまだ十人十色の段階ですが、御社はどのように定義していますか。

矢野 「ユビキタス社会を支えるインフラ」がNGNです。これがきちんと構築されないと、安心・安全なユビキタス社会を実現することができません。
 ユビキタス社会と言われて久しいですが、現在のインターネットのような、ジャングルみたいな掟のうえにユビキタス社会を作ってどうするのでしょうか。お年寄りや子供たちが安心して利用できるインフラを、国家としてきちんと構築することが肝要なのです。
 日本政府が2010年までを展望した「IT新改革戦略」をスタートさせたように、「ITで世の中を変えよう」が今の流れで、それで実現されるのがユビキタス社会です。
 ユビキタス社会をきちんと作ろうとすると、安心・安全なNGNの構築が必須というわけです。

  確かに、インターネットは安心・安全という面で脆弱ですね。では、NGNができた時、インターネットはどうなるのでしょうか。

矢野 併存するでしょう。現在、インターネットと電話網は併存しています。このうちNGNに統合されるのは電話網だけで、インターネットはそのまま残ります。投資対効果の観点から、現在のインターネットとNGNは、棲み分けられるようになると思っています。

NGNでは他社に先んじている

  NGNへの移行は、日本だけに留まらず、世界的な流れです。当然、シスコシステムズやジュニパーネットワークスなどの世界的なメーカーも注力してきます。そうしたなか、NECの強みをもっとアピールしていく必要があると思います。

矢野 NGNビジネスを考えた時、シスコシステムズが得意とするルーターの部分はごくわずかで、それ以外のところでたくさん付加価値が必要になります。
 昔の例でいうと、交換機は、単につなぐだけではなく、安心・安全を実現する機能など、さまざまな付加価値が組み込まれていました。
 これに対してルーターには付加価値機能がありません。NGNで安心・安全なネットワークを構築しようとすれば、QoSの実現、輻輳の防止、セキュリティの確保などのために、さまざまな機器やソフトウェアが必要になります。
 これらはすべて「IT」によって実現されます。つまりNGNとは、「今までのネットワークの中にITが入り込んだもの」と言えるでしょう。
 このようなネットワークをわれわれの言葉で言い換えれば「C&C」(Computers& Communications)です。

  御社にはNGNを構築するために必要なものがすべて備わっているということですね。

矢野 その通りです。当社のようにC&Cの技術と事業ノウハウをバランスよく持っているメーカーは、世界中を探しても他にはないでしょう。
 常に難しいことにチャレンジしてきたことも、当社の大きな強みです。IP電話について言えば、他社はH.323からスタートしました。「SIPでの実現は困難」と言われてきたからです。しかし当社は、「いずれすべてがSIPになる」と判断し、最初から敢えてSIPにチャレンジしました。
 他の技術についても同様で、こうした姿勢でさまざまな取り組みをしてきたことが、今花開こうとしているのです。
 そういう意味で、NGNに関して当社は他社よりも一歩も二歩も先んじていると思っています。

BtoCサービスが安心・安全に

  NGN時代に向け、御社は「ワークスタイルの変革」をユーザー企業に訴求しています。

矢野 NGNはユビキタス社会の下支え、つまり舞台です。その上でどのような演技や踊りをするのかはユーザー次第です。
 そこでわれわれは、今からユーザーと一緒になってそれを考えています。「ソフトフォンの活用」や「IPテレビ会議」、「モバイル連携」等の実現で、あらゆる局面でワークスタイルを変えることができます。それらを具現化したものが品川や大阪に設置した「ブロードバンドソリューションセンター」なのです。

  しかし今はまだNGNはありません。これができてくると、どのように変わるのでしょうか。

矢野 現在大手企業は、専用線やIP-VPNなどを借りて広域内線網を構築していますが、トラフィック設計やセキュリティ環境の構築などは自社で手掛けています。しかし今後は、その部分までキャリアが提供してくれるので、それを借りればよいだけになります。
 また、中堅・中小企業のように、これまでは自ら広域内線網を構築できなかったところもキャリアから借りるだけで済むようになるでしょう。
 その他の大きな利点として、BtoCサービスが安心して行えることがあげられます。現在はどうしてもセキュリティへの不安からBtoCサービスに踏み切れない企業が多いのです。
 もちろん、1つの企業の中で実施するサービス「inB」や、企業間取り引きのBtoBも同様です。
 つまり、あらゆる局面で今よりもずっと安心・安全に利用できるので、新たな可能性が大きく広がっていくでしょう。
 他方で、現在はファイアウォールやアンチウィルスソフトに代表されるように、なんでもかんでも端末側で対応しています。このため、各企業の情報システム等に余計な負担をかけています。NGNではユーザー側をシンクライアントにし、ネットワーク側にインテリジェンスを置いたりセキュリティ機能を持たせることができるので、それだけでも大きな付加価値を提供できるのです。

