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2007年3月号
NTT東日本
代表取締役副社長
コンシューマ事業推進本部長
古賀哲夫氏
Bフレッツ加速今年が山場
家庭に安心届けNTT復権へ
Bフレッツ加入者数の伸びも順調なNTT東日本。古賀哲夫副社長は、ユーザーに安心を提供するために、宅内のすべてのネットワーク機器をサポートする体制を作り、NTTの役割を果たすと語る。
Profile
古賀哲夫(こが・てつお)氏
1948年福岡県生まれ。71年3月早稲田大学政治経済学部卒業、同年4月日本電信電話公社入社。2000年7月東日本電信電話理事 営業部長。01年6月取締役 営業部長。同12月取締役 サービス開発部長。02年6月常務取締役 営業推進部長。03年4月常務取締役 営業部長。04年7月常務取締役 コンシューマ事業推進本部長。05年2月コンシューマ事業推進本部オフィス営業推進部長兼務。同6月代表取締役副社長に就任。現在に至る
1月10日にBフレッツの累計契約数が300万を突破しました。150万増の累計338万9000という今年度の目標達成への手応えは感じていますか。
古賀
昨年度は100万増という大きな目標を達成して、今年度はさらに高い目標を目指して努力してきました。前半は勢いもよかったのですが、後半に入ってから若干鈍ってきたという印象があります。
これには、ひかり電話の事故を初めとしていろいろな要因があります。前半の好調から、安心感が出たという可能性もある。
現在は、状況を認識して引き締めにかかっています。残り1月余りですが、目標を達成できると信じています。
ひかり電話の障害は大きな問題となりました。
古賀
お客様には大変ご迷惑をおかけしました。原因としてはソフトウェアのバグがあって、これは新しい機械が世に出る時には必ず付きまとう問題です。しかし、電話の事故は非常に影響範囲が広いものですから、絶対に起こしてはならないことです。
事故の後、設備を増設したり分散収容したりして十分な対処をしました。今回の事故の最大の欠点は、設備を集約しすぎていたために、事故の影響が全体に広がってしまったこと。それで、設備を増やすと同時に、万一事故が起こったとしてもそのエリアが限定できるよう、そして回復までの時間を縮められるように取り組んでいます。
Bフレッツの普及については、工事のスピードを上げるという課題があります。
古賀
実は、最大の目標としていたのが、その工事の能率アップでした。従来、年度後半に申し込みが増える傾向がありましたから、受付から開通までの期間を年度前半のうちに縮める努力をしようと。実際に、以前と比べれば格段に早くなりました。
仕事量が増える一方で、人員は減っている。社員には脱帽するばかりです。世界的にも最先端の光サービスを普及させるために、心を1つにしてがんばってくれている。
電電公社の時代であれば、オペレーションツールもすべて開発し終わり、スムーズに作業が進むようになってからでなければサービスに入れない。ところが今は、競争相手が始める前にこちらが始めないと負ける時代です。サービスをやりながらオペレーションツールを整備していくという難しい仕事になる。現場の皆さんには、大変迷惑をかけたと思う。今年の夏場を過ぎれば体制もよくなって、開通までの時間もさらに短縮できると思います。
本来のメリットを生かす
ひかり電話のサービス開始がフレッツの加入者増を引っ張っています。
古賀
ひかり電話が引き金になってBフレッツが伸びていることは間違いありませんが、ただし、ブロードバンドの最大のメリットは音声ではありません。現在は、ひかり電話のコストメリットを販売の目玉としていますが、来年度はBフレッツのメリットを最大限に引き出せる映像系のサービスを中心にしていきたいと思っています。
広帯域で映像が送れるという、その本来のメリットを訴求の中心に据えていきたい。「スカパー!光」や「4th MEDIA」「OCNシアター」「オンデマンドTV」などの映像サービスを最大の訴求ポイントとすることを、販売の方針でも意識していきます。
工事の体制とともにコンテンツの拡充が大きな課題になりますね。
古賀
コンテンツについては、そのプロフェッショナルが世の中にたくさんいます。我々は、いわば高速道路を作っているわけですから、まず道路を先に作るというスタンスは変わりません。クルマがないから道路が売れない、誰も通ってくれないと言ったところで仕方がない。
きちんとした道路を作って、その先に1000万、2000万というユーザーがいれば、フレッツを利用すれば効率がいいという判断をコンテンツ事業者がするはずです。ですから、あと1年は歯を食いしばってユーザーを増やしていく。そうすれば、コンテンツも自然と拡充する良い循環ができ上がると思っています。
その意味でも、07年度は重要です。
古賀
この2年間は、結果から見れば順調に来ました。しかし、ずっと順調なまま上っていくことは難しい。どこかで必ず踊り場ができます。その時期が来年度ではないか。それを乗り越えれば、良い循環に入っていけるでしょう。
非インターネット層の取り込み
以前、「2010年に光3000万」という大目標に向けて毎年目標に50万ずつ上積みしていけば、東で1500万は十分に達成可能だという見通しを話されていました。
古賀
これには、工事の稼動の問題もあります。一気に2倍にできればいいのですが、それでは人員を2倍にできるかといえばできない。能率を上げても難しい。結局は、実力をつけながら、工事の能率も上げながら、徐々に増やすしかありません。