UNIVERGEへの投資は無駄ではない

  少し意地悪な見方ですが、「NGNが今使えないから、UNIVERGEソリューションでさまざまなことを実現しましょう」ということなのですか。

矢野 そういうことではありません。確かに、現在のネットワークのなかでも、UNIVERGEを上手く利用すればワークスタイルの変革を実現できます。
 NGN時代になれば、UNIVERGEに限らず、さまざまなコンポーネントが今までと違う、新たな役割を担うことになります。
 実はUNIVERGEは、非常に先進的なコンセプトなのです。現在のネットワーク環境で深く使い込んでいけば、NGN環境が整った段階で、もっともっと発展的なソリューションが利用できるようになるのです。つまり、ユーザー企業の今日の投資は、全然無駄にはならないのです。

夢が広がる携帯電話事業

  懸案となっている携帯電話事業について、松下電器産業グループ(パナソニックモバイルコミュニケーションズ)とのアライアンスに向けて協議開始したことを明かしました。しかし、事業統合については強く否定しましたね。

矢野 携帯電話とPCの両事業は絶対に手放しません。というのは、今後、両端末は大きく変化していくものだからです。
 携帯電話についていえば、われわれは「今後は“ウェアラブルコンピューター”に進化する」と言い続けています。PCも今後企業向けはシンクライアントが中心になっていくでしょう。
 このような進化に対応できるか否かは、どれだけ奥深い技術力を持っているかにかかっています。
 私は、NECこそが新時代に対応できる唯一のメーカーだと自負しています。それだけ大きな夢が目前に広がっているのに、今両事業を手放すなんてことは、勿体なさ過ぎます。

  とはいえ、携帯電話事業が赤字のままではいけません。

矢野 まず、できるだけ早く黒字にします。そのために着々と技術を進化させるとともに、顧客のニーズをしっかり掴んだ端末を作っていきます。

中国市場に大きな可能性

  携帯電話事業では、海外事業の絞り込みを打ち出しています。今後は国内市場に注力するということですか。

矢野 先ほどウェアラブルコンピューターの話をしましたが、そのような未来が一番最初に来るのは日本ですから、まず国内に注力します。
 しかし、海外のすべてがダメだと思っているわけではありません。私は中国と欧州は大切にしたいと考えています。

  中国市場からは撤退するメーカーも出てきています。

矢野 確かに、今だけを見れば中国に出ていく価値はあまりないかもしれません。ですが、中国市場は将来の大きな可能性を秘めています。おそらく、ユビキタスコンピューティングの時代が来る頃には重要な市場になっていると思います。
 その時のために、大々的に事業を展開する必要はありませんが、一定規模の事業を継続し、中国という市場をしっかりと勉強し続けることが必要です。
 欧州でも日本に似た文化を持っている国もあると思います。それらの国に対してユビキタス社会の第1フェーズをしっかり見せれば、刺激を受けて追随してくると思っています。

  今年度は営業利益1300億円を目標に掲げています。それに向けた意気込みを聞かせて下さい。

矢野 まず、携帯電話と半導体の2つの懸念事業にしっかり取り組み、ターンアラウンドを実現します。そして、そのうえでNGNへ集中します。
 私は、NECはNGN領域に特化した会社だと思っています。
 しかし、NGNといっても、ビジネスはインフラだけに限るものではありません。携帯電話やPCに代表される端末はもちろん、アクセス系も当社が得意とする分野です。エッジを含めたネットワークもしかりで、さらにその上のサービスプラットフォームもそうです。また、UNIVERGEにはさまざまなITソリューションを載せています。
 つまり、「ネットワークとITを融合したNGNにフォーカスした唯一のメーカー」と言えるでしょう。この強みを武器に、他社が追随できないくらいに先頭を走っていきたいと思っています。
(聞き手・土谷宜弘)

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