現在、東日本だけで言えば、フレッツが300万、ADSLが290万です。すでに約600万の加入者がいる。そう考えれば1500万というのも、あながち不可能な数字ではないと感じています。
また、インターネットをやっていなかった、あるいはダイヤルアップで接続されていたお客様からの申し込みが、今でも全体の3〜4割を占めています。これは非常に心強い。加入者がADSLからの移行ばかりということであれば心もとないが、まだまだ伸びる余地はあります。
これまでBフレッツはインターネットをやるためのものという前提でしたが、今後は、インターネットを使わない層にどうやって広げていくかが課題になります。PCを前提とせず、映像系のサービスを利用するためにフレッツに入るというユーザーが増えてきます。
その意味では、地方支店の販売体制にも変化が求められます。
古賀
現在は、かつてのように都会での収益を地方のインフラ整備に使うというやり方ができないというのが最大の悩みです。NTTだけに規制があって、他の事業者は自由にという体制になっています。
他の事業者が打つ施策に合わせて我々も料金を決めて、資金も使わなければならない。そうなると、なかなか地方に回す資金がなくなる。
だからといって我々が、「もう地方はやらない」などと言っては、その途端にNTTの存在意義がなくなります。しかし、企業である以上、赤字にもなれない。
地方については、行政機関と協力しながら、IRUのようなやり方など知恵を絞りながら進めていくしかありません。
他の事業者も活発に動いています。KDDIは東電と組んで、auの好調を支えにして攻勢をかけています。
古賀
私たちには、固定は赤字にしてもいいというだけの黒字がありません。ドコモと一緒であれば、ドコモが黒字のうちにやれますが。その点では不公平ですよね。
やはり現在のルールには疑問を感じますね。我々は規制で縛られた上に、儲かるところもなくなっている。
なぜ競争をするのかといえば、お客様に安くて良いサービスを届けるためです。世界的に見ても、すでに最も高速で安いサービスを届けられているのに、なぜいつまでも規制が続くのかが理解しがたい。
規制が必要なのであれば、皆に規制をすればいい。すべてイコールにしてもよい時期に来ているのではないかと思います。
NTTの復権を目指して
NGNのフィールドトライアルが実施され、商用開始も本年末に迫っています。
古賀
加入者数の増加以上にトラフィックが伸びています。これは映像系のトラフィックの影響です。
網を円滑に保つために機器類を大容量化して、かつ1年当たりのコストを下げる必要がありますから、NGNのスタートを2年後や3年後まで待つなどということはできません。現在の仕組みのままでは、網を維持できなくなる事態も考えられます。
電話の時代と違って、料金は定額制が基本ですから、トラフィックがどんどん伸びる現状には厳しい面もあります。
古賀
まだ具体的な考えがあるわけではありませんが、コンテンツ事業者の収益から料金をいただかないと網の維持ができないという時代になっていくのではないかと感じています。料金のあり方についての議論が必要かもしれません。ネットワークの維持コストは急激に上がっていくでしょう。
総務省でFMC導入に向けた答申案がまとまったことで、FMCサービスへの関心も高まっています。FMCについては、NTT東はどのような考え方で臨むのでしょうか。
古賀
NTTが儲かるかどうかというよりも、ユーザーの利便性という視点になります。
携帯は便利ですが、便利だからといって家の中でも携帯を使えば、料金は割高になる。これを、ひかり電話に通すことができれば、料金は劇的に安くなる。お客様の利便性・経済性を考えれば、FMCが求められるのは当然の流れです。
事業者が儲かるか損するかという話ではない。利用者にとって何が一番便利なのかを考えれば、自然と結論が出てきます。参入の仕方にはいろいろな考え方があって、我々も検討しなければなりませんが。
常に、「お客様から見てどうか」という判断をしなければならない。ユーザーは便利でなければ使いませんし、便利なサービスであれば使ってくれて事業者も儲かる。そういう視点から考えるべきです。
電話の時代には圧倒的なブランド力を誇ったNTTが、インターネットの時代になって相対的に力を落す結果となりました。NTTの「復権」を目指してNGN時代では、フレッツの先につながったユーザーに対して何を提供していくのでしょうか。
古賀
今後は、あらゆる機器がネットワークにつながって、いろいろなサービスが受けられるようになります。そこで問題となるのは、テレビや冷蔵庫などの家電製品が故障したときに、お客様がどこに問い合わせればいいかがわからなくなることです。
単品としてそれぞれの家電製品が存在した今までとは違って、これからはすべてがネットワークにつながってしまう。
そうすると、すべての機器がネットワーク商品になる。お客様が困った時に、サポートできるような仕組みを作っていかなければならない。便利にはなったが、いざというときには何も対処できないという状況を作ってしまってはいけないのです。
もちろん、これはNTTだけで解決できることではありません。ツールや機器の開発も含めて、多くの会社と協力しながらお客様をサポートできる体制を作っていくことが、これからの課題です。お客様が安心して、ネットにつながった機器を使える。我々がすべて面倒を見ることができるような体制を作っていきたいと考えています。
(聞き手・土谷宜弘